第32話 期待外れ

 バイト先で忘年会があったようだ。

 ビンゴの景品だとカップ焼きそばが箱で置いてあった。

「聞いたことあにメーカーですね」

「そうよね~」

 パートのおばさんとそんな話をしていた。

「食べてもいいみたいよ」

「そうですか…じゃあ、お昼に頂こうかな」


 そんなわけで、食べてみた。

「どう?」

「いや…美味しいですよ…意外だけど…美味しい」

 ハードルが低かったせいか、美味しいかった。

「私も同じメーカーのカップラーメン当たったのよ」

「そうなんですか、美味しいかもですね」

「ダンナに聞いてみよ」

 どうも今日のお昼、おばさんの旦那さんはカップラーメンらしい。

 電話して、感想を聞いているおばさん。

「…そう」

 電話を切るおばさん。

「ダンナ…感想は軽いっだって」

「ラーメンの感想で軽い? 薄いじゃなくて?」

「軽いって言ってた…」


 翌日

「桜雪さん、今日ラーメン持ってきたから、お昼食べてみて」

「味噌か…軽いラーメン…」

 お昼、皆が僕に注目している。

 ある情報では1個50円らしいカップラーメン。

「では…」

 食べてみる。

「…うん…美味しいよ…50円だとしたら、ハイクオリティ」


「意外ね~、美味しいんだって…」


 聞くだけ聞いて…誰も食いやしねぇ…。

 ホント美味いっての。

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