第6話

昼食を食べ終えた僕はさーやんと優さんと一緒に流水プールに向かった。流水プールでは3人とも浮き輪をつけてプカプカしているだけの単純な行動だが、午前中だけでだいぶ疲れたから仕方ない。


しばらくするとさーやんはトイレに行くためプールを一度出た。そして僕はさーやんがいない時を計らって優さんにこう言った。




「前から気になってましたけど、沙弥香と優さんって似てますよね・・・背は凛さんの方がかなり高いけど、姉妹みたいに顔がそっくり」




俺がそう言うと優さんは、




「私と沙弥香ちゃんが姉妹みたいだなんて・・・初めて言われたわ」




と言った。そして、凛さんは俺にこう言う。




「そういえば俊彦くんと沙弥香ちゃんの他にあと2人いたけど・・・いとこと彼女さん?」




は!?明日香が彼女だって?




「いやいや違いますって!あいつはただの幼馴染みで・・・アリ姉とも仲いいから付き合っているだけです!ほら、向こうに2人いるでしょ!」




俺は少し離れた波の出るプールを指す。そこにはちゃんと2人がいた。




「あら、俊彦くん。目いいのね」




優さんは俺にこう言ってきた。




「いや、長い付き合いだから遠くから見ても誰かわかるっていうか・・・」




と俺はそう言う。ちなみに視力は両目0.8くらい。普段は裸眼だが、授業の時はメガネをかけている。そして数分後、さーやんが戻ってきた。




「ねぇお兄ちゃん、優さんと何話してたの?」




さーやんは戻ってきた途端、俺にこう言った。そして俺は、




「・・・大した話はしてないよ」




と言った。するとさーやんは、




「あ、お兄ちゃん何か隠しているでしょ~もしかして優さんとこれから付き合ったりして〜?」




と言った。は!?




「んなわけないだろ!大体俺と優さんは世代も離れてるのに・・・」




と僕は言葉を返した。そして、




「あら、とても仲のいい兄妹なのね。でも俊彦くんとは付き合ってもいいかな~」




と優さんは言った。しかしさーやんの言葉に反応したのか、優さんの顔は少し赤くなっていた。




そして流水プールも飽きてきたので、俺たち3人はプールサイドのテーブルに戻った。ほどなくして、アリ姉と明日香も戻ってきた。時計を見ると午後の3時になろうとしていた。そして俺は4人にこう言った。




「最後に5人で屋外のプールに行こうか」




俺の言葉に4人は同調した。そして屋外にあるプールに向かった。屋外プールはただのプールだった。ただし1時間おきに15分程度波が出るらしい。俺たちが屋外プールに着いた頃にちょうど波が出始めた。4人は波を楽しみながら泳ぐ。そして15分後、ちょうど波が止まった頃だった。アリ姉が、




「そういえばトシと明日香ちゃんって、いつ付き合うの~」




と俺と明日香に言ってきた。




「幼馴染みは恋愛に発展しないと思うんだけど・・・」




と俺は言う。そして明日香も、




「今はチア一筋だから」




と言った。しかし明日香は、




「でも、トシが私に興味があるのなら付き合っても・・・」




と言ってきた。僕は明日香の言葉に少し顔が赤くなった。でも明日香のようないつもグループの中心にいるような女性はあまり好きじゃないなぁ・・・俺は大人しい、落ち着きのある性格の女性の方が好きだ。


そして1時間が過ぎ、2度目の波を楽しんだ時点でプールから出た。その間僕は4人に色々絡まれた。優さんはさーやん以外とは初対面なのにみんなと仲良くなっていた。




プールから出ると室内に戻り、プールサイドのテーブルに置いてあった荷物をまとめた。そしてそのままシャワーを浴び、更衣室に向かった。そして俺がまず着替えを済ませ、待ち合わせ場所の出口前で待つ。そしてしばらくすると、着替えを済ませた4人がやって来た。




帰りの電車で、優さんは僕たち4人にこう言った。




「今日は色々付き合ってくれてありがとう。私も楽しかった。それと俊彦くん、沙弥香ちゃんをよろしくね」




そう言った優さんは結局、僕たちと同じ駅で降りた。そしてアリ姉と明日香とは駅前で別れた。そして残った3人は駅前の広場にあるベンチに座る。すると、さーやんは優さんにこう言った。




「そういえば優さんって最寄駅ここでしたっけ?」




どうやらさーやんは優さんの家を知らなかったらしい。しかし俺も優さんの家はどこか気になっていた。そして優さんは、




「まぁね。そこから徒歩5分のマンションで一人暮らししてるの。そうだ、よかったら今度遊びに来ない?」




と言った。あーそういえば優さんの実家、仙台だっけ。結局優さんとはここで別れた。そして俺はさーやんと一緒に家へ帰る。そして帰り道、




「そういえばお兄ちゃん、今度優さんの家に寄ってかない?お互い家も近いし、私の家に誘ってもいいんだけどね」




とさーやんが俺にこう話を持ちかけたのは言うまでもない。

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