第4話

夏休みに入った。父さんの再婚から4ヶ月が経ち、楓さんやさーやんとの暮らしには流石に慣れたかな・・・と思い始める。俺もさーやんとはだいぶ距離が縮まり、今ではかなり仲のいい兄妹になっている。そんな8月のある日の夕食後、俺とさーやんは父さんからあることを言われた。




「今日、プールのチケットを4人分貰ったんだが、父さんも母さんも当分行けそうにないからあげるわ。お前らで誰か誘ってこい」




父さんはそう言い、机にプールのチケット4枚を置いた。




「俺は大丈夫だけど、沙弥香はいつ休めるかどうか・・・」




俺は父さんにそう言い、さーやんにいつ休みなのかを訊ねた。とりあえず尋ねたところ、さーやんは夏休み1日だけ休みの日があった。とりあえずこの日に行こう。


そして余ったチケット2人分で誰を誘うか。まずはアリ姉を誘った。するとアリ姉は「その日なら大丈夫」と言ってくれた。そしてあと1人誰を誘うか。散々悩んだ挙句、明日香を誘うことにした。でもあいつ部活で忙しいからなぁ。そう思いつつ、明日香にLINEを入れる。すると明日香は、「その日なら部活ないよ」という返事があった。




◇ ◇ ◇




俺達4人は電車に揺られながら、目的地のプールに着いた。このプールは関東最大級の室内プールで、夏休み中は屋外施設も開放される。この日は平日とはいえ、夏休み中ということもありオープン前からかなりの客が列を作っていた。




そして朝9時、オープン。俺はまず4人分の荷物(浮き輪とか)を抱えて、プールサイドの6人分の椅子があるテーブルに向かった。荷物を置くと先に更衣室で水着に着替える3人が来るまでそこで待機する。そして30分後、水着に着替た3人が現れた。


3人は義妹・いとこ・幼馴染みで決して恋愛には発展しないと思うのだが、3人とも綺麗だ。テレビで見る芸能人に見劣りしない。特に水着姿の明日香は、3人の中ではずば抜けて豊満なボディで、男が絶対食いついていくようなバストだった。それに引き換えさーやんとアリ姉は・・・2人の名誉のため、何も言わないでおこう。




3人がテーブルの椅子に座ると、俺は更衣室で着替えを済ませた。男の着替えは短時間で済む。そしてシャワーを浴び、3人が待つプテーブルへ向かった。


プールでは3人が「ナンパされたら困る」と僕に言ってきたため、常時4人で行動することになった。俺はせっかくなのでまず、屋外にあるウォータースライダーに誘った。このウォータースライダーは「水のジェットコースター」と言われ、関東最大級の規模だという。




・・・で、そのウォータースライダーには5回乗った。俺とさーやんはさすがにもうこれ以上は乗れないと言ったが、アリ姉や明日香はまだ乗りたいと言う。結局アリ姉と明日香はそのまま引っ放して、俺とさーやんはプールサイドに戻った。アリ姉と明日香がいると余計に疲れる。


プールサイドで休憩を取っている間、俺はトイレに向かう。そしてトイレから出て売店で飲み物と軽食を買うため列に並んでいた時、後ろから肩を叩かれた。俺はすぐ後ろを振り向く。後ろを振り向くと、ルックスの整った女性がいた。綺麗な長い黒髪となぜか似合う水着姿が特徴的だった。どうやら俺はその女性に肩を叩かれたらしい。歳は俺より年上、20歳くらいだと思う。しかしこの女性、どこかで見覚えがあるような・・・




「そこの君、私と遊ばない?」




その女性は俺にそう言ってきた。なんか俺、逆ナンされました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る