恋について


パーチェは変だ。


そもそも僕のどこがそんなに好きなのか分からない。聞いてみたら「言ってもいいのかい!?」と濁流のように喋りだしたので腹パンして終わらせた。


どう考えても自分から聞いておいてウザイからと腹パンで黙らせるなんて嫌いになってもおかしくない所業だ。なのにパーチェはヘラヘラ笑って「聡くんは照れ屋だなぁ」と言う。


訳が分からない。



恋とは、恋愛とはそんなに変わるものなんだろうか。

普通好きな人に嫌いだのウザいだの黙れだの色々言われたら落ち込むだろう。悲しいだろう。なのにパーチェは言う度に笑って僕への愛を差し出してくる。


訳が分からない。


でも訳が分からないのは僕も同じだ。


ヘラヘラ笑ってる顔も

馬鹿の一つ覚えみたいに繰り返す言葉も

無視しようが続けられるウザい話も


そこにあるとほっとするような気持ちになる。全部ないと物足りないようなそんな気持ちに。


間違いなくパーチェのせいだ。


だから、パーチェに八つ当たりをしても正当な行為なのだ。






本当は分かっている。けど、パーチェが享受してくれるから。だから、今だけは気づかないフリをしていたい。

だって、パーチェのせいなんだから。


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