アレの想い
パーチェからバレンタインに贈られた俺の肖像画は一応ダンボールに仕舞った。絵には罪はないし、ちゃんと傷まないように梱包した。厳重に。
ただ、どうしてもアレには存在感がある。パーチェの念が籠ってるからだろうか。
それはもう呪いの絵と言えなくもない。
いや、アレは実際に呪いの絵だ。
あの絵を見るのは嫌だ。言葉なら受け流せるのに絵を見たらもう、避けようもないくらいに伝わってくる。
嫌いだ。絵もパーチェも。すべてが。
もし、アレを見れる日が来るとすれば。
それはきっと、
認めることは出来ないけど。
でも、多分。
その時初めてパーチェに言えるのだろう。
「ありがとう」と。
それとこれも言わなくてはいけない。
「必要ないから肖像画は描くな」
どうせそう言ったってどうせ描くんだろうけど。
そして俺は、また、断りきれずに受け取るんだろう。
そんな未来はなんて──────────
なんて、迷惑な未来だ。実現なんてしてほしくない。
そう思いながら今日も俺は緑の絵の具に手を伸ばす。
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