絶望のステラナイト

あいなさん。

からたちあいなさん。


俺と同じ絶望のステラナイトである彼との初めての出会いはステラバトルだった。

エクリプスとステラナイトとして出会ってそれっきりのはずだった。

だけど、あいなさんのシースがパーチェの兄だったことで再び会うことになった。


そんなわけで兄弟久しぶりの再会となった訳だが、話が盛り上がったパーチェの馬鹿が僕を放置して。

あいなさんと二人っきりにさせられた。

ピアスいっぱいにタトゥー、タバコの臭い。はっきり言って怖かった。

どのくらいかと言えば二人っきりにしたパーチェを頭の中で何回か半殺しにするくらい。

怖い人だという印象が変わったきっかけはパーチェの兄であいなさんのシースの愛巳めぐみさんのおかげだ。


愛巳めぐみさんと話すあいなさんを見て思ったのだ。

俺と一緒だ。と。

何が一緒なのかうまく説明出来ないのだが、理屈ではなく感じたのだ。


先入観が無くなればあいなさんのかっこよさが分かってきた。

あいなさんはすごい。ピアスが似合ってるし、タトゥーもかっこいい。なによりタバコを吸う姿がとてもすごく絵になる。

どうすればそんなにかっこよくなるのか分からない。

でも一方であいなさんは僕と一緒だと、絶望のステラナイトなんだと分かってきた。

闇は僕らにとってきっと安らぎだった。ずっとそこで微睡んでいたら悪夢を悪夢だと理解しなくても良かった。気付かないふりができた。

でも僕らは太陽と出会ってしまった。

それから闇は恐怖になった。

闇は僕らの足元に絡みついて一生消えない。


太陽に焦がれているのに。失いたくないのに。

一度知ってしまったらもう手遅れなのが怖くて。

欲張りになってしまうのが怖くて。

いつの日か太陽がいなくなった未来がくるのが怖くて。



見放されるのが怖いのに、怖くて手を取ることが出来なかった。






でもきっとそれは過去の話なのだろう。

あいなさんと愛巳めぐみさんにどんなことがあったかは分からない。

それでもいいのだ。

今日もあいなさんは楽しそうに笑う。嬉しそうに笑う。

それはきっと僕も一緒。パーチェのおかげなんて絶対に認めたくないけれど。

だからいいのだ。

笑いあっていてもあいなさんと一緒にいるとカツアゲとか騙されてるとか言われるが、いつもあいなさんは僕を何か良くないことから遠ざけようとしているのはくらいは分かっている。

それに、もしあいなさんが僕を騙していたとしても。それを裏切りと呼んでくれるならそれでいい気もしている。


裏切りと呼べるくらいあの時間を好きでいてくれたことの証明なのだから。


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