パーチェという男

パーチェという男はイデアグロリアきっての天才であり、俺のブリンガーである。

そして素っ気なくしても貶しても何故かやたら絡んでくる理解不能な男。



最初は信じてなんかいなかった。

そのうち飽きて絡まなくなるだろう、と。

それが間違いだったと知ったのはステラナイトに覚醒した時だった。

あいつはなんとこの俺を独り占めしたいという願いで覚醒したのだ。




頭おかしいと思ったし、実際言った。

まあ、数分経てばすぐいつもの通りウザいパーチェに後戻りしたのだが。


たまに考える。パーチェという男について。

博愛主義なのは知っているし、そういう意味で話しかけてきたのだろう。

俺には理解できないが。


でも一体どうしてそれが独占欲になる?

博愛主義とは真逆だろう。

しかも俺に。訳が分からない。


不思議なことは他にもある。

俺は十分すぎるほどパーチェを貶している。傍から見たら加害者と被害者だ。

なのに何故あいつはへこたれない?

有り余るほどの気持ちを見返りもなく差し出せる?

あいつは馬鹿だ。

馬鹿なのに、俺は、いつだってあいつと話していると次の句が続かない。

あいつの目は、言葉は、いつだって俺の言葉を奪っていく。

否定の言葉が出てこない。


お前が優しいから。受け止めるから。

だから。



だから




もしパーチェを好きになったら。

それでもきっと、多分、

お前が差し出すすべてに報いることは出来ない。




お前の幸せなんてどうでもいいけれど

でも、お願いだ。


どうか、お前から離れてくれ。

手遅れになる前に。





手遅れになってからではもう、後戻りは出来ないから。

だから。お願いだから。離れてくれたすけて


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