本物とニセモノ
パーチェという男については調べるまでもなく分かった。やはり天才というのは目立つらしい。
彼には芸術系全般の才能があるらしい。その中で絵を選んで専攻しているが、コンクールに出そうともしない。賞を取ろうが取るまいが気にしていない。ただ、楽しんで絵を書いている。
どうして。
それが実直な感想だった。
どうして才能があるのに上を目指さないのか。彼の才能であれば頂点へ行くことも可能だというのに。どうして。
どうして、そんな執着せずにいられる?
どうして、期待されているのに、それなのにどうして、楽しそうに絵を描ける?
「お父さんは…」
「本当に?」
「幸せになって欲しいんだ」
「好きだよ聡くん」
うるさいうるさいうるさいうるさい!
だまれ!!
本当は分かっている。分かっているのだ。だけど、認めてしまえばもう終わってしまう。信じていなければ。信じていればきっと大丈夫なんだ。
だから、お願いだから。もう近づかないでくれ。お願いだから、言わないでくれ。
お願いだからお前の差し出すものがホンモノだと気づかせないでくれ。
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