第14話 暗殺

 

 

 異変に気付いたのは相馬亨だった。

 異様な濃厚な気配を感じた。

 まとわりつくような視線。

 それはおそろしく遠くから、紡ぎ出された殺気が溢れた瞬間。

 対峙していた六郎の動きが止まる。

 六郎の胸に大槍が生えていた。

「ぬぐッッッう……」

 六郎は必死の形相で後ろを向いた。

 すると、先程の大槍が消える。

 刹那に、夥しい血飛沫が間欠泉のように吹きあがる。    

「六郎殿!」

 相馬亨が駆け寄ると、六朗は亨の瞳を覗き込んだ。

 互いの瞳が重なる。

「この件、お主は関係ないよう…だな……」

 そう呟いた。

「一体、誰が……」

「普段なら、不覚は取らんが、お主が優秀すぎた。だから、すべてを攻鬼にした。守鬼は残さなんだ。だから、この有様じゃ……」

「早く、治療を」

「もう、おそい。既に奴は万全。すべては計画の上じゃ。相馬の当主よ。速く逃げられよ――悪いが結菜を頼む。さもないと玄武が襲ってくるぞ」

「玄武ですと」

 相馬亨は六郎を抱えながら闇の方を睨んだ。



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