僕の今の状況

気付くと僕はベットに横になっていた。

あれは夢だったのかな…

でも、目を開けると夢ではないことはすぐに分かった。

僕が寝ているベットの隣にルーズさん達が椅子に座っていた。

その隣でしょんぼりしている、あの小さい女の子はまだ檻の中に閉じ込められたまま。

落ち着いてみると、母さんや父さんに比べてメアリーさんやルーズさんは体が一回り大きい様な気がする。


「お、おきたなルック。そのまま安静にしてろよ。」


大きなため息と共にいきなりぶっ倒れたからびびったぜー、と呟き安堵したような顔を見せる。

もう名前については諦めよう…


「おはようルックさん。ここはギルドの医務室よ。…ところで自分のことはわかるわよね?」


心配そうな顔で僕を見つめるメアリーさん。

メアリーさんはとても綺麗な顔立ちをしてるなぁ。


「は、はい。わかります…でも、一体何が…」


「そうよね、取り敢えずルーズ、先生呼んできて。どーせ寝てるでしょう?」

「そーだな、行って来る。」


ルーズさんが席を立つと、綺麗な黄緑色の髪がゆれて、ぶらさがった菱形のピアスが光を反射してキラキラと光る。

スタスタと歩いて行く姿はとてもかっこよく見えた。


「貴方は意識を失って倒れたの。命に別状もないらしいし、病気とかでもないそうよ。」


そう聞いて僕は胸を撫で下ろした。


「ここはさっきも言った通り、ギルドの医務室よ。The blue sky のね。」


ここまではわかる?と返事を催促され、答えるとよかったわと少し安心した顔を見せるメアリーさん。

とても優しい顔をした。


「で、貴方はキリルの町から来たと言っていたわよね?」


「はい。」


「実はこの黄色の浮いている子が原因なんだけど、この世界からは全くの別の世界にそのキリルの町があるらしいの。


べ、別の世界…?


「別の世界って…」


そうね…と頭を悩ましているメアリーさん。


「うーん、そうね。一言で言うと、遠い世界なのよ。」


「ってことは僕帰れないんですか?」


とっさに出る言葉、なんとなくわかってきた今のこと。


「今はわからない、それにこの話はリムの話で、それも噂らしいの。」


「そう…ですか…」


今の気持ちを一言で表すと「落胆」なのかな、入ってた力が一気に抜けた。

そのまま、ベットに倒れ込んだ。


「…そこで提案なのだけれど。」


メアリーさんの洋紅色ようこうしょくの瞳が僕を貫く。


「この世界からの帰り方がわかるまででいい。このギルドに入らない?」


「へ…?」


「幸い、ここのギルドは人手不足でね。傘下は多いのだけれども。だから部屋が余ってるのよ。それと、部屋の対価はギルドメンバーとして活動すること。でも、落ち着いてからでいいわ。」


「で、でも…」


いったん冷静になろう、僕は父さんと母さんを探しにきたはずだ。

まだよくわからないけど、父さんと母さんはここにはいないと思う。

…でも帰れないかもしれない。怖いよ、これからどうすればいいの?


「大丈夫よ。これからのことは私たちがサポートしてあげるわ。それにすぐに決めなくてもいい、ゆっくり考えなさい。他にもギルドはあるしね。」


メアリーさんは優しい人だ。ぽんぽんと僕の頭を撫でてくれて、優しく微笑みかけてくれる。

少しほっとした。それからは雑談を交わした。

この世界のこととか、ルーズさんはとっても面白いんだよとか。

ガラガラガラ…ドアが開く音と共に帰ってきたルーズさんと白衣を着た女性が入ってきた。


「おっはゆ〜ルック君」

「連れてきたぞー」


その奥には、背が高く鋭い目つきをした男性も一緒だった。

白衣を着た女性のふわふわした雰囲気に比べてその男性はとても怖く感じた。

これから僕、どうなってしまうんだろう…そんな不安がよぎる。

しばらくはここで暮らすことになりそうだし…本当にここから帰れるのかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る