第9話 出会い
町で合流したギルマスのゆめちゃんは、品の良いドレスを着込み、職業は
何より驚いたのは、彼女の種族が天使だったことだ。
「天使って選択できましたっけ?」
勇気を持って聞いてみた。
だいたいブラインドしてないんだ。初対面の話題としては持って来いだろう。
「あら? やっぱり興味ある?」
おいおい、もったいつけてますよ、この人……。
「やっぱり、いいです」
「道は険しいわよ」
ほぼ同時、僕の方が僅かに早い。
しかし、チャット遅いなぁ〜、ゆめちゃん! 入力している間に会話が流れて返事を送った時には繋がらない。
僕も入力が遅いからたまに経験する。
恥ずかしいよね、あれ……。
「ゆめちゃん、ステージ四に行こうと思うんだけど良い?」
「もうっ、ちょっとは興味を持ってよ!」
あ〜あ、今度は神崎さんの振った話題の後だよ……。
ゆめちゃんは図体でかいからな……、小さいスマホの操作は苦手なのかな?
一応、確認しておくか……。
「ゆめちゃんって店長さん?」
「そうだけど、ここではダメよ、ユウキくん」
ゆめちゃんの返答、凄い圧だ。
「それと、プーさんっていう人から加入申請が来てるけど、ユウキくんの知り合い?」
「そうです! ぜひ、入れて欲しいって言ってました」
こっちが切り出す前に、ゆめちゃんからおっさんの件を聞いてきた。
ごめん、おっさん、ちょっと忘れてた!
「じゃあ、許可しましょう、ついでに呼んで四人でパーティを組みましょうか?」
「僕は歓迎ですけど、みかんちゃんは?」
「私も別に良いわよ。でも、プーさんってレベルいくつ?」
「レベル六十ぐらいだったと思うけど」
「ふーん、じゃあ、レベ上げの効率落ちるから、今日は徹夜確定ね!」
いやいや、無理だから、寝ますから!
意外に早く、おっさんはここにやって来た。
あんた、いつも暇だな。
おっさんのキャラは、小柄で俊敏さが取り柄の種族ホビット、性別は女の子で年齢は十六歳に設定されている。
服装も少女趣味の可愛らしい物をいつも選ぶ。
なのに、なぜ、おっさんなのか?
それは、「可愛いのが好きなだけ! リアはおっさんだぞ!」って本人が豪語していたからだ。
「はじめまして、プーと申します。よろしくお願いします」
ちょこんとした姿で硬いあいさつ、流石は社会人だ。
多分、昼はいないから、おっさんは、ちゃんと働いているはずだ。
名前はちょっと怪しいけど……、昼間は寝てるのか? まさか……。
「はじめまして、よろしく」と型通りの返事を神崎さんとゆめちゃんはした。
「あなたが、ユウキの知り合い?」
あら! 呼び捨てですか神崎さん。
「そうですよ、ユウキといつも一緒に遊んでる、師匠のプーです」
くそ! おっさんまで呼び捨てだ。
「あなた、リアも背の低い女の子?」
「違います! 俺はおっさんだ!」
いつもながら性別の話題に対して反応早いぜ、おっさん!
「へぇ〜、どうでも良いけど、ユウキを甘やかし過ぎよ、あなたのレベルならもうちょっと鍛えること出来たでしょっ!」
「楽しければ良いんです!」
「開き直ったわね、この女!」
「男です! おっさんですう!」
語尾が「ですう」って、おっさん……。
「あなたこそ、なにそのキャラやらしい」
「こっちの方がカッコ良いじゃない? あなたなんてロリコンじゃない、ブス!」
「なによ、ヘンタイ、露出狂!」
おいおい、おっさん興奮しすぎだぜ!
「はいはい、二人とも落ち着いて、行くわよ!」
ゆめちゃん店長が仲裁するも、
「ロリコンのブス! わざわざ小ちゃいホビットなんて選択しちゃて気持ち悪い!」
「何よ、そのおっぱい、淫乱、変態のブス、ブース!」
おっさん……、完全におネェだぜ、その言葉遣い……。
「はいはい、行くわよ!」
「ロリブス!」
「ブスっていう方がブスなんですう!」
「ロリブス、ブスブスブス!」
神崎さんの返答読みづらい!
「ブス!」
ムキになるなよ、おっさん!
二人ともチャットが早くて割り込めない。
半ば諦めかけてた時、ゆめちゃんがキレた!
「黙れ! メス共! 行くぞ!」
怖いよ、ゆめちゃん!
スマホから伝わる半端ない圧力!
神崎さんとおっさんが口をつぐむ……。
「返事は?」
しばらくして画面に現れたゆめちゃんからの文字。
「はい、行きます!」
二人は同時に返事した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます