外に出る方法とは
テレビで大々的に顔がバレてしまったから、外をうかつに出歩けなくなった。
テレビ局にい続けるのも、居場所を知らせているのと同意ということで、近くのビルに避難していた。
そこでいかに薬を手にするのか、作戦を立てているのだけど。
「とにかく武器を持って、突っ込めばいいんじゃねえか?」
剛埼さんのこの意見以外に、未だにいい案が出てこなかった。
「まあ、それが一番ですけどね。でも薬がある場所に行くまでが、大変ですよね」
「そうね。邪魔をされて時間がかかるよりは、スムーズにそこまで行った方が楽だと思う。でも、どうやってバレない様にするかが問題ね」
美香さんは真面目な顔で、意見を述べる。
ふと目が合うと、にっこりと笑いかけてくれた。
その笑顔は作られたものではなく、自然なものだった。
ここまで親愛度が高くなるなんて。
まだ一日と数時間しか経っていないのに、心境の変化が凄い。
告白をしあったわけじゃないけど、これはもう僕もリア充の仲間入りをしたといっても過言ではないのだろうか。
後は、格好いいところを見せれば、彼女と恋人同士になれる気がする。
この作戦が、残された最後のチャンスだ。
ここで活躍できなければ、その後は前と同じような人間のままだ。
今まで使ったことのない銃を、このまま錆びさせるのはあまりにももったいない。
絶対に、銃を使う。
それが、僕の目標だ。
「問題はあ、どうやって誰にもバレずに移動するかなんだろう。その薬は、どこにあるんだっけかあ?」
「はい! 薬は、国会の地下にある金庫の中に、厳重に保管されています!」
「薬の存在を俺たちが知ったことで、別の場所に移された可能性は無いのかあ?」
「それは無いですね! この国に、そこ以上に厳重な警備のあるところは、現在存在していませんから!」
「おお、良く調べているなあ」
「ああああありがたき幸せ!」
国会か。
小学生の時に社会科見学で行ったことがあるけど、その際は地下の金庫を見せてもらわなかった。
大事なものをしまう場所だから、当たり前の話か。
都合のいいことに、この場所から国会は車で二十分ぐらいの距離にある。
しかし都会だから、人もゾンビも多いはずだ。
誰にも見られずに、行くのは困難。
さて、どうするか。
良い方法が考え付かない僕達は、しばらく無言になった。
「ねえ、子供だましでよくある作戦だけど、こういうのはどうかしら?」
その無言を破ったのは、美香さん。
唇に手を当てて、いたずらを思いついたかのような表情を浮かべている。
何だか、背筋に寒気を感じた。
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