切り替えて、新たな目的地へ
トメさんとの別れも済み、広場に骨を埋めて簡易的な墓を作った。
木で出来ていて、まるで子供が作った物みたいだけど、これはこれで趣があっていいだろう。
手を合わせた後、僕達は広場の地面に座り込んで、話を始める。
「俺達は、特に行くところが無かったんだけどなあ。どこかに行く予定はあったか?」
「いや、特には無いかな。とりあえずやることが無いから、遊んでいた感じだね」
「そうかあ。それじゃあ、どうするかなあ」
お互いどこに行くのか特に決まっておらず、話は平行線に進みそうになった。
しかし思わぬところから、提案がされる。
「……それなら、デパートやホームセンターに行くのはどうでしょう?」
そう提案したのは、鈴木だった。
視線をさ迷わせていて、自分の発言に全く自信を持っていない。
それに少しイラッとしたけど、提案自体は良いものだと思った。
「た、たぶん、武器とかも、あるんじゃないでしょうか」
そしてその一言で、結果は決まる。
メンバーのほとんどが武闘派なのだから、武器があると言ったら食いつく以外なかった。
「よし、行くかあ!」
「うん、行こう行こう」
「楽しみだな」
全員が顔を輝かせて、いそいそと準備を始めた。
デパートかホームセンターなら、デパートの方がいいだろうか。
武器も大事だけど、食料とかも大事だ。
あまりここら辺の地理に詳しくないが、この人数がいれば、一番いい場所が分かるだろう。
僕は意見を言うこともなく、ただただついて行くのみだ。
とても楽だけど、それでいいのかと思ってはしまう。
こんな世界になってから、僕は何も変わっていない。
弱虫で、自分の意見を言えなくて、どうしようもない性格。
しかし、きっと変えることは出来ないだろう。
今変えられていないのだから、これからも変えられるわけがない。
だから僕は、セーラー服を着た変態のままなのだ。
「どうした? 変態君。早く行くぞ」
車に乗り込まずに佇んでいる僕に対して、剛埼さんが急かしてくる。
僕は、いつものように笑顔を浮かべ、仮面を被った。
「はい、今行きます」
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