友好を深めるサッカー
自己紹介を終えると、僕達は公園の遊具に座った。
落ち着いて話せる場所を探した結果、ここになったのだ。
「それで、ここに来たってことは、仲間になるっていう話かな?」
リーダーらしく、真っ先に桐島さんが尋ねてきた。
「ああん? ……いや、まだそこまでは決めてなかったなあ。ただ、サッカーしているのが、楽しそうだったからなあ」
僕達の中で、リーダーというわけではないけど頼もしい存在の、剛埼さんがそれに答える。
「そういうわけね。ごめんごめっb、来る少し前に時間になったから、終わりにしたんだ」
剛埼さんの言葉を聞いて、驚いたのか目を見開き、そしてすぐに笑みを浮かべる。
「やりたいのなら、今からでもやる?」
「おっ、いいなあ」
何となく察していたけど、二人の相性はとても良いみたいだ。
「一人余るから、僕は見学しています」
僕は、また地獄のサッカーが始まる気配を察知して、先に言っておいた。
「そうかあ。変態君は、見学な。まあ、無理に殺れとは言わないからなあ」
剛埼さんは、無理やりやらせることはしなかった。
人の嫌がる事は強要しない、いい人だ。
だから僕も、やるが別の漢字に聞こえたけど、気のせいだと思うことにした。
こうして僕は見学、他の六人はサッカーを始め出す。
ボールがボロボロになったといって、新たなゾンビが犠牲にされたのは、倫理的に問題はあるのだろうか。いや、ないと思おう。
チームは剛埼さん、鈴木さん、トメさんと桐島さん、川田さん、雫石さんに分かれていた。
ボールが丸くないからか、予想だにしない方向に飛んでいき、試合は意外にも接戦だった。
思っていたよりも、トメさんがいい動きを見せている。
先程まで杖をついていたはずなのに、今は決められたコートの中を、縦横無尽に走り回っていた。
老若男女関係なく、ほのぼのと遊んでいる風景。
普通だったら微笑ましいはずなのに、ゾンビがそれを邪魔する。
僕は遠い目をして、点数を数えていた。
それから試合は、剛埼さん優勢に進んでいった。
残り時間もあとわずかで、このままだったら結果が変わることは無いだろう。
そう考えて、ふと視線を逸らした僕は、遠くに何かを見つけた。
剛埼さんほど視力は良くないから、何なのか全く分からなかった。
しかし、それはだんだんと近づいてきて、正体が判明した。
何かを考える前に、僕は動いていた。
「ぞ、ゾンビだあ!」
こちらに向かってきたのは、ゾンビだった。
しかも数体ではない、数十体レベルのだ。
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