第492話―夏の終盤には線香花火を―

晩夏ばんかの日光。

すべてが眩しくて熱気的な振り返っていく思い出を懐かしみながら俺は冬雅と買い物デートをしていた。

夏の季節は残り少ない、そして来年は彼女またはパートナーと長い時間をすごすのだろう。

それは、きっと楽しみで幸せなことだけど選ばれなかった相手を想うと素直には喜べない。


(二人が告白を受けてから諦めてくれると俺の長年にモテない自負と冬雅と真奈なら絶対に俺よりも

上な人に傾くと思っていたがなぁ。

もうそれを楽観視していられなく状況になっている……)


年の差など一時的な気の迷いであり立場が違うのと魅力的な価値観、そしてあらゆる思い込み。

俺が思う、あらゆる思い込みは作品や容姿それと立場、年齢などによるもの。大人であるならJKとかショタなど高校生なら大人が持つ落ち着いた振る舞いなど。


「むぅー、また考え事している…

お兄ちゃん!わたしの声が聞こえていますか」


頬をこれでもかと膨らませて立腹であると分かりやすい反応で伝えようとしていた。


「わぁ!?びっくりした。

えーと話を聞いたか応えると、

途中から夏休みも終わるんだなとしみじみになって今年を振り返っていてね。聞き流していた…かな」


「そこで優しく嘘とかじゃなくて悪い印象でも真摯的に応えるの、

お兄ちゃんらしいですねぇ。

わたし、その裸みたいに向き合う姿勢が大好きです」


リスの戦略的な作られた表情ではなくて今度は心の底からの想いを包み隠さず言葉と屈託のない笑顔をする。


「…そ、そうなのか。

あっ、はは。ありがとう冬雅」


どうにか応えたけど照れて困惑しているのが明白な反応だった。

そして俺と冬雅はカップルのように発展していない段階の手を繋いで車道の端にある歩道を歩いていた。


「フッフフ、お兄ちゃんいつまで我慢が出来ますか?これぐらいでわたしの攻撃は終わらないのですよ」


「終わらないっ?」


「はい。毎日と告白すると宣言はしたものですがイチャイチャは使用放題となっています」


「し、使用放題…急にプランにありそうな言葉を。普通に会話をしない?」


不敵に笑っている。こういうときの冬雅は暴走して止まるまで進撃していく性格がある。

なにをされるか分からない。けど、過剰なアプローチは間違いなくしてくるだろう。


「そ、そうですよ。

ですので考え事聞かせてくれませんか?一人で抱えるのはよくないですし、わたしも悩みたいです!」


やや急展開に困惑したが本音を聞き出そうとしていたのか。

おそらく隣で歩いている俺が深刻そうに悩んでいたから冬雅は心配をかけてしまったのだろう。

このまま隠し通すのもありだけど、こんなセリフを吐いてでも聞こうとする姿勢に敬意を払って応えるとしよう。

そもそも是が非でも隠そうとするほどでもないし、冬雅も関係のある話てまあるから。


「理解しました。わたしと真奈がおのずと冷めてしまって諦めてくれると予想した。

想定外になっていたと…そうですか。

お兄ちゃん一つだけ言わせてもらいますよ。いいですか?」


話をするうちに腕を組んで呆れたりため息をこぼしたりとしていた。

ふむ珍しい反応で。


「ど、どうぞ」


なにを言うのだろうと関心と警戒がない混ざって促す。

肩を震わせていた冬雅は息を吸ってから言葉を発する。


「その時間的戦略または恋愛は5年が限界の論理はすでに破っていますよ。

もう、今さらですよ。

なんなら、わたしと真奈ずっと

お兄ちゃんを愛している自信はありますし生まれ変わっても一緒にいたいと思っているぐらいですよ!!」


言うとおり今更だった。

でも誰かを選ぶという約束の時まで遠くはないし迫ろうとしている。

それを近づくにつれ俺は迷いが生じて強くなっていくのだった。

これが最善な選択じゃないと。


「そ、そこまで先のことを考えていたのか…?」


「はい。正直に申しますと…怖いというのはあるけど無かったことや先延ばしされると良くないと思います」


顔を伏して呟くような小さな声。

その日を待ち望んでもいるだろうけど怖くもあるようだ。


「冬雅…そうだな。善処するよ」


この場面で最高なセリフを言い放ちたかったが俺はそんな器用なことや

弁が立つ人間じゃない。

しばらく歩いていと冬雅は俺の裾を引っ張った。


「お兄ちゃんあそこて花火セットでも買いませんか?夏休みの終盤編に」


「花火か、分かった静かに楽しめるようなものにしよう」


通りに面したお店の門をくぐり抜けて花火セットを購入して店を後にした。

家にたどりつくと軒の下にはセミの死骸が落ちている。

眺めていると夏が終わりを告げに来たのではと錯覚するのであった。

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