第491話―ジャックポット―

健全なカジノゲーム。


「お兄ちゃん他にも準備あるので待っていてください。それじゃあ真奈、紡わたしだけじゃ厳しいので助太刀をお願いしていいですか?」


「もちろん冬雅の頼みなら喜んで助太刀するよ」


「えぇー、インドア派のボクも。

こういうの兄ちゃんの仕事では?」


冬雅は二人を連れて上の階に上った。

さて日本では本物がかいので海外に足を運んばないとどんな空気か熱狂の渦なのか感じれない。

関心はあっても治安の悪いイメージの強い大規模の賭博とばくなる施設カジノには足を向けようとは

思っていないが。

魅力に取りかれたら破滅するから危険視して懸念はある。

でもゲームやラノベのようなスマートでオシャレな雰囲気のある健全的なカジノゲームは気軽に遊べる。

ある意味その安全性の高さのある

ゲームをやろうとすれば家庭用になると思う。

今日は思う存分にボードゲームのカジノを楽しもうと童心に戻って待っていると三人が戻ってきた。


「ど、どうしてそんな格好を!?」


「えへへ、何を言っているのですか?もちろん理由なんてカジノだからですよ。お兄ちゃん」


さも当たり前のように応えた冬雅。

けどそれを常識とは言わない。


「だからって…わざわざ本格的な格好とかしなくても」


「お兄ちゃん違いますよ。本物的なものは入手はしていません。

あくまでコスプレです」


「本物とか偽物でもどっちでもいい」


なにか用意されるのだろうなぁと待っていたら冬雅らしい演出だと思ってため息をするしかない。

ラスベガスで見掛けそうなディーラーの格好を冬雅と真奈それに巻き込まれて顔を赤らめる不死川さんの姿。

手元が少ないと口癖のようにある冬雅はどこでそれを手に入れたのか聞きたいけど聞きたくない。


「あの…お兄さんどうかな。

ディーラーの格好なんて初めてで恥ずかしいけど似合っていませんか?」


真奈は感想を求めてきた。

えぇー、言わないと駄目なの…。

とはいえ露骨なほど露出されていないディーラーの格好なので素直に真奈の格好を眺めることが出来る。

それにポニーテールが似合っており万能そうな美少女でより際立っている。


「こ、こんな変態プレイするのフユミンとマナマナだけでいいじゃんか!

どうして清純な美少女のボクまでこんな痴女ちじょみたいな格好しないと行けないのおおぉぉーー!?」


いつもの最新ギャル語を封印して羞恥と不満から叫んでいるのは不死川さんである。

それは災難だったと心中で、ご愁傷さまと祈るしかなかった。


「フフッ、嫌がっている紡もかわいくて素敵だよ」


「マナマナ!?それ異性が使いそうなセリフですよ。

もう、どうしてこんな恥ずかしい格好しないといけないの。変態みたいじゃない」


ここまで不平不満を口にする彼女を見ているとふっと思う。

どんな言葉で彼女をディーラーの格好をさせたのかを?


「あはは、その格好で変態だって叫ばれると…わたしなんか凄い格好なんだけどねぇ」


冬雅だけは苦笑していた。

おそらく否っ!こんな提案をするのは冬雅しかいない。それに冬雅だけは

紳士的なディーラー衣装ではなくバーニーガールの格好であった。

色気があってキラビかなカジノの空間を忙しく駆け回っている格好だ。

もはや脳の処理が追いつかないよ…。

状況についてこれず冬雅はゲームの進行を率先して務める。

きらびやかで熱狂とされるカジノルーレットまたの名をカジノの女王と呼ばれる幕を開けるのだった。


「……これで…連続10回目のジャックポットだねマナマナ」


若干の引き気味になってそう独白ように不死川さんは呟いた。


「あっ、またジャックポットなんだ。

意外にも簡単に取れるものなんだねぇジャックポットって」


そんな訳あるかとツッコミたい。

本来ならルーレットゲームにジャックポット(最上位の当たり)が頻繁に起こせるようなものではないのだ。

百回とやって当たるか当たらないかの低い確率。


「あ、あははっ。ゲームの加護を持っている真奈だから仕方ないんだよ紡」


「冬雅さん!こんなのデタラメなこと信じるのですか。針と落ちる玉が連続して止まるなんて奇跡と呼んでも

頷いて納得するなんてあるわけないじゃん」


遠い目をして成功した分析さえも放棄した冬雅の言葉を食って掛かるのは

不死川さん。


「えっ、冬雅さん!?

…うん、でもそれが[真奈]と一言だけ口にすれば運命も自在に操ることだって可能だと知っている人は納得すると思うよ」


「ななっ――!?そんなの…おかしいよ。やりらふぃ〜の極みだよ。

おかしいよ!」


机を加減して両手を叩く。

悔しそうにしているが謎の単語がどういう意味なのか俺はそちらのほうが気になる。

もしかすると隣に座っている歩き図書館の異名があってもおかしくない真奈の翻訳を待つ。


「そのお兄さんワタシもすべて知っているわけじゃないんですよ。

やりらふぃ〜の意味は複数あって、

多いのはテンション高い人だよ。

後その他はパリピな人とかなど」


「そういう意味なのか。控えめに言っておきながらも知識量が豊富で、

さすマナと感じたよ」


「フフッ、そうですか?」


ふむ、隣で嬉しそうにする真奈を見ていると和んでしまう。


「それじゃあ次の掛け金を」


進行役である冬雅はそう促した。

ルーレットゲームの賭けの数字には大きく分けて2つの種類がある。

その一つにアメリカンルーレット。

ゼロと2つのゼロが含まれた38の数字で構成されている。

2つ目はフレンチルーレット。別名ではヨーロピアンルーレットされる。

これはゼロ含んだだけの数字が37と

構成されたルーレット。


(俺たちが遊んでいるのはアメリカン式ルーレット。

ゼロゼロにチップを置くべきかな?)


掛け金は専用のチップで当たる方の数字の上に重ねて置いて賭ける。

レイアウトという用語がありチップを置くシートなどを指す。

そして各プレイヤーが掛け金を決めた後はウィールと呼ばれる回転盤かいてんばんを回す。

そしてディーラーがボールを投げて落ちた方の数字が書かれた方が当たりという至ってシンプルなルール。

そして盤の上には針があり頂上部分に止まってボールが落ちている状態で止まるとルーレットのジャックポットになる。

そしてボールが落ちてルーレットが止まると真奈が賭けた数字に落ちていた。しかも針のある一番上に止まっており連続11回のジャックポットと

なる。


「なんでやあぁぁぁっ!?」


頭を抱えて叫ぶ不死川さん。


「つ、つむぎ落ち着いてぇぇ」


なだめようとする冬雅。


「またワタシの勝ちですねぇ」


難なくそんか絶対に起きない確率を平気で起こした真奈。

なんというかカオスだった。


「は、はは…す、すごいスゴイ」


もう苦笑するしかない。

混沌と化していく中で俺はそんな言葉でしか紡げなかったのだった。

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