第485話―告白の駆け引きは賭場のよう―

魅力的なのは我慢を強いられる。

気温が高くなるのが夏季かきとして突然であるのだが毎日に近い頻度で訪れる冬雅を家に上がると二階の一室で着替えてリビングに降りる。


「わたし登、場なのです!

どうですか?お兄ちゃん大胆に攻めてみましたが」


「ああ、凄くかわいいよ。だから…冬雅よ。頼むから早くノーマルな格好に着替えてくれ」


非常に短いフリル付きのスカートと何故かトップスは普通のピンクカラーのシャツで現れた。

問題なのは上ではなく下である。

大腿部だいたいぶを8割ほどあらわにしており少し風を吹けばスカートの奥が見えるという非常に危うい格好である。仮に見えてもいいようにズボンを着用などしているはずだと思うが周囲からの評価を参考にするなら下着の可能性はある。変態だと思っては

いないが他の女性陣からはそうは

見えていないらしい。

まぁ毎日とこんなことと告白を敢行をするのだからアプローチが異様なのは間違いないけど。


「えへへ、かわいいですかっ!?

もっと見ていいんですよ。いつか、そういう関係になるので」


丁重ていちょうに断らせてもらうよ。それより以前に増して変態的な言動を…早く着替えてほしいかな」


「へ、変態じゃないですよ!

少しだけ自覚はしてはいますが。

お兄ちゃんが大好きですので、ここまでするんですよ。そ、それじゃあ着替えに行きます」


顔を朱色に染めて冬雅はリビングのドアを勢いよく開けて廊下に出る。

恥ずかしいのなら言わなくてもいいのにと思ったが、この結論の繰り返しだなと嘆息をこぼすのだった。

戻ってきた彼女は、家に訪れた格好とは別の格好で現れた。もう何着あるのですかと問い質したくなるが女の子だから当然かなと指摘するのをやめた。

上下それぞれカラーリングは橙色。

それでも外で出るには、少し露出度だったが屋内でなら良識的なものだった。最初からそれでいいじゃないかと口にしそうになったがやめた。


「聞いてくださいねぇ、お兄ちゃん。

女子高校生であった去年の峰島冬雅は成長して大人になりました。

ですので少し告白もランクアップしてもいいのではないかと思いました」


決意をしたキラキラとした目をしているが不安と戦慄しかなかった。

これよりもさらなる上があるのかと考えると未知な領域で想像がつかない。


「い、今のままでよくないかな?

告白だけでも大胆でやり過ぎ感があるわけだし」


手をジェスチャーごとく矢鱈やたらと動かして外国人みたいだなと客観的に考えていた。


(俺はなにを言っているのだろうか…)


おかしかった。

こういう年が離れていると無茶や配慮より欲望を優先して要求するのは年上のはずであり、どうして十歳も下である冬雅が関係性を早めようとするのか?いや、しかし当然の要求ではなかろうか。表上には付き合ってはいないが距離感や生活から付き合っているのが適切なほど近いのだ。それをいえば真奈もそうなるので罪の意識が強くなるが今は後で猛省するとして

冬雅はもう2年ほどになる付き合いだからキスとかしたいことなのだろう。

そこを慎重に冬雅の将来とか後々に嫌な記憶として刻んでほしくないので避けるようにしていたが…そろそろ直視しないといけないのか。

それでも俺の意見は変わらない。


(せめて来年まで待ってもらうつもりだ。真奈と二股みたいだから…こればかりは)


欲望という邪魔な感情を取り除いて冷静にお互いのためになれる折衷案を考えたのはそれだった。

こればかりは何があっても変えるつもりは無いつもりだ。

そして冬雅は緊張気味に言葉をする。


「宣言します…お、お兄ちゃんと手を繋ぐことを今後から始めたいと思いますので、よろしいでしょうか?」


……ふむ。手を繋ぐか。

キスではないかと警戒をしていが、まさか手を握るか。もしかしなくとも真奈に感化したのかな。


「えーと、理由を尋ねても?」


「もちろんです!

ほら、わたしたち前は手を繋いでいて逢瀬おうせを重ねてきたじゃないですか。ある日から無言の廃止になったじゃいですか。ですのでこの機に

復活したいと思うのです」


「なるほど、気持ちは分かったよ」


さて、どうしたものか。

断ろうと決めていたが真奈と手をずっと握っており冬雅だけは出来ないのは理論を並べても冬雅からしたら横暴になるかもしれない。


「分かった。そうしよう」


渋々ながら俺はその条約を飲むことにするのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る