第472話―レモンを持ってあかね書店へ第二章―

この悩みは例え知り合いでも大人のとても聞くに耐えないような話にしかならないはずだ。一緒になって問題を

解決また近い状態にと考えてくれるのは申し訳ない気持ちになる。


「すみません。こんな話にしてしまって三好さんからすれば迷惑ですよね」


「こんな話でも迷惑でもありませんよ。そこまで冬雅のお兄さんは私との関係が浅いと思われているのなら悲しいです」


「…ごめん。後になってからよく気づいているのに、俺は信頼関係のある人に対して巻き込まないようにしようと遠ざけて排除のようなことをしていたのかもしれない」


「それはいくら何でも考えすぎです。

と言いたいですがそうした結果をよくありますよね。

そうすると真奈さんたちが軌道修正してくれたおかげで収まっている場面はあります。そのため大好きとか過剰な接触をするのは見ていて……恥ずかしかったですが」


彼女なりの思ったことを口にしてくれて第三者にしか見えない部分が知れた。貴重な情報を見返りがないのも悪いのでお返しの品がランクアップするとして珍しいことが起きた。

いつもは接客から培っただろう微笑みを浮かべているのが怒りや悲しみなどを滅多にしないはずの三好さん。

目の下から赤く染まっており視線を逸らしていた。いったい何を思い出しているのかそれを聞く勇気がなかった。


「ぜ、善処いたします。ところで話を変えますが三好さん好きな場所とか食べ物ないですか?」


「はい?」


意図が伝わずに首を傾げていた。

それもそうか、唐突にそんな質問を投げ掛ければ誰でもそんな顔をする。

今度は、独りよがりな言葉をしないよう自省せねば。


「こうなれば隠さずに言いますと三好さんのお礼です。

ここまで協力姿勢であるのに恩返ししないと失礼ですからね」


「ハァー」


呆気取られていた彼女だったが次は大きな嘆息をこぼして呆れの表情をこちらに向けていた。

あの、そんな失言をしましたかね?


「真奈さんがときどき愚痴をこぼす気持ちがよく分かりました」


「よく分かったのですか?」


「はい。いいですか、冬雅のお兄さんには自らの行いと好きな相手とのほどこしを相互的に分析をする必要があります」


相互的な分析か。そのあとに施しという単語を使っていたのが理由なのだろう。それは恩をさらに返そうとして相手もそうせざる得ないことか。

または受けた恩が山のように積もって、それが押し付ける圧力になっていると警告。どういうことなのか詳細に語ってもらいたいが自分で見つけないといけない問題ようなものかもしれない。なら見つけないと。


「……そうか、分かったよ相互的に分析してみるよ。文系に全振りをしたような人間だから上手くいえるかわからないけど」


「以前の冬雅さんみたいなネガティブをしています。でも強い意志とかを宿った目を見て納得させられました。

なので前向きなのは良いことなので影から応援しておきます」


「ああ。必ずハッピーエンドにしてみせるさぁ」


「それですと二人に結婚するという解釈になりますがよろしいですか?」


「……よろしくないです」


自分に対しても誓いと成功させろという鼓舞を込めた言葉だった。

しかし内容からして倫理観なんて僕しらねぇやぁー!みたいな蛮族ばんぞくようなセリフになりますね。

でも二人のうち選んぶのだから泣く者はいる。そうならないようにするのは無理だろうけど未来を見据えなくなったり希望を失うことだけはしないようにしたい。


「フフ。さて良いものを持ってきますので待っていてください」


「いいもの?」


その疑問には応えず休憩室を出ていく。荷物を持って帰るわけにはいかないだろうなぁ。

電子書籍版の檸檬を再び間を開けずに読むことにする。5ページを過ぎたところで三好さんが両手には本を重ねて運んできた。それをテーブルの上にゆっくりと下ろした。


「これは?」


すると三好さんは目を輝かせた。

あれー?なんだろうなぁ、不安というのかバトルマンガでいうと嫌な気配を察知したのだけど。


「よくぞ訊いてくださいました!

これはですね真奈さんたち攻略ための知恵です」


知恵とはなんぞや?そんな間抜けな顔をしているのだろうなと思いながも一応つぶやく程度に応える。


「ちえ?」


「そう知恵です!女子大学生を堕とすための戦術書。そして合コンで大人の施設に向かうための時流を読む手段。

そして女子大学生をナンパして100%成功させる必勝法という啓発書けいはつしょみたいなものをどうですか?」


「いらないです。すみません気持ちだけ受け取っておきます」


「フフ、そう言うと思いました」


でしょうね。悩みとは細かく関係ないのも入っているし、そもそも怪しさとかサイコパスな本を勧める事態が話のユーモアを狙っているのが明らかですからね。


「本当はこれを渡したかったのですよ。はい、受け取ってくださいますか?」


書店である制服からのポケット出したのは映画のチケットであった。それも三人分である。なのだが――


「そのウルウルと上目遣いと頬を赤くして告白みたいにしないでくださいよ。まったく……ありがたく使わせてもらいますね」


「楽しんでくださいね」


そうさせてもらう。これで恩返しの品がダブルランクアップした。ランクアップマジックを使用したのだろうか?

一時的にそんな現実逃避をしたが俺だった。ともあれ帰宅してすぐチケットを知り合いがいらないと頂いたと告げる。それから一週間が経つと冬雅と真奈を連れて映画館に足を向けた。

渡されたのは人気の恋愛青春ものであったので楽しめるかなと不安であったが俺の不安は杞憂となり二人は十全と楽しませることができた。

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