第378話―1月8日は名探偵コナン―

…そう思いました。

けど現実は「これは俺と彼女の物語だ」なんてカッコよく語ってみたが冬雅だけじゃない。


「お兄さんワタシ思う…たまには優しくない日もあっていいじゃないかなって」


肩が当たる距離でソファーに座る真奈が唐突にそんな事を言った。


「素朴な疑問ですけど俺が優しい方がいいのでは?」


「うん。でも、お兄さん優しく在ろうとし過ぎかなって、なんとなく」


「ど、どうだろうね」


「フフッ、お兄さんワタシの前では無理しなくてもいいんだよ」


あの謎の語り口から冬雅が中に入って一時間ちょっとで訪れた。

それも…二人ともボストンバッグを持って今日からここで泊まると

俺に上がって早々と言った。

もういいけどね、前もって報せる

ほしいなんて聞いた試しが少ない。


「あ、あの…二人共そんなにラブラブされると恥ずかしいよぉ」


炬燵こたつの中で猫のように寝転んでいる大人気アイドル猫塚李澄ねこづかりずむが頬を赤らめて忠告された。

猫塚さんはアイドルだけあって容姿端麗でセミロングヘアーの黒い髪はつややか。そしてキレイな瞳を隠そうとサングラスをつけている。


「そうだ、そうだ!」


攻撃的な野次を飛ばしたのは炬燵に入って座る比翼。俺の隣、真奈とは反対側に座る冬雅は羨ましいそうに向けている。


「お兄ちゃんと真奈を見ていると、運命の人感がすごいすぎるよ…」


冬雅が複雑そうな笑みで呟くのだった。俺と真奈はイチャつきすぎだと指摘されてお互い頬が赤くなっていると追加で指摘されるのであった。

1月8日のリビングに集まっているのは冬雅、真奈、比翼、猫塚さんの美少女さんの四人。


「コホン。ではでは、おにいちゃんとおねえちゃん達に知っていましたか?

1月8日はアニメ名探偵コナンの放送日した最初の日なんですよ」


この中では最年少の比翼は人差し指を立ててグルグルと回して言う。そうなのかと俺は好奇心の薄いまま思っていた。

その言葉に大きく反応をした示したのは真奈であった。

大きく手を挙げて。


「うん。知ってるよ、軽い記念日なんだ…今年がアニメ放送して25周年になるんだよねぇ!」


そうなると放送したのが1996年。

目を星のように輝かせる真奈に、比翼は若干と引いていた。


「そ、そこまで知らなかったよ真奈おねえちゃん…」


「おぉー、すごい知識豊富なんだね」


猫塚さんは真奈に憧憬の眼差しを向ける。横になったままで。

言われてみれば確かに真奈の知識は18歳とは思えないほど持っている。


「切り出しからアニメの放送日を察するなら今日は名探偵コナンを見直すんだねぇ」


「真奈おねえちゃんの推理で間違いないんだけど…なんだか

見直す単語を聞こえたんだけど、もしかして見ていない回とかないとか?」


頷いた比翼は途中から冷や汗をかく…ような声音で尋ねる。


「フフッ」


「なんだろう、その意味深な笑いは」


比翼のツッコミに結局は答えずにブルーレイディスクを持参した真奈。見終わると真奈が語った――

長い回で犯人が唯一に死亡すると。


「それに様々なコナンに出てくる人達の恋愛シーンも見所なんだよねぇ。

皆キュンとなるシーンや気になる人物の一人や二人もいるよ」


熱弁を振るう真奈。分かってはいたがコナンの典型的で熱狂的なファンだと。しかもマニアックな話を当たり前のように

するので俺達はついてこれないと気が多々と起きるのだった。

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