第375話―これまでよりも毎日の告白―
新年に慣れ始める1月6日。
冬雅が午前9時ジャストで来ますと宣言を午前3時にラインのメッセージに送ってきた。
それを朝の7時に見た俺は、(いやいや睡眠時間を確保しようよ冬雅!?)っと心中でツッコミした。
時間になると本当に訪れてきたのだった、橙色の晴れ着で。
「去年は色々とあったけど今年もよろしくお願いしますねぇ。
お兄ちゃん、大好きだよ」
「…あ、ああ。よろしく冬雅」
「えへへ、どうしたのですか?
普段よりも挙動が変になっていますよ」
両手を後ろに組んだ状態で前傾姿勢のようにして顔を覗く。そんな可愛い仕草に俺は鼓動が一段と高鳴るのが自覚する。
どうして今日に限ってこんな動揺するのかは冬雅の晴れ着。
「その、ほら冬雅に大好きだって伝えてから意識したと言うのか…あっ!ストップ今のは聞かなかったことにしてほしい。頼む」
惰性的に両手を合わせると、お願いをすると手にぬくもりが感じた。
「そう、だったんですねぇ。毎日の告白した成果かな…こうすれば、もっと意識してくれますか?」
ぬくもりの正体は冬雅が両手の甲をなでるように包むように握ってくれたからだろう。
そして冬雅の言った言葉には激しく心が動くものがあった。
戸惑いながらも俺は素直に応える事にした。今さら隠すことは無いから。
「そう、だね」
「え、ええーと…照れるの久しぶりに見ました。お兄ちゃん、わたし名案を浮かびましたよ!」
おもむろに右手を胸の前で低く掲げた笑顔で
ここで分析をする。
顔は仄かに赤らめた笑顔、そして何よりもひらめいた案で心を弾ませている。
ここまでの情報を考察すれば昔日の既視感が不意に思い出す。
「め、名案か…」
「はい。でも失ったこともある悲しい話なのですが……」
「失った?」
どんな告白をするのかと覚悟をしていたら意外な言葉に俺は戸惑いを覚えた。
「はい。隣にいるから思うんです。
もし、お兄ちゃんと別れていなければ告白を続けて、もっとデートや想いを重ねていたんじゃないかって」
「え、えーと、それだけ?」
沈痛な表情を浮かべていた理由を聞いた率直な感想をすると、
冬雅は少し不満そうな顔になる。
「そ、それだけって…お兄ちゃんは離れていても寂しくなかったから言えるんです。
離れた頃の生活は孤独でしたし」
冬雅は語るにつれて次第に声が落ちていき俺がいない間に寂しい気持ちでいたのが伝わる。
どういう感情だったのか理解しようとする想像の領域ではなく、これは身を持って味わったものだ。
前途を見失った絶望が心を侵食していくようや感覚。
「冬雅…」
幸い俺には真奈達がいてくれたおかけで冬雅よりも孤独感はなかった。
しかし顔を上げた冬雅はネガティブが晴れたように口角が上がっていたのだった。
「離れて会えなかった分は戻らない。ですので、これから告白する回数を増やそうと決めました!」
言い放った言葉に俺は理解するのに不思議で悲しい事にそう時間は掛からなかった。
「そ、そうなのか。でも程々にお願いするよ」
この要求は無下にされるだろうなと分かりながらも忠告する。
「覚えていたら。見事に条約締結に導いた事で早速わたし告白しますねぇ。
来年は指輪交換をして愛を誓ってギネス記録を認定させる恋人に…あれ?もう恋人でしたけ?
そんなわけで、ずっと寄り添える仲になりたいです。大好きですよ、お兄ちゃん!」
なんだか壮大的な言葉が出てきたが冬雅の一言で俺はそう心に呟き納得する。
忠告してすぐに全力好意を表情と言葉に向けられると頬がだらしくなく弛みそうで顔に出さないよう堪える。
「と、とりあえずリビングに入ろう」
熱烈な告白の応えはこれだった。
開放した好意に応えるのがあまりにも恥ずかしく冬雅が求めていない言葉で
しかし
「な、なんだか恥ずかしくなってきました…横に寄り添うと」
「そうか…恥ずかしいなら無理しなくても俺達のベースでいいじゃないかな?向かいで座っても」
「イヤです。離れたくないよ」
首を横に振られ断れました。
状況を伝えよう…俺が炬燵に入ると、その強引に入り込んだのだ。
肩と肩が触れる距離などよりも距離は近い。最初は左の膝上に乗っていたがバランスが悪いので「真ん中に座ったらどうかな?」と提案をすれば、とんでもない状況になった。
そして俺はどうにか離れないかと思考で巡らすが…いい匂い、当たっているなどで頭がいっぱいで解決案はなかなか浮かばない。
「冬雅やっぱり離れてくれないか?落ち着かないというか…
堪えれないというか」
「えへへ、分かりました。もう少し我慢してください」
「理解していたけど…聞いてくれないか。…はぁー」
「ひぅッ――!」
冬雅は肩を跳ね上がったのは膝上に座っていたから耳にため息が当たってしまった。
冬雅は振り返って顔を赤らめて訴えるような目を向けられたが意図的にやっていないと悟ると照れ笑いを浮かべる。
「ごめん目の前にいるから…それで見つめられると困るのだが」
吐息がかかるほどに近い。そのうえキスするんじゃないかとそんな考えが脳裏によぎる。
「え、えーと、その…もう少しだけ。
この機会そんなに無いので」
時間が止まったように冬雅だけを見る。瞬きして、目を逸らしたり、顔を鮮明になるほど赤さが増したりと、そんな動作だけを飽きずに見続けていた。
「わ、わがまま聞いてくれてありがとう。大好き…どれだけ年を取っても言うからねぇ、お兄ちゃん」
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