第373話―悟られたのは冬コン―
今日も楽しく満ちた日になる。
そうなるのは
「お兄ちゃんおはよう。今年も嬉しくて幸せな新春を迎えられて幸せで、わたし…」
そこで冬雅は感情がこらえ切れずに言葉を終わる少しで号泣した。
一緒に暮らすようになってから涙腺が緩くなっていた。
「冬雅…感極まる気持ちは分かるよ。
離れてしまって、もう近くにはいられないと俺は思っていたよ。
いや離れると言ったけど別れてしまったのが適切か」
今日が1月4日を迎えても冬雅と隣でいられるのが夢か幻かと思う。
眠りから目覚めると夢ではないかと霧がかかっているような懸念はあった。
「はい。別れてしまったのは人生でこれでもないほど辛かったです…」
「ああ、恥ずかしいけど俺も。
想い人に別れるのが、こんなに辛いなんて人生で初めてだったよ」
初恋が報われないと膨大な結果があるのは頭の隅に今まで眠っていた。
別れてから足元が崩れ落ちるようだった。そして隣にいても眠っていた初恋は確実に失敗すると目覚めて苛まれる原因の一つとなる。
そんな不安は冬雅の笑顔で払拭する。伝えようと俺は言葉をゆっくりと継ぐ。
「それでも大好きな人のためならと堪えることは出来た。
けど、それは声や想いを聞いていなかったんだろうな。
冬雅の想いを正面から向き合おうと思ったんだ」
「お兄ちゃん…わたしも。
大好きだって告白を貰いましたので頑張って告白していきます!」
快活に笑う姿は、微笑ましく愛おしく感じた。頬を赤らめていたままで。
隣にいてほしいと言葉にしようとして止める。これでいいのか?
「隣にいられない時もあるけど、俺は冬雅を愛している…大好きだって、毎日と告白をするよ」
「………ま、毎日を告白を?
お兄ちゃん、だ、大好き…」
真っ直ぐ俺が告白したからか冬雅は耳たぶまで赤く染まり俯いて告白を返すが声は小さい。
いつもの猪突猛進型の勢いはなく、それでも冬雅の好意は伝わった。
二人で一階に降りて身についた習慣に合わせながら差異を楽しんでいた。
朝食の時間が迫ると彼女が訪れた。
「フフッ、お兄さん来ました」
水色と白をした晴れ着を纏うのは、お淑やかで才媛の
潤いがある美しい栗色のポニーテール、
真奈は俺の背にいる冬雅を一瞥して明るい笑みを浮かべるが僅かに暗い表情もする。
「昨年は何かとお世話になりまして、ありがとうございます。
お兄さん明けましておめでとう」
「いえいえ、こちらこそ。
明けましておめでとう真奈。
去年よりも楽しい年にしよう」
「明けましておめでとう真奈。
わたしに気を遣わないでどんどんお兄ちゃんにアタックしてねぇ」
まさしく
二人が狂喜乱舞と浮かべれば、舞い上がっる自分がいる。
やはりと呟くべきか真奈がいればリビングはゲームの始まりとなる。
「ワタシもう18 歳、そして今年で19歳の立派な大人になります。
ですので、お兄さんアサシンクリードやりたいと存じます!」
真奈は弟がよく遊んでいたゲームのパッケージを手にしていた。
ゲーム企業ユービーアイソフトのフランスの首都パリに本社を置いている。その中で代表作の一つがアサシンクリードである。
ソファーの左から真奈、山脇東洋(俺)、冬雅の位置で座っている。
「大人アピールがすごい…
真奈はそんなに関心を持っているなんて以外だったよ」
「うん。18歳になったら大人向けのゲームをしたかったですので」
満面な笑みで、受け取り側が困るような言葉をする。
「ま、真奈その言葉は…色々と危ないよ」
「危ない?」
冬雅の指摘には小首を傾げる。
まぁ、このゲームの年齢制限は18歳以上だし真奈が一度は耳にしたゲームでも手を出せなかったのだろう。
けど、どうして今日なのだろう疑問はあったが訊くのも無粋と思い心に留める。
真奈がプレイするのは [シンジケート]だ。舞台は産業革命のイギリスであり切り裂きジャックの脅威に晒されていた時代となる。
最近のアサシンクリードでは主人公を男女のシステムとなっている。
前は伝説のアサシンのアルタイルやエツィオ・アウディトーレなど固定の主人公しか選べなかった。
個人的に俺はエツィオ・アウディトーレのシリーズが一番よかった。
「ねぇ、真奈どうしてゲームを?」
「お兄さんの話に出てきたゲームなので軽く調べて興味を持ったのが始まりだね。
それに、共通の話題が出来るから」
なるほど…で、いいのだろうか。
ともあれ純真な真奈が遊んでも大丈夫だろう。このゲームは年齢制限で誤解されるけどエロゲではない。
蔓延る悪をアサシンが暗殺して真実を置い、過去に遡るヒーローもの。
もし流血シーンが苦手なら設定で無しにすれば年齢制限がかなり下がると思う。
なりより、このシンジケートはチュートリアルみたいなのがあって初心者に優しくストーリーは他のナンバリングと比較しても短い。
「わぁー…なかなかスリル満点でワクワクする。それに凄いクオリティー!」
「お兄ちゃん、真奈がここまでテンション上がるの珍しいねぇ」
「ああ、そうだね」
最初から初心者とは思えない動きだったけど真奈だと俺は、それ以上を考えるのをやめた。
それから異常なスピードで上達していく。長くなるので俺と冬雅は
それぞれ部屋にある道具を取りに上がる。リビングに戻り始める―
俺は小説を、冬雅はイラストをひたすら書く。
日が暮れるまで3人は没頭して続けていた。冬雅が俺の肩を優しく叩き手を止めて見上げる。
立った状態の冬雅は困った表情で告げる。
「お兄ちゃん言い忘れていたけど…今日が最後なんです。
家に帰らないといけなくて」
冬雅は今に泣きそうな瞳で、本来の自宅に帰らないといけなくなった事を伝えてきたのだった。
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