第324話―ポジティブなJKによる瓦全で定期的な告白―

好意を抱いている人が二人もいるのに喜んで!なんて返事をする

わけがなく断った。

勇気と力を振り絞った告白ではなく軽かった。そこには告白するだけの強い想いや時間の共有もない、そこには優しさや愛情の類似するものは見えず突発的で好奇心が垣間見た。

その行き当たりばったりな告白に深い傷は与えたいだろうと安心して断り終わったと思った。


「へへ、そしたらさぁ担任の先生が名前を間違えたんだよ。普通に無いよね。半年で男の子と間違うんだから」


土曜の昼に例の女の子にたまたま出会ってしまって喫茶店で話をしていた。どうしてこんな事になったのか…。


「コロナだからだろうね。休校になっていたり再開しているけど一部だけ授業したりと教諭も忙しいのだろう、きっと。

間違えたくて間違ったわけじゃないと思うよ」


「いやいや、無いでしょう普通に。でもそういう事もあるのかな?ねぇポニーテールの女の子、真奈だったかな。どこまで進んだの!」


本命はこれか。どうやら口をこぼしやいように話を弾ませたのかもしれない。っと、そんな事を考えるような人には見えない。

謀略を巡らすタイプよりも真っ直ぐアタックする様がある。

ともあれ捲土重来けんどちょうらいを図り返そうとしているのなら嫌われる言動をして冷めてみせよう。


「そうだね…口にははばれるような関係とだけ伝えておくよ」


「えぇー、以外なんだけど。やっぱりキスとかしているんだ。

けど、こんな時期なのに子供とか出来たら大変だからやめたほうがいいと思うの」


「……そ、そうだね」


「あれ?なんだか顔が赤いよ。

真面目な話をしているのに何を考えてるの。罰としてイチゴをいただき!」


注文したショートケーキのイチゴを奪う有言実行。欲しいなら普通に頼めば、あげていたのだが。

この子は信頼関係を浅いままでも土足に遠慮なく入っていく。


「そんなに欲しいのなら注文しいなら注文してもいいよ。もちろん俺が奢りで」


「マジで!?でも、やめておくよダイエット中だから」


「ジョギングしていたからね」


彼女とバッタリと会ったのは買い物の帰り道だった。土曜日は人が多くって辟易しながら歩いていたら白のスポーツウェアで走る彼女は目の前で歩く俺に明るい笑顔で手を振って近づいてきた。

ともかくダイエット中なのにイチゴタルトを頼んでいると見て誘惑には弱いのだろう。


「ねぇ、そういえば名前をまだ言ってなかったよね。長く付き合っているけど知らないのは、どうかと思うんだよね個人的には。

改めてはじめまして!広岡花恋ひろおかかな

花に恋を書いて、かな呼ぶんだ。普通に考えても、かれんなのにね」


饒舌に名乗った広岡ひろおかさん。確かに下の字と呼び方を将来的に考慮しても頻度が高い方へするのに、その疑問には同意する。


「俺の名前は…コホン、私の名前は

山脇東洋やまわきとうようと呼びます。何回も会ってはいるけど初めてまして広岡さん」


「やまわきとうよう…あっははは!変な名前。けど、嫌いな名前じゃないかな、ねぇ!呼び方は大事だと思うんだよね。

何をと疑問を追求したら仲良くなれる気がする!相性がいいと思うので、これから東洋……って呼ぶね」


テンションが高いな。それに名前を知ったばかりなのに呼び捨てか。

それに東洋を発するのに頬を赤くなるのは、やめようか。見ていて誤解とか生むだろうし不意打ちでドキッと僅かにもするものはあるのだ。

そして俺の思考も通常よりも速くなっている気がする。

頭が速くなるのはいい事だけど、リソースの無駄な方へ使用している気がする。


「マシンガントークだね。それじゃあ俺は、これで」


「ちょっ!?こんな美少女に名前を呼ばれて帰るの…えっ顔が

マジの奴だよこれは……嘘じゃん。だって、だっていつもなら

コロッといけるのに。まさか、東洋は同性しか愛せない人なの?」


伝票を持ち会計をしようと立ち上がると広岡さんに手を捕まれ

引き止めようとする。


「いや、そんな事はないけど…百合は正義で平和だと思っているけど、好きな人は…女の子で」


「うわぁー、私を自然と好きと言いますか。さすがに引くかな。でも少しだけ付き合うなら考えてもなくはないかな?もちろん彼女とは別れるか話をしてから彼氏に

しないので!」


「…はぁー」


「あれっ、ため息!?」


なんていうか、典型的リア充な女の子ではないようだ。思い込みが激しく昂ぶると話が長くなる

溢れんばかりの強い個性の持ち主。


「これから長い付き合いになりますが、よろしくお願いします広岡さん」


「あっ、はい。これはご丁寧に…気づいたんだけど東洋って変人だよね?」


「そうだけど」


「認めた!?否定とかしないの」

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