第323話―ふゆコン肆―

平日の夕闇で哀愁感を漂う住宅街。寒さを感じる秋風が吹き抜けていく度に冬が近いと実感させららる。


(なんだか色褪せっているなぁ…毎日なんて告白した冬雅が懐かしい。今でも夢なんじゃないかって思えてくる。

揺り籠で長い眠りについていたのが目覚めた失望と不安が押寄せられるみたいだ)


いつもなら真奈が来てくれるけど今日は通院などあること来られない。

それにビジネスマンの移山も落ち着いた事で、忙殺なスケジュールで近くのビジネスホテルに泊まると、あっけらかんと昨夜の月曜日に言った。

急な訪問者が無ければ今日は一人。


「はぁー…」


(冬雅と会う前なら慣れている孤高の時間。一人なら喜んで小説のために妄想するんだけど…今日はそんな気分になれない。

…いや、違う。一人の時間に怯えているとか恐怖とかじゃない)


なんだろうか、このもやもや感は。とりあえず自問して自答しようか。買い物した帰路には丁度いいかもしれない。

冬雅の笑顔を見れなくなったから?それはイエスだけど…。

冬雅に付き合えなくなったから?

極論的な見方をすればそうかもしれないが…。

帰っても誰も待ってもいないから無意識に抵抗力が働いているとか?いや、そんな事はない。


(何を悩んでいるかなんていう単純なテーマなのに原因が分からないなんてバカげている。まるで

フィクションみたいだ。

少し発想を変えてみるか)


逆算的に、探すのをやめる。原因という概念を理解しようとして

見えなかったものを俯瞰的ふかんてきに。

俺がやりたくないことはなんだ?


(そうか…冬雅が幸せなのか、どうしようもなく心配なんだ。

それと真奈の恋情にどう応えればいいのか分からない事も。

それを少し遠く感じたから不安になったのか…)


だとすれば解決するのは冬雅の件で決着をつけないといけない。

冬雅が本当に幸せなのかを、抱いている恋心を吟味する必要がある。

場合によっては潔く諦める。それから真奈の気持ちに向き合えるから。


(今になって明確的な行動を見出すなんて遅すぎる。でも前進している)


その行動を起こすためにも冬雅とどうやって会うかだな。


「あれ?こんな所で会うなんて何かありました?」


「んっ?…ああ!きみは、あの時の」


家の近くにある公園で真奈といたら怪しいと義憤を燃やした疑ってきた中高生。その好戦的であり純粋な瞳と艷やかなセミロングな特徴の女の子。

今日は制服姿で明るく振る舞っているが隣に真奈がいないの心配

してくれているのを声音で理解。


「いや何もないよ。今日は誰もいないから一人で食事をするのかなんて少しブルーになっているかな?」


「そこで自信を持たないって…えーとフラレてしまった?」


普通に考えればそうなるか。


「振られはいないよ。そんな簡単に冷めてくれたら隣にいないかったな。遅くなったけど、

こんにちは。それよりも逆に問うけど帰り道?」


「まぁ、そうですね。合コンで知り合ったイケメンがいたんだけどグイグイくるから別れて帰っている」


「へぇー。…ご、合コンって行って大丈夫なの?大人の人が多いとか」


「あはは、平気だって。それに高校生限定の合コンなんだからね」


なるほど、それなら…とはならない。白い歯を目に出来る笑みを浮かべる彼女はマスクしなくて注意力が欠落していると思った。

指摘するべきかと悩んだが通り過ぎる人も少ないし距離があるからいいかと諦める。


「それよりも聞いてよ。相手の男なんたけど手を握ろうとして

下心が出ていてキツかったんだ」


「そ、そうですか。長くなるなら近くの公園で話をしませんか?」


「そう?じゃあそうする!」


俺の提案に首肯する彼女。

前にあった公園のベンチに少し距離を空けて隣に座り、俺は自動販売機で飲み物を買う。気分はブラックコーヒー、彼女はオレンジジュース。時間は余っているし今日は誰もいないからと思って話を

聞いて相槌を打つ。


「ま、待ってほしいんだけど。それって社会人が相手だけど大丈夫なのですか?」


「あはは、心配なんて無いから。面白い人だから付き合っていただけ。大事にしてくれる見る目は自信はあるから!2時間ですぐに、いやらしい目をしたから忙しい理由で断るようにして自然消滅」


「そんな明るく言わなくても」


箇所にモテる事へ自画自賛。それに見る目があると嘯くのも人物評なんて確実に判断なんて出来る

わけがない。見た目とおりの率直に従って生きていく本能的な人だ。


「もう日が暮れますよ。帰りが遅くなると両親が心配するはずだから今日の愚痴ぐちはこの辺にしましょう」


「はーい。分かりました!バイバイ」


「ああ、それじゃあ」


腰を上げると彼女は手を振り別れを告げたので俺も返事をする。公園を出ようと右足を前に踏む。


「ねぇ、もしよかったら付き合ってくれない?これ恋人って意味で」


「えっ?」


俺は名前をまだ知らない会って数回ぐらいの女の子に告白された。

それもまた女子中高生にだ。

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