第300話―破約の王様ゲーム―

こよみの上では9月となっているが感覚的には夏の暑さで到来が距離があるさわやかな初秋しょしゅんの季節。

冬雅達は未来を見据えて進んでいるというのに俺はこのままでいいのかと自問自答を繰り返している。

小説を応募や投稿しているが芳しくなく別の道を模索しようかと考えるが雇用が難しい時期にすぐに見つかるとは思えず彼女達に大変な時期で先延ばしと決めていても、どうしても考えてしまう。


「ハァー、袋小路ふくろこうじすぎる」


小説を書くのも、なんだか億劫と感じてしまって打鍵音を響かせる事が出来ない。

モチベーションが下がり今日も明日も不安を覚えている悪循環。


(小説家になれるのか・・・そんな弱音がどうしようもなくて、呟いている。あたかも絶望しているって酔っているんじゃないのか・・・そうじゃない。

なんだか自暴自棄になって危なくなってきているなぁ)


突然、小説が書けなくなるというのはネットや本で知っていたが実際にそうなると認めたくないのと脱したいマイナス思考に陥る。

気分転換に掃除やアニメでもするか。


「「・・・・・」」


静寂の中で奏でるペンだけが走る音。惹かれるように振り返ればカーペットの上に正座で

受験勉強している冬雅と真奈。

…現在進行形で日進月歩していてまっすぐで一途いちずな想いを応えるためにも、相応しくなるためにも俺も少しは頑張らないと。

これからも執筆には邁進まいしんして将来を見据えて行動と考察もいずれもしなければならない。

けど優先するのは受験合格と比翼の高校入学と生活。

とりあえず暫定的な方針を俺は定めながら執筆に没頭していく。

手を止めると軽い疲労感と達成感を忘れたように起きて軽く伸びに気持ちよくなっていると時刻を確認すれば2時間しか経っていなかった。

軽く立ち上がろうと――。


「お兄さんもしかして疲れていない?

ワタシが肩をマッサージしてあげる」


「えっ?」


いつも間にか背後から真奈の声に驚いたけど突然の肩マッサージの方が驚いた。


「…マッサージしてくれるのは嬉しいけど痛くないから平気だよ」


JKの肩を揉みは色々とまずくないかなと思い、やんわりと抵抗。


「肩はそんなに固くないか…お兄さん今からストレッチしよう」


決定事項。考察するような、しぐさで真奈なりに心配しての言動なのだろう。

まぁ、マッサージならいいか。触れることは無さそうだし。


「ねぇねぇ真奈、お兄ちゃんの肩そんなにひどかったの?」


「ううん。触った感じからして酷くないはず。お兄さん終わる度に肩を自分で揉んだりしているから、もしかしたらと思ったけど心配はいらないよ」


真奈の説明に良かったと胸をなでおろす冬雅。肩の痛みはあたかも良しと力強く言う真奈だがストレッチをさせようとする

のは不安だからと思う。

自分で肩の固さを確認してみると

真奈が言うように硬くは無かった。


「ふーん、フーン」


鼻歌を口ずさみながら一緒にストレッチする冬雅。

肘を曲げた腕を肩よりも高く上げ拳を作って鎖骨の辺りに。そして肘をゆっくり後ろに引いて息を5秒ほど吐きながら2つの肩甲骨けんこうこつをくっつけるイメージで行い次は肘を下げて脱力の5回ほど繰り返す。

真奈の細かい言葉に従いやってみると少し楽になったような気がする。

俺と冬雅の前で理解しやすいように真奈が手順を説明と実践してくれるのは流石さすがの一言なのだけど。


「その後も脱力して。次も同じようにする」


制服姿とはいえ豊満なそれは腕を引けば強く主張して目を引き寄せられるのを自制心で見ないようにと注意を払う。


「……お兄ちゃんやっぱり胸が大きな女の子の方が好きなの?」


「えっ!?えーと……」


「ん?」


右でストレッチしていた冬雅は自分の胸を両手を当てて縋るような上目遣いを向ける。俺は言葉を浮かばずに混乱していて真奈は首を傾げて怪訝そうにしている。

個人的には小さい方と応えたいが次は真奈が問われるのではと危機感を覚える。どうする、どうすればベストな答えなんだ。

するとピンポーンと響くは来客を報せる電子音。このタイミングなんて天の救いだ!


「誰かが来たようだね。うわぁー話すのが得意じゃないんだけどなぁ」


「お兄さんワタシの気のせいなのか。

リアクションとセリフが一致していないけど?」


背後から疑問に俺はスルーことにしました。玄関まで進むと鍵がガチャッと解錠されドアが開く。


「おにいちゃん今、帰ってきたよ。

ただいまぁー!」


「ああ、冬雅おかえ――」


「待って!

そこの淫行条例を破ろうとするお前!

それ以上その子に変な事をしないで止ま…あれ?」


明るく迎えようと言葉を遮られた。聞き覚えのある声の主は弟の移山と比翼の背後にいる。二人も驚いて振り返り恐らく俺達は三者三様のリアクションしていることだろう。

金切り声の正体は不死川紬しなずがわつむぎさんだった。


「えーと、どうしてここに?」


いきなりの事態についてこれず俺は、質問をしてみた。


「マジでぴえーんだったんだけど覚悟を決めて助けに来たわよ」


「ご、ごめんなさい。もう少し具体的にお願いしていいかな?」


主語と色んな所が端折りすぎて何が何なのか分からない事だけは分かった。端的に言うとまったく分からない。


「お兄ちゃんスゴイ声がしたけど何かあったの?」


「あっ!比翼と山脇やまわきさんと紬もお帰りなさい。

……えっ、どうして紬いるの!?」


冬雅と真奈は比翼の声がして玄関にやってくると不死川さんの姿に

驚いている。


「あっ、マナマナ久しぶり!

元気だった?」


「うん、元気かな。それよりも紬どうしたの?急に家に来て」


「きゃー!?家ってもしかして同棲しているの。やっぱり結婚とか?レベチすぎるわ」


「お兄さんとそこまで進んでいないから!!」


強く否定しているようでしていない真奈。頬を赤らめてチラチラとしないでほしい。俺まで恥ずかしくなるので。そんな一部始終を俺は苦笑していると周囲はそうはいかない。


「お、お兄ちゃんいつの間に真奈と結婚したのですか!?

か、隠し事をしなくても歓迎……す、す…する……よ。ぐすぅん」


冬雅は盛大に誤解して涙目だったのを泣いてしまい無理に笑顔を取り繕うとするのは見ているだけで心が痛くなる。


「お、おにいちゃんどうするの。本当の事を伝えて大丈夫かな?」


目撃され情報が広まるんじゃないかと淫行条例に抵触するのを俺よりも恐れる比翼。言動を見ただけでそう意味を汲み取る。まぁ悪魔で俺の推測なんだけど。


「あぁー、こうなるか」


門から見て左のへいから俺達の方にやれやれと言った雰囲気で歩いくるのは冬雅達の学友である香音だ。


「あれ?香音も来ていたの」


「ええ!真奈様にすぐお会いしたいと強く想いし、告白してきた相手に時間のロスをした罪に罵詈雑言を浴びせて来ました」


「そ、そうなんだ」


柔和な笑みから困惑の笑みになる真奈。一応、告白の返事はするんだ。その罵詈雑言が勇気を振り絞った顔も名前の知らない人に立ち直れるように祈るとしよう。


「マ、マジか…カノリン」


「「「カノリン?」」」


容赦のない返答にドン引きする不死川さん。冬雅、真奈、比翼の3人は可愛い渾名あだなに興味津々と顔に表れている。


「そ、それよりもはやとちりみたいだから……真奈様に毒牙をかけてないでしょうね?」


「なんて事を訊くんですか!?していませんよ」


半眼になって心配なのは分かるけどストレート過ぎないだろうか?

俺は反射的に絶叫して突っ込むのだった。


「あれ、皆さんこんな所でバーベキューですか?」


的外れな事を尋ねるのは艷やかな黒髪を風で舞わせるショーヘアか似合う三好みよしさん。

ニコッと柔和な笑みに俺は頬を痙攣を感じながら笑みで返す。

ここからは平穏な一日はない。


「うわぁー、超絶美少女ばかりだけど!?これって兄ちゃんハーレム」


居室に案内してダイニングテーブルに囲うように座ると不死川さんは見渡すように見て率直な言葉に俺はすぐに否定が出来なかった。


「あっ、私は恋仲とか違いますのでそこは誤解しないでください」


キッパリと三好さんは挙手して穏やかな笑みを携え述べる。


「あんたと同行していたんだから分かると思うけどコイツの事は…嫌いだから……。

それとハーレムと頭の悪い事を言っているのは元凶のコイツだから」


今回の俺の呼び方はコイツか。

変態と罵られるよりもワンランクアップかな。喜ぶべきか困るところだけど。それで喜んだら間違いなく変態だろうか。さて、そろそろゆるく話を進めるとしよう。


「それじゃあ誤解を解くためにも疑問も含めて話をしようか」


数分後、カッコよく励む必要はなかった。俺は買い物を移山と比翼に頼み二人は快く返事。

比翼と移山の二人は買い物の帰り道に公園で話をしていたようだが内容は詳しく言ってくれなかった。比翼が顔を赤くなっているのを見て察した。

そして家路に就こうとするのを不死川さんがたまたま通り過ぎて目撃。

明らかに社会人と可愛いJC比翼。

比翼の表情は涙をハンカチで拭っている。社会人は楽しそうに頬を緩めていること。

これだけあれば悪い方へ考える至るには材料が足りる。その説明を真奈の翻訳と補足して不死川さん

経緯を言う。

話の途中から「泣いていない!」と反論する比翼。

援交交際ではないかと疑った不死川さんは尾行びこうする。

出て問い詰めても言い逃れると危惧して確固たる証拠をスマホで撮ってから比翼を救出しようと

計画を即座に立てたようだ――。


「不死川さん比翼を救おうとしてくれてありがとう」


「いいよ別に。協力者の恋人である妹がピンチなら助けるのが普通だから」


俺のお礼に戸惑いながらも手を振ってさも当然みたいな事を言う。

下手をすれば自分も危険だというのに思い切りのある行動した。

けど、そういうのは本当に危険だから大人に頼るかしてほしい。


「そうなんだ。誤解とはいえ迷惑をかけてごめん。そしてありがとう紬おねえちゃん」


人数の多さで冬雅と比翼はソファーに座っていた。おとなしく聞いていた比翼は不死川さんに満面な笑みを送る。


「うん、どういたしまして。

ボクの勘違いでいいのかな?

なんだか超エモいよね!

紬お姉ちゃんもう一度だけ言ってみてよ!ねぇねぇ」


不死川さん比翼の感謝の言葉に、にへらと頬を崩されたように笑顔になる。

左に肩が触れる距離で座る真奈は優しく微笑んでいる。もはや必然と言わんばかりに机の下で真奈はナチュラルに俺の手を握る。俺もこうしている方が不思議と落ち着いている。


「話が脱線しそうだから、ここからは私が説明させてもらうから。

フードの少年が電柱に見を潜んでいますって一目ですぐ気づいたのよ。

それでどんな子なのかって視線を向けられる方角を見てみたら比翼だったのよ。

今は大人と一緒で声を掛けずに機を見計らっていると直感した。

そんなストーカーに詰問きつもん してみれば女の子ようでそれは軽く驚いたかな。

それに話を聞けば比翼の友達ようだし真奈の恋人である変態の妹を聞いたときは不快この上なかった」


普段はあまり喋らないはずの香音。だったが真奈の事になれば

熱くなるのだったと遅れて悟る。そんなかんはつを入れず説明で事情を知れた。


「なるほど、そんな事があったのか。それじゃあその先は不死川さんを指摘したことに」


「説明したけど信じてくれなかったのよ。だから自分の目で見れば納得すると思って後を追うことにした」


淡々と口にする香音。そんなに比翼の身を案じてくれたのか…俺がいなくても比翼は色んな人から大事にされ愛されている。


「あ、あれは怖かったよ。マジでヤバかった生きた心地がしなかった」


どんな恐怖体験したのか露も知らないが飄々ひょうひょうとする不死川さんにトラウマを与えるほど事があったのだろう。

同年代だったら俺も十中八九トラウマになっていたはずだ。


「なるほどな。そんじゃあ俺を敵視したのは比翼を守るためか。

まったく感動するじゃないか」


腕を組んで一人で納得している移山。けっこう友情ものに琴線を触れやすいんだよなぁ。俺もそうなので同意!


「纏めると移山と比翼を誤解してもおかしくない目撃した不死川さんが後を追いかけて途中で香音に指摘されるが納得せず。

中に入ろうとするのを止めようとしたで間違っていないかな?」


「う、うん。それで当たっています」


俺の問いに何故か緊張している不死川さんは頷く。香音と比翼も否定もなく、この話は終わる。

そして重たかった空気は一気に緩和して、それぞれ仲のいい相手と談笑が起きる。けど時刻は夕方だ。


「言いにくいのだけど、そろそろ家に帰らないと親に心配されないか?」


少し迂遠な言い方になったが早く帰った方がいいじゃないかと意味で発した。


「ボクはいつも夜に帰るつもりだから平気」


「私は冬雅のお兄さんに送ってもらおうかな」


不死川さんと三好さんは今は帰るつもりはないようだ。

夕食を作るまで少し時間があり俺は不死川さんに冬雅と真奈の事を嘘偽りなく説明をした。

勘違いとはいえ比翼を守ろうとするのを敬意を払うことにした。


「マジかー。それじゃあ真奈とは恋人じゃなくて冬雅と三角関係?いや比翼も入れたら四角関係か?」


テーブル挟んで説明を聞いてくれた不死川さんの反応は恋愛話のようだった。女性って恋愛話に関心を持つらしいからね。


「それはどうでしょうか?香音も入れたら互角関係になりますよ」


「ちょっと何を言っているの茜!?」


にこやかな笑みで三好さんは言い香音はまるで乙女のように恥じらう。


「そうなのか!えーと、初めましてだよね。ボクは不死川紬しなずがわつむぎ。紬で呼んでいいよ」


「これはご丁寧にどうも。私は三好茜みよしあかねと言います。

私の方も茜と気楽に呼んでね」


自己紹介すると握手する。俺は真奈と冬雅で今期のアニメを論じていた。


「いぇーい!盛り上がっているようだし皆で遊ばない?」


熱気を帯びたように比翼は高いテンションで腕を上げていた。

何ていうか酒に酔ったような雰囲気に似ている。


「そうだな。せっかくだから大勢で遊べるゲームを考えないと」


「おにいちゃん!それなら一度やってみたかったのあるの。

それは王様ゲームなんだけど」


「王様ゲームか…俺は構わないけど賛成の人は挙手を」


はーいと個性が溢れる返事で挙手。反対する人は香音だけだった。

申し訳ないけど見なかったことにした。

王様ゲーム。飲み会などリア充がする定番のイベントである。

俺は無縁で一生やることは無いと思った。素直にワクワクしているけど、成人男性が二人とJKが五人とJCは一人(比翼)ためセクハラが起きないよう制止するつもりだ。

レクリエーションゲーム飲み会が今ここに火蓋を切ろうとした。


「それじゃあ…引いてくれ」


割りばしの下を両手で隠し、ガシャガシャと音を立てどこにあるか分からないよう動かしたら身を乗り出しテーブルの中央に引きやすい位置で待つ。

次々と引いていき最後に残ったのが俺の分となる。

割り箸の箸に数字と王様の文字をマジックで書いてそれを下にして持つ。とりあえずルールはこれぐらいに俺が引いたのは(厳密では残った箸)王様と黒い文字で書かれたもの。


『王様だれ〜だ?』


全員で開始の言葉を告げるが声はハモらなかった。


「どうやら俺が王様のようだ」


「わぁー!お兄ちゃん国王様かわいい。大好き!!」


そんな愛の告白みたいな発言するのは一人だけ冬雅にいつもの苦笑を零す。

王様のくじを引いた人は数字を持つ者に命令を下せる。もちろん遊びなので応えれる範囲が絶対遵守。

けと雰囲気で言いにくいことも考慮して過激な命令は避けないといけない。


「それでは、2番の人が5番の人に頭をなでなでの刑を下す」


「ワタシが2番で」


「わたしは5番だから…えっ?わたし真奈に頭をなでなでされるの!?」


真奈が2番、冬雅が5番。女の子同士なら問題はなさそうになるはず。

俺の左席に座る真奈は立ち上がり俺から見て向かいの席に座る冬雅を後ろに回ると頭をで始めた。


「わぁー!?すごく髪が柔らかくて艶々している。お兄さんが執拗的になでるわけか」


真奈は近くにいるのを忘れているのか驚愕して思った事を口にする。


「な、なんだか恥ずかしいよ真奈」


「そんな事を言われたらワタシだって恥ずかしくなるんだけど!?」


数分ほど百合ゆりな光景を黙して見てすこぶる癒やされた。

しかしこんな事をした背徳感があって無性に謝りたい気持ちに駆られる。

気分を変えてくじを回収して王様のくじを引いた者が配布する側になるのを則って次も俺が最後になる。

今度は『王様だれ〜だ?』の始める言葉をハモった。


「わたしが王様でした」


くじを掲げるは満面な笑みを浮かべる冬雅。なんだろう?自意識過剰なのか冬雅から視線を感じる。


「冬雅おねぇちゃんか…一応、忠告するけどエッチな命令だけは禁止だよ」


「わ、分かっているよ比翼。

えーと命令するのは王様が今からある人に告白をするので何も言わずに拝聴をお願いします」


王様になった冬雅の命令は、どうやら誰かに告白するのを黙って見守ることらしい………んっ?


「えっ?それって俺の事ではないかな」


「はい!ですので、もう言葉は発するのを禁止させます。

それじゃあ、お兄ちゃん覚悟してねぇ。

わたしは、お兄ちゃんが大好き。朝に見る寝顔はかわいく永遠に眺めていたいです。学校や塾の帰りに玄関で出迎えてくれて嬉しいです。毎日そうして日常になっていくのが幸せで、ときには大胆な事をすれば倍返しに合うこともありました」


俺達はただただ王様のある人の告白を耳を傾けるのだった。

どうやら冬雅が言うには過剰に告白すると俺が負けずと告白してくるのでそれを封じて遠慮なくマシンガントークで続けたいようだ。

けど冷静に考えたら普通は王様が

数字のクジを持つ人に初恋は?っとイタズラな笑みを向けるものだと思いますがね。


「えへえへ…えへへ。お兄ちゃんにいっぱい出せたよ」


「うん。そうだね冬雅おねぇちゃん、その口を閉じよう」


言葉遣いはいつも通りなのだが不機嫌そうにする比翼。王様の命令タイムは三十分ほど続いた。

満足顔で終えると不穏な空気へと化した。明らかに女性陣のほとんどがイライラしていた。


『王様だ〜れだ?』


「はい!わたしが王様を引いたよ」


比翼が年相応な反応を示す。どんな命令になるのか俺は戦々恐々せんせんきょうきょうとなる。


箙瀬比翼えびらせひよが命じる。…3回その場で回ってからのシーラカンスのポーズと犬の鳴き声を4番にやってもらおうか」


「はあぁーー!?こんなの兄者が引くのが約束だろう。俺がやるのか…やってやる。やってやるぞ!」


弟の移山はキャラ崩壊スペシャルを披露した。次々と失笑が起きると爆笑の渦が出来るのだった。


『王様ゲームだ〜れだ?』


「はは、あっははは!どうやら…俺が王様のようだな。復讐の鬼となった王様が命じる!4番は裸になれぇい」


羞恥心で罰ゲームを受けた移山の心は病んでいた(おそらく明日には忘れる)恨みによる無茶な命令。


「変態がここにも…いる」


香音はすっかり引いていた。


「実は比翼だと思っていた4番だけど俺が待っているんだ」


「そ、それじゃあ…お兄ちゃんが脱ぐのをこの目で見る事が出来る」


「お、お兄さんが裸…」


「おにいちゃん早く見たいよ。

楽しみだな」


冬雅、真奈、比翼は期待しているようだけど裸になるのは一部だけにするつもりだ。


「移山それは上だけでいいかな?」


「あー、そうだな。OK!」


もしかしなくとも笑われた恨みを果たせず虚無感になる移山であった。


『王様ゲームだ〜れだ?』


「どうやら私のようですね」


王様になるはお淑やかな三好さん。


「 リア充みたいなゲーム初めてですけど・・・6番の人に質問です。

付き合うなら家庭的な社会人か真面目で少女マンガのような登場人物のイケメンどっちなら付き合いますか?」


またも特殊な命令に俺は嘆息する。

ただでさえ上半身が裸になって冬雅や真奈達から軽く注目の的となっている。


「あっ、ボクが6番だね。断然ここで選ぶのは少女マンガに出てくるイケメンしかいない!」


三好さんの思惑は失敗し、普通に一択を選ぶ不死川さん。

冬雅か真奈達を狙っての問いなのは著しいと思った。能面にしても、それが隠しているのをは明白だから。


『王様だ〜れだ?』


「とうとう王様ワタシの番だねぇ。・・・うーんら一番は恥ずかしい話をする」


王様クジを引いた真奈の命は一番の人は恥ずかしい事を告げるという冷静に考えたら難しいと思う。


「一番は私ですね。真奈さんの前では言いにくいのですが冬雅のお兄さんから大人向けの本やJKと上手い付き合い方ってアルバイトの人や両親には言えない恥ずかしい思い出です」


三好さんの言葉に俺から向けられるのは冷ややかな眼差し。冬雅と真奈はまったく動じずいうも通りで、接してくれた。


『王様ゲームだ〜れだ?』


「どうやらボクが王様みたいだね・・・4番と5番は3番にハグすること」


王様は不死川さんであった。

命令内容はそれは難しいだろうなぁ思いながら。


「4番はわたしで?」


「5番はワタシ」


「3番は・・・俺だよ」


冬雅と真奈がクジを引いた。俺は3番でとても応えれるわけがなく。


「えーと辞めるという選択肢は出来ないかな?」


「ふふ、それじゃあ別の命令にします。それじゃあ頭をでることで」


俺は安堵をするがそれって冬雅と真奈の二人から撫でられる事になる。

悩んでいると二人は背後に立ち優しく撫でてきた。


「えへへ、お兄ちゃん気持ちですか?」


「フフ、お兄さん幸せならワタシも幸せかな。えらーい、えらーい」


二人が満足すると俺は夕食をそろそろ作らないといけない口実にして脱兎のように逃げる。

王様ゲームなのに王様になるのが誰かが操っているみたいだ。

あるとすれば異世界の領域になるが因果率操作いんかりつそうさだろう。

冬雅と真奈に撫でられた情報は脳裏に鮮明的に刻まれるのだろう。

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