第299話―夏休み終了しても夏は続く参―
夏休みは8月に始まって終わり2学期となっても平日すべては登校とはなく週に3回ベース。
今日はお兄ちゃんと一日中、隣でいる日が続いたからか学校に行くことが楽しみでもあり寂しい気持ちでいっぱいになる。
わたしは玄関で座りながら靴を履くけど少し大胆にスカートから
「お兄ちゃん大好き!わたし、お兄ちゃんにはハグしたり手を繋いだりして綺麗な景色を見下ろして・・・キスとかしたいよ。
そ、それじゃあ行ってきます」
今日も自分に課している一日一回以上の告白を叫ぶと、わたしら逃げるように家を出ようとドアノブを握ろうとすると背後から最愛の人から返事が。
「冬雅ちょっと待ってくれないか。俺は買い物に行くんだけど、よかったら途中まで一緒に行かないか?」
「・・・・・う、うん」
渾身の一撃必殺を決めて離脱戦術は失敗した。爆発寸前で普段なら言えない想いを告げてから行くつもりが、まさか予想外な誘いにわたしは断われる事が出来るはずがなかった。
「今日はすごく暑いなぁ。いや今日もかな」
「そ、そうですねぇ。いつにも増して暑いですねぇ」
通学路こうして歩くのは初めてかもしれない。暑く感じるのは何も日照りだけでもない。伝えたくて仕方ない想いを口にしてから恥ずかしくて走りたい衝動とどれほど想ってくれているかの緊張から暑くて熱くてどうにかなりそう。
(お兄ちゃん好きだって知っているはずなのに、いつも通りだよ。
わぁー、あんな恥ずかしい事を言わなきゃよかったよ!!)
「天気がいいのか、清々しい気持ちになるなぁ。我ながらオッサンみたいなセリフを言ったけど」
澄み切った大空に両手を上げて身体を軽く伸びをするとわたしに視線を向け苦笑する。
「ううん。そんな風に感じるのは、わたしと一緒にいるからだと思うよ。わたしもお兄ちゃんと朝こうして歩けたら嬉しいなぁって妄想していたから。えへへ」
後で悶絶するほど羞恥心が襲っているのにそれが心地よくて愛情なんだと感じた。それよりも、お兄ちゃんが抱いている感情が何なのか長い付き合いで汲み取れるようになってきている。
お兄ちゃんは目を丸くして顔を進行方向の前へ逸らすが見逃さなかった。頬には淡く赤いのを。
「・・・実は俺も考えていた。
一緒に目的地を歩いて帰れたらって。きっと恋人繋ぎをして人目を憚らずに大好きだって毎日そうやって帰るのを幸せなんだろうなぁって」
「・・・・・・・・はい」
そうだった、忘れていた。
お兄ちゃんってわたしだけなのか過剰なアプローチをかけ続けると秘めておく感情を
「さて、ここで別れ道となるけど冬雅あまり急いで帰ろうとせず勉強や学校を楽しんで」
「うん。お兄ちゃん・・・塾が終わったら全速力で帰りますねぇ」
「いや、だから急がずに帰ると衝突事故とか起きるかもしれないから焦らずにね。これは言いたくなかったけど怪我をしたら比翼達も悲しむ。それは俺も」
「お兄ちゃん・・・はい!それじゃあ屋根を伝って帰ります」
「いや忍者か!?」
お兄ちゃんの叫んでツッコミすると通勤通学に向かう人達から驚いて視線を集まりましたが、わたし達はとくに気に留めることなく一緒に苦笑するのだった。
お兄ちゃんと別れてから寂しい気持ちは不思議と起きず驚喜する頭をクールダウンするにはよかった。学校が見えて昇降口から真奈と茜の後ろ姿が見えた。
「おはよう真奈、茜。いい天気だよねぇ」
「おはよう冬雅。どうしたの?そんなに舞い上がって」
「フフ。もしかして愛夫弁当ですか?」
「
真奈は羨ましそうな反応、茜は上品に微笑をする。3人で夏休み何をしていたかを話で花を咲かして歩いていると3年の教室が見え、わたし達はそれぞれ入る。
真奈は3年3組に、茜は4組に、わたしと言うと一組。
夏休みに入る少し前に遅めの進級があり、わたし達は違う教室となってしまった。寂しい気持ちはあるけど昼休みになれば会えるので些細は別に感じてはいない。
「
「ああ。マジでヤバいよな。アイドル、モデルようなルックスなのにスカウトを断って彼氏もいないんだから」
「どうする告白して上手く行けるか?」
教室のグラウンドが見渡せる窓際からそんな会話を耳にする。どこでも似たような反応。席に座ろうと歩いていると前から眉目秀麗な男子高校生が前に現れる。
「おはよう冬雅、今日も可愛いよ。もしスケジュールが無かったら俺と・・・・」
「ごめんねぇ。今日は塾もあるし。なるべく早く帰らないと怒らるから」
「そ、そぅだよね。はは」
肩を落として後ろの席に集まるグループへ歩む。いわゆるリア充グループ。黒髪ショートの落ち着いた素振りのかわいい女の子と目が合うと慌ててあらぬ方法へ逸らした。
(顔が赤いけど熱でもあるのかな?)
席に着いてすぐにカバンを置いてすぐに真奈達を会いに向かおうとして廊下で接触。考える事はどうやら一緒のようだ。
「冬雅・・・それじゃあ茜の所に行こうか誘いに行くつもりだったけど、その必要はなくなったか」
「そうみたいだねぇ」
教室から出る茜の姿が視覚に入る。わたし達は図書館で朝のホームルームが予鈴が鳴るまで勉強。
チャイム後は教室に戻る。
教室前に岡山牛鬼とは対極的な
「奇遇だね冬雅姫。もしよければ僕と付き合ってくれ――」
「バカアァ!!何しているのよ。すみません冬雅」
ナンパを遮るは熊谷一くんの幼馴染である
まさかこんな昭和みたいな道具を使うなんてと奇しくも感動した。
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