第298話―夏休み終了しても夏は続く弐

社会人がJKをどうにして暮らそうとあらゆる手を使う。そうでもないケースもあるだろうが例え成り行きであっても駄目だろう。

同居してから暫くして恋心を抱いて一線を超える。そしてそれは隠れてする背徳感などによる心拍数の上昇から来るり橋効果が起因とするのだってありうる。

結論、社会人とJKの恋愛は双方が幸せになれない。


「お兄ちゃん毎朝この時間が幸せです。お茶をゆっくりと飲んで楽しく話して見つめ合って・・・愛を育めて」


「そ、そうかな?普通だと思うけど」


ミルクティーが入ったカップを口に運び啜り今日も癒やされていく。

会社を解雇され無聊ぶりょうな日々のニートとなってから執筆活動を本格的に始めてみたが上手くいかず、それはともかく。

JKであるはずの冬雅と一緒にいる事が不思議でも無くなってきている。

この傾向は危機感を持つべきだろうのを逆に安寧な時となっている。

それは長閑のどかな風景と澄み切った空気に感動する山頂にたどり着いた登山者のようだ。

学生時代ではよく行っていたが

社会人になってから登っていないなぁ。


「・・・ちょっと攻めてみましたけどドキドキして恥ずかしかったです。お兄ちゃんもしかして平静を装って照れているとか?」


「いや、そういうわけじゃなく

冬雅と二人でいる平穏な幸せをあったことに考えていたんだ」


「えへへ、そうなんですねぇ。平穏な幸せを・・・・・・・・二人でいる!?

お、お兄ちゃんもう一度いいですか?」


高すぎるテンションが一段と高くなる冬雅の前のめりな態度に訝しげに思いながらも前に言ったのを一文一句とそのまま伝える。


「えへへ、あったじゃなくてすでにあるんですよ。だ、だってわたし達って相思相愛ですし」


暑さで汗が伝う頬にら赤く染まり、それが恋による変色なのは間違いなかった。

うららかな陽光が窓越しにリビングと冬雅を照らす。

冬雅は笑っても天使のようであり恥じらうのも眩しく直視するのが難儀。


「空気を壊すような発言になるけど俺は冬雅が好きなのはJKだから可能性もあって卒業したら一気に冷める可能性は無くもないと思う」


これは嘘だ。別に冬雅がJKだから好きになったわけではない。

JKブランドという幻想は抱いてはいないと自負している。あんなのはアニメやドラマの虚構の世界、思い出のある時代など影響が大きいと考えられる。

冬雅が好きになったのは・・・絶えない笑顔に明るすぎて眩しく、強く想われたらそうなるものだろう。

突き放すような発言に冬雅は真意を知っているかのように笑みを崩さない。


「そうなんですねぇ。それじゃあ卒業したら付き合いましょう。

付き添いとかじゃなくて一緒に手を繋いで隣で笑って幸せになっていくのを」


「冬雅・・・ああ。この気持ちが変わる事がなければ恋人になろう。もちろん結婚前提で」


「け、結婚前提で!?」


「・・・あっ!」


俺は迂闊な発言をした事に遅蒔きながら気づいたのだ。失言だった、真っ直ぐな冬雅に感化されたとはいえ。目を丸くした冬雅は

挙動不審になり上目遣いでゆっくりと口を開く。


「・・・お、お兄ちゃん!け、けけっけけけけ、結婚!!

を前提で見てくれたってこと?」


「・・・・・」


どう反応をすればいいものだろつかと悩み俺はゆっくりと首肯する。


「そうだね。でも大人だから考えてしまうことで深い意味はないのと変更される可能性も」


「そうですねぇ。お兄ちゃんって女の子にモテるから負けないぐらい魅力的になります」


「そ、そうか。応援するよ」


分かりきっていたが冬雅は狂喜しないわけがなかった。

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