第280話―自炊編をご飯の炊き方つづき―
夏の暑さを肌で感じ、どこからか聞こえるたくさんのセミの鳴き声。
今日は冬雅と比翼は三好さんとで買い物に出掛けている。
今リビングでいるのは真奈。冬雅達と出掛けなかった理由は家族と出掛けるつもりだったが父親が大事な仕事が入った事で中断となり真奈は俺に会いに訪れた。
「お、お兄さんの変態!い、いやらしいにもほどがあります。
どうして急に触ったのよ!?」
非難の声を上げる。青の半袖シャツと膝丈のピンク色プリーツスカートで元々の清楚感を衣装でさらに強くインプレッションを与える。
それよりも今は顔を赤らめて睨まれ豊満な胸を両手で隠す。
「そ、そんな事を言われても…」
「さ、最低・・・・・あんな恥ずかしい事をしておいて……ぐすっ、うぅ」
立ち崩れた真奈は頬から伝う涙を拭く。真奈の右手には俺の手を繋いだまま離そうとはしない事に、つい苦笑した。俺は真奈の視線に合わせるよう屈んで
真っ直ぐと見る。
「もう終わらないか真奈。そんなことをしていると疲れるし俺だって少しは…」
「…い、今までが遊びだと言うなんて。お兄さん本当にどうして」
「それは真奈ならいいかな思って」
率直に答えると顔を伏せて照れている模様。当たり障りのない発言をしたつもりだった俺まで恥ずかしくなってくる。
「…それじゃあ続けてもいいよねぇ」
「いや、終わりにしよう。冬雅達が帰ってきたら誤解されるし。
納得してくれてもドタバタするのが目に見えているから」
「そ、そうですねぇ。終わりましょうか」
そう言うとゆっくりと立ち上がりハンカチを取り出し濡れた顔を優しく拭き始める。俺も立ち上がると腕を上に伸ばしてリラックスする。
二人しかいなかったから真奈は、すごい提案をした事に乗るんじゃなかったと少し後悔する。少なくとも外や他の人が見ていたら大変な事になっていたのは間違いない。
「それにしても、お兄さんすみません。演技とはいえ…ワ、ワタシとすごい関係な設定になってしまいまして……」
例の小説に登場するキャラクターを演じると提案をした真奈。
今回は仲がよかったカップルが別れてしまい喧嘩をするというラノベではないとも言えるシーンをすることになった。終わってみれば恥ずかしい。それは真奈も同等かそれ以上で挙動不審になっている。
「漠然としていたからね。もう少し細かく言っていればこんな事にはならなかっただろうけど」
「ですね。お兄さんと喧嘩なんてしたこと無いから悩んでしまって・・・慌てるお兄さんかわいかったのがよかった」
「また可愛いって・・・そんなこと無いから。ほら可愛いのは断然、真奈の方だから」
「っ――!?」
女の子が言う可愛いというものは男性が思う可愛いのは違うのかもしれない。異性に抱くのってカッコいいじゃないか?…考察すれば
ここ最近カッコいいと称賛されるのってあまり聞かない。
カッコいいと可愛い、どちらがいいのか違うのか質問しようかなと
逡巡していると真奈は
「う、嬉しいけど。やっぱりお兄さんはかわいいと断言する。
面白い、優しい、隣にいると落ち着くのと落ち着かないのも」
「 別にそんなことは…。真奈が可愛いと感じたのは容姿だけじゃなくて、美少女な反応とか当たり前にするし優しくて真っ直ぐな瞳とか」
「ふぇ!?…そ、それなら――」
俺と真奈の攻防は続く。攻防と言ってもべた褒めをしていく事で。
そんな喧嘩なのかイチャイチャなのか判断がつけない戦いは繰り広げる。
「…お兄さん! 無益な争いやめませんか。決着がつかない上に、もうワタシ限界だよ」
羞恥心の極限状態にある真奈。俺もそこまでではないが耐えれない気持ちはあった。
「分かった。終わりにしようか」
解決?となった後は若干のぎこちなさが残りカードゲームなどして遊んでいた。時計の針が正午を指しても対戦していたのを階下に降りてきた移山が言わなかったら遅くなったと思われる。
何はともあれ三人で食事となる。
「なんだか兄者の
「急にどうした移山?」
「違和感って?」
俺の向かい席でカップ
今から作っても待たせる事になるので
黙々と食べていたら側にいると指摘されて俺自身もそうかもしれないと思ったが的中していないのもある。
「いや、だって距離感とか諸々も含めて夫婦みたいだろ」
「ゴホッ、ゴホッ」
「そっそそそぉ――!?」
つい気道に入り俺は咳き込んでしまい真奈は無事のようだけど支離滅裂に
そして変な汗とか出てしまい止まれと念じるがそんな方法で止まるわけなく手に伝わらないか不安と
緊張になる。
「兄者と冬雅か似合うと思ったけど真奈も互角と言ったところか」
「何が!?もうその候補とかやめて普通の話をしない?」
「う、うん。ほのぼのした話をしたいです」
「二人がそう言うなら別の話題をするけど。何か面白いゲームとかない」
そんな話題がしたために真奈は最近のゲームは面白くない理論は甚だ見当違いという微妙に話題が変わった方へと語り始める。
それは食べ終えても永遠と思える時間だった。
そして語り尽くした充実感に満ちた真奈。その隙に移山は「さて、お仕事お仕事」と二階に行った。言い換えると逃げた。
「それで、お兄さん。ここ最近のソシャゲですけどアニメシーンがあるのも常識になってきている現状――」
「ま、まだ話すのか」
「はい!それで――」
真奈の話がまたも始まりそうになると思いきや遮るようにラインの
真奈はテーブル上に置いたスマホを手に取る。
「はい、もしもし?はい…え、えーと時間はあるかな?……うん。
行けるよ。分かった。それじゃあ」
通話が終わったようだ。相手は誰だろうかと視線に気づいたのか真奈は微笑する。…なんだか昼食を思い出す。考えてみれば大人二人とJKの絵図になるんたよなぁ。
第三者から見れば異様な光景だろう。考察をしていたら真奈は握る手を少しだけ強くなる。
「その今から
身支度を整えると手を繋いだまま不死川紬の家に向かう。ここから最寄りの駅の周辺にある一軒家。
「何をするのか楽しみですねぇお兄さん。どんなゲームするのだろう」
「ゲームする前提なんだね」
冬雅に告白される前は女の子にモテるどころか事務的じゃないプライベートな話をしたことない。
それに孤独であり誰かを頼れるような状況じゃなかった。
「いらっしゃいマナマナと彼氏さん」
不死川さんに笑顔で出迎えられる。
真奈は手を振って「彼氏…」と呟いて憧憬に浸る。不死川さんを後ろについて歩き洗面所で手洗いとうがいをする。うがいは一時的しか効果がないが、しないよりマシだろう。
消毒を終えてから居室に入る。よくわ分からない機材がテーブルに置かれているのはいつもの通りだけど台所はお菓子の袋と何日か放置した思われるコップが石垣のように収納ケースを乱雑に積んでいた。
「もしかして暴飲暴食していたのか」
「お、お兄さん!」
「い、いいよ、本当の事だから。両親がなかなか帰ってこないから手料理とか食べていないんだよねぇ」
振り返った不死川さんは自虐的な笑みを浮かべる。その気持ちはよく分かっる。料理を作れるとか関係なく一人だけだと作る意欲が起きないものだ。
「お兄さん…」
「分かっているよ。
「えっ、別に構わないけど?」
家主から許可をいただいたので俺は迅速かつ可及的にきれいにする。散らかっていた物を片付けて食器洗いなど数分ほど掛かった。
「うわぁー速い!」
「お兄さんだからねぇ」
「まるで失敗する誰も利用しないようなオワコンになったスピード」
オワコンってなんだろうか?
「終わったコンテンツの意味だよ。お兄さん」
どうゆう意味なのか分からず食器を洗っていると真奈が教えてくれた。
「なるほど。ありがとう真奈」
「おやおや。熱いことで」
「えっ?あ、うん暑いよねぇ」
真奈きっと仲がよくて熱い意図で使っているよとは指摘できず聞かなかったことにした。
綺麗にしたのでご飯を炊くことにした。もちろん事前に許可を貰っている。
「えっ、水をすぐに捨てるの!?」
まったくの予想していない行動に家主である彼女は声を上げる。
「ああ、こうすれば美味しくなるんだよ」
「うーん信じたいけど信じれない」
「大丈夫だよ。お兄さんがそう言うならをそうだから」
「はい、はい。大好きな人の言葉を無条件レベルで信頼するのってスゴイよね。あつい、熱い」
手刀にして団扇のように顔を
「さて次は水をお米の半分ほど入れたら30回ぐらい
「少なくない?水の量とかも研ぐのも」
間違っていないか抱いている不死川さんは質問をする。これには専門家など発言力と信頼性がある人からじゃないと信じられないだろうなぁと思いながら応える。
「最近の技術ではお米を研ぐ回数はちょっとで事足りるんだよ。
それに研ぐのも気をつけないけないのはやり過ぎないこと。
ヒビをつけるぐらい傷をつける。やりすぎるとデンプンが流れてしまって水分とかも余分に吸ってしまうんだよ」
「ス、ストップ!説明ながっ!!
どれだけ説明をしていの理解できないよ」
「へっ?そうかな。分かりやすいと思うけど」
「マナマナは、お兄さん大好きだからね。なんでも心に響くんだろうね」
「そ、そんなことないよ。お兄さんが、いきいきしているのは嬉しいですけど」
「ほら、やっぱり!」
研いでいる向かいで騒いでいる二人に、やっぱりそこは女子高生なんだなぁと実感する。これには
ついてこれる自信がない。
研ぎ終えるとそこからは普段通りの手順、それから少し違うのは。
「早炊きすると水の浸透が少なく出来上がって固くなるのだけど
今の
「ふぇー、知らなかった」
「うん。ワタシもそこまでは知らなかった。
待っている間に二人のVチューバー活動を見守っていると最後まで傍観など出来るはずがなく巻き込まれ真奈と対戦することになった。日本よりもアメリアで大人気である[僕のヒーローアカデミア]のゲームをするがノーダメージで負けてしまった。
そして炊き上がった報せる
「冷凍室にあったもので作った味噌汁に目玉焼き。物足りない気がするけどご
不死川さんは嬉しそうな反応。
冷蔵庫には作れる食材が無かったため残っていたもので作った。次からは何か買っておこうと密かに決意。不死川さんは味噌汁とご飯のありふれたメニューを
美味しそうに食べる。
「うめぇ。マジでうめぇよ」
「フフ、そうだねぇ。お兄さんの作ってくれる料理って毎日と食べたいよねぇ」
「いや将来そうなるでしょう」
「えっ?将来そうなる」
真奈は意図がよく分からないと首を傾げるが俺はすぐに理解した。
この場から離れようかなと考えていると不死川さんは
「だ・か・ら、いつか結婚して毎日そうなるのでしょう」
「…………うん。そうだねぇ」
いや、そこは否定しないと!?
俺は意味深な笑みを浮かべる不死川さんと乙女心を抱いた表情で真奈の二人から視線を向けられるのだった。
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