第218話―気づけば春は過ぎていく終―
正午までぎこちない談笑をした。
昼食を作りにいくと出ようとすると冬雅は、「お兄ちゃんのおかげで元気になりました」と明るく言われ一緒にいくのだと腰を上げる。
無理をしていないかと不安になり止めようとするが、「平気だよ。お兄ちゃんと離れる方が苦しんです!」と面に向けられ言われたので俺は激しく狼狽して
「そ、そうか」と返事する。
咄嗟に出た言葉に我ながら何がそうかなのかと自問しながら階段を降りてリビングに戻る。
「プハーッ!この一杯のために生きているぜよ・・・んっ?冬雅おねえちゃん元気になったの」
ソファーに座り透明のコップに入れたコーラゼロを飲みながらゲームをする比翼は気付いて元気があふれた笑みで手を振る。
テレビ画面を見ると
知らない一面とか高いクオリティー等や最後の戦闘も見所がある。
「うん、心配かけてしまったけど前よりも元気になったよ。
けど、二人とも少し
「ふーん、どんな夢なの冬雅おねえちゃん?」
「口にするだけでも恐ろしい夢なんだけど・・・お兄ちゃんと別れてしまう夢」
原因が何なのか気になり耳を
深刻な事を隠しているのか、ただ本当の事かを。もし後者だったら
顔を青ざめるには弱すぎるような
気がするのだから。
「あー、なるほどねぇ。
それは、仕方ないか」
何度も頷いて納得する比翼。
箸でポテトチップス(塩味)を口に運んだそれをコーラで注ぎ込みという健康を気にしない食事の仕方に俺はポテトチップスを買うのは控えるかと内心そう決意した。
いや、そこではなくて驚きの色を示せず至極当然な反応をした比翼の態度にびっくりした。
「ま、待ってほしい。初めて原因をしたんだけど。俺は驚いているんだな比翼はどうしてそんな当たり前に受け取れるのか
訊きたいんだが?」
「いや、いや。おにいちゃんこの人しか愛せない相手に別れて
絶望しない人はいないから」
「そ、そうなのか?」
混乱したまま冬雅に問う。
「う、うん・・・お兄ちゃんと関係が未来の暗示じゃないかって
疑うようになって。
それを否定を出来ないわたしがいて苦しかったんですけど。
お兄ちゃんのおかげで少し楽になりました」
「そんな心配をしていたのか・・・。けど、そんな心配なんかしなくても俺が冬雅を離れないよ。いや少し違うなぁ。
俺が冬雅を離れたくないと思っているぐらいだから」
「お兄ちゃん・・・」
感銘した冬雅は胸の前で手を組み
潤った瞳で見上げる。
「あー、コーラが
「あっ、うん。待ってて今、持っていくから」
見つめ合う状態の俺と冬雅は比翼の何気ない言葉で気づいた。
冬雅は頬をみるみると赤くなり比翼の
キッチンに向かう冬雅の背を見て、ふとテレビに視線を移すと比翼が睨んでいるのが目に入った。
どうやら先程の状況に不平不満を堪えているようで追及される
のだろう・・・後に。
昼食を食べ終え二人は勉強をして俺は執筆をするが、なかなか手が進まならず掃除を始める。気分転換にと試みたがアイデアは浮かばず次は小説を読んでいいアイデアを探そす目的とその他の理由で読む。
リビングのソファーで読んでいると比翼が勉強を終わりゲームをする。さり気なく肩と肩が触れる距離で座るのが比翼らしく思わず苦笑をする。
「真奈おねえちゃんと何か忘れていない?」
「何か・・・いや、忘れていないけど。それが?」
「むぅ・・・二人だけで策謀を巡らすとか」
「さ、策謀か。まだだよ」
「それならいいですけど」
どうしてそんな事を訊くのだろうと不思議に思ったがその時は深く考えなかった。
冬雅もやって来たタイミングで本を閉じてローテーブルの上に置きアニメを観賞する。
俺は、そろそろ休憩しようと提案をした。コロナウイルスでアニメ延期で再放送もあって必然的に観る番組が少なり二人は頷いた。
「それじゃあ・・・お、お兄ちゃん何をしますか」
いつもよりも距離があり、どこか
「悪い、少し一人で執筆したいんだけど」
「で、ですね。頑張ってくださいお兄ちゃん!」
恥ずかしそうにしていた冬雅だが、執筆の話になると満面な笑みで手を振って見送る。
本当は真奈と3年の進級祝い件出あって隠し通さないといけないのが心が痛い。怪しまれないようPCを持って俺は自分の部屋に入る。
(期待していたなぁ。俺が小説を書くのを・・・)
どんな期待かは今は置いとくとして真奈と相談しようとスマホを取り出しラインをタップしてメッセージを送る。少しして返ってきた。
こんばんは、お兄さん。
コロナウイルス感染を誰かが一人でもなってしまうと自分を責めるかもしれませんので、ラインで祝いだけにしませんか?
そこで、パーティじゃなくラインにしなかったのが真奈らしかった。俺は素早く入力して送信する。
分かった。予定通り今日の夜で?
はい。お兄さんは、冬雅と比翼の二人を伝えてください。
ワタシは茜と香音の二人を誘います
了解した。もし誰かが一人でも欠けた場合は日を改めることに
ですね。お兄さんお願いします
ラインメッセージでの計画を立てたイベントを進めるため俺は部屋を出て灯りがつくリビングの中に足を踏む。
「お兄ちゃん」
「冬雅?何かあるのか」
目の前に佇む冬雅。開けるまで待っていたか足音で気づいたか訊いていいのだろうかと悩んでいると
彼女は意を決した表情で俯いた顔を見上げる。
「困っているとき、お兄ちゃん本当にわたしを心配してくれて嬉しかったです。他の人のように
下心とか変にカッコつけないのが、
「いや、そんな事はないと思うけど」
「えへへ、そんなことないですよ。
もちろん、それだけで好きになっていませんよ。お兄ちゃんは、素敵です。そんなわけで、わたしが初恋になったお兄ちゃんを大好きですよ」
全幅の信頼や無限にも等しい愛情のあらゆる生物を照れさせる笑みを浮かべる。横から奇襲をされた
ような強い感情が襲い
取り繕う
「あ、ああ。ありがとう」
言いたい言葉とは違い、自分でも何をお礼をしているのか分からずそう答える。
「う、うん。・・・よかった」
冬雅は、最後の言葉を呟くと胸を撫で下ろし安堵のため息を零す。
少しずつ頭が落ち着いていきどんな意味なのかと考えるが結局は分からなかった。
「よかったって?」
考えて答えも推測も出ないなら訊いてみる。すると、冬雅は安堵から一変して慌て始めた。
「な、何もないですよ!あっはは」
珍しく恥ずかしそうに誤魔化す様子だったので追及はやめておこうと決めた。ふと比翼は何をしているのだろうと気になりソファー見るとゲームをしていた。心なしか頬がピクピクしたりコーラをガブガブとやけ飲みしていたが。
「えーと、冬雅と比翼。話があるんだけどいいか」
「はい?」
冬雅が首を傾げながら比翼は視線を俺の方へ向く。
進級祝いを
二人の反応は―――
「わぁー!いいですねぇ。お兄ちゃんも参加しますよね」
「えっ、ああ。そのつもりだよ。本来は部外者だろうけど」
驚くのは一瞬、冬雅はそう尋ねられ俺は首を縦に振り答える。
すると、パアァーと明るく笑うのだった。
「部外者じゃないですよ。それよりも、お兄ちゃんがいないと真奈と比翼も悲しみますよ」
「悲しむのは絶対に冬雅おねえちゃんだけどねぇ。自虐的なおにいちゃんそろそろ卒業するべし!」
比翼は呆れと怒りがない混ぜた声音でそう言うのだった。
冬雅と比翼に伝えた俺は隠す必要もなくなりダイニングテーブルへと移動し座ると二人は隣へと座る。真奈に終わったとラインで送り暫く比翼のだらしない生活の注意喚起と冬雅が俺にした告白で話をしているとスマホの着信音が2つ。俺のと冬雅、冬雅達と俺も含むグループで送ってきたようだ。
どんな内容かと見てみると―――
二人とも快諾してくれました。
今日の何時にしますか?
それなら今は?っと俺は素早く手を動かして送信をする。
分かりました。茜、香音それでいいかな?
真奈が送った文字だけの言葉に、
優しさが含まれているのを感じて俺は心が温かくなり重症だなと、
苦笑してしまった。
構いませんよ。盛り上がりまショー
承知しました真奈様
三好さんと香音は、そう返事をした。表情が見えないが三好さんが微笑ましそうに明るい声で言っている一方ででへへと美少女がしていけない笑い方をする香音が
目に浮かぶ・・・うん、香音にそんなイメージしてごめんと彼女に向けて心より謝罪します。
「ハァー、ようやく決まりましたねぇ。おにいちゃん」
「ああ・・・んっ?ようやくって知っていたのか」
「こ、言葉の綾です!」
比翼は慌ててそう言ったが、事前に知っている可能性は高い。
どうでもいいと思うが言葉の綾という本当の意味は、喋るのが上手い意味。
「ともかく、比翼せっかくだから一緒に参加をしようか」
「えっ?」
何を言われているのか理解が出来ないと大きな瞳でそう物語っていたので
「まだ比翼のスマホが無いから俺ので申し訳ないけど交代で使おう」
「・・・うん!」
嫌な顔をすると思ったが、それは杞憂だった。嬉しそうに返事をして椅子から立ち上がる。そしてどこに行くのかと見ていると俺の膝の上に座り始めた・・・んっ?
「え、えーと。これは」
「一緒にするなら、この方が便利だよ。えへへ、おにいちゃんの手を借りますね」
言うよりも早く行動に移る。俺の手首を掴み比翼の両肩の横を固定するようにされ見えるようにと視線の少し下にと動かされたのだ。
他の人からみるとハグしているようにも見えるので外じゃなく助かったと俺は謎の安堵をする。
「それじゃあ、さっそく真奈おねえちゃんに送ろうと」
真奈おねえちゃん大好きだよ!
スタンプ付きで送信した。隣の冬雅をふと見ると微笑ましそうにしているのと
「あれ?おにいちゃん返事が遅いよ」
「んっ、そうだな。香音や三好さんもポツンも急に返事が無いのも不自然だ」
「・・・あっ!!えーと、お兄ちゃん。そのおそらく送ったのが、
比翼じゃなくてお兄ちゃんだと真奈達きっと思っていますよ」
冬雅の言葉に俺と比翼は声をハモらせてすぐに俺は事情を説明をした。
冬雅、真奈、三好さん、香音、比翼(不登校になるのか?)進級祝いがすぐに始まる事になり、俺は祝う前に誤解を解くことに奔走する羽目になった。
驚いた。お兄さんが、おねえちゃんとか大好き言葉を使われたから
凍結状態になってしまいました
真奈の返事内容にゲームの状態異常で使うのは最近ここゲーム三昧でもしているのかなと推測する。
ともかく俺も返事をしないと思ったが比翼が操作した。
比翼だよ。おにいちゃんに告白されてドキドキしました?
していない
(真奈よ。その返信が返すまでかなり間があったが)
永眠してくださいニート
駄目だよ香音そんな言葉を使うのは
(三好さんが香音を注意しているけど効果はないと思います。
あの真奈様にもそうだったわけだから。っと、そうだったら本題に入ろう)
山脇東洋です。それでは改めて皆、進級おめでとう。
(まさか、俺が誰かを祝う言葉を送るなんて思いもしなかったなぁ。そしてこれから俺がするのは祝福の言葉を送る)
真奈へ。最初に出会った頃は敵愾心を向けられたのが懐かしく思う。少しずつ素直になっていく姿を見ていると気を許してくれたんだなぁって嬉しくなったんだ。
これからも頼ってくれると嬉しく思う。3年生おめでとう、
今後の活躍が楽しみであまりにも飛躍しすぎて戦慄することあるけどそれも含めて応援や相談をする。また一緒にゲームをしよう
「うわぁー、おにいちゃんよくそんな長くて恥ずかしい文を書けるよね」
「 はは、慣れていないからね。さて送信っと」
三好さんへ。
書店でよく足を運んでいたけど事情が出来てあまり会えずにいるけど色々と伝えたいけど一言で表すなら楽しかったよ。
多くを学び輝かしい未来への
まぁ、そんな送らなくても三好さんなら勝手にするだろうけど進級おめでとう
「これから固くもなく軽くもないはずだ・・・送信っと」
「最後はいらないと思うけど、おにいちゃん」
(フランク過ぎたかなと俺は思ったが変に堅苦しいセリフを使うとそれはそれで知己からして相応しくないも思ったんだよなぁ)
香音へ。
これまで以上に困難が立ち塞がると思うけど香音なら乗り越えれると存じます。比翼が懐いているのは香音の鋭い刃を彷彿させる言葉ではなく心が綺麗だからと思います。これからも皆と仲良く切磋琢磨と仲良く楽しむのを心から願うよ。進級おめでとう
「へぇー、そう考えていたんだ。香音おねえちゃんを懐いているのは当たらず遠からずだね」
「だろうね。推測だから全部が当たることなんてないから」
送信。ラインメッセージで三人に対してお祝いの言葉ようなものを送った。大人の責務というか
きっと彼女らには進級した実感を持っていないだろうから。少しでも誰かが祝う言葉やそんな雰囲気を催すことで自覚していき、
時間は進んで先へと考える動力になる。
「はぁー。返事がないと恥ずかしいんだなぁ意外と」
そう。どんな反応しているのが分からないと小説志望者の身としては、もやもやする。
想像力が
「大丈夫だって。おにいちゃんがロリコンで変人なの皆が知っているから」
「励ましてくれてありがとう比翼。変人なのは自覚しているけど、ロリコンじゃない・・・はず」
「お兄ちゃんの場合はシスコンですからねぇ」
隣に座る冬雅がキラキラした瞳でそう言ったので俺は額から汗が流れ苦笑した。この話題よくするよね君たち。俺はスマホをテーブル上に置いて視線を比翼に落とす。
膝の上で乗っているので自然、長いウェーブ黒髪が目にする。
「比翼、年齢的に言って3年生だから進級おめでとう。
その笑顔は心を照らされて見ている人も明るくさせられるんだ。
もちろん俺もその一人。
それと比翼の成長速度は
神待ちをしていた精神が病んで色気を使う比翼はもういない。
元の比翼は、年相応以上に明るく眩しい笑顔をするし色気なんて無理にしていたと一緒に生活して気づいた。今や俺や冬雅に説教する回数が増えているし。
そんな愛おしい妹のような存在である比翼に自然と頭を
「えっへへへ」
目を細めて気持ち良さそうにする。
俺は手を離し最後に冬雅の顔を向く。
「とうとう、お兄ちゃんの告白が」
「告白じゃないよ。えーと、
進級おめでとう冬雅。
これからもよろしく」
「・・・・・ふぇ?もしかして終わりですか」
「ああ」
花が
首を傾げるような鈍感ではない。
家族以外で最も長くいて相思相愛なのかもしれない相手から
短いセリフとありふれた言葉となればそうなる。右手で俺は頬を掻きながらどう答えるか考え発する。
「その、どう伝えればいいか浮かばなかったんだ。心のままに言葉をすると危険だと思って・・・
それに伝えたい事はたくさんあるけど、これからゆっくり伝えていこうと思っているんだ」
「ゆっくり伝えて・・・そうですね。お兄ちゃんと、これからも一緒に生活していくわけですから。えへへ、まるで同棲みたい」
もう同棲でいいじゃないのかこういう場合だと。っとそんな危ない言葉を指摘なんてするべきあらず。頭の隅に追い払い俺は次の言葉を口にする。
「冬雅のおかげで俺は大きく変わったと思う。前向きなれたし、
真奈達も会えて・・・まぁ女の子ばかりだけどねぇ。
改めて進級おめでとう冬雅。
また挨拶やお休みを言える生活が長く続けたらいいなぁと思っているよ」
「わ、わたしも・・・お兄ちゃんと同じ気持ちです。離れてもスマホで出来ますし、お兄ちゃんの中で当たり前な存在になれるよう精進します」
両手を拳を握り闘志を燃やす。
決意と揺るぎない信念を感じさせる頬が淡く赤色で染まった顔。
猪突猛進で初志貫徹なJK。
「俺だけじゃなく冬雅もだよ。
いて当然な存在というのは」
「はっ――!?は、はい。お兄ちゃん!」
あと少しで涙腺崩壊する一歩手前の冬雅は目を細めたくなるほど
眩しく信頼に溢れた笑顔をするのだった。
そして恥ずかしい思いを主に俺がした進級祝いが終わり、それから
テレビを見て談笑したら午後11時になる。ソファーで両隣が定位置となった冬雅と比翼は
そろそろ就寝しないといけないか。冬雅は完全な朝型で夜には弱い。
「ふっわー」
冬雅まだ欠伸をする。
「また明日にして、寝るとしようか」
「そうですね。お兄ちゃん」
「
古風なセリフは比翼。
ソファーから立ち上がり歯磨きをしようとタイミングでスマホが
鳴り響き始める。
ダイニングテーブルで独特でどの機種でもほとんど同じの音から察するに通話だろう。
「あれ?わたしのスマホ・・・この時間帯でいたかな」
遅い時間で掛けてくる相手が浮かばず訝しむ冬雅。俺と比翼は気になり玄関ドアの前で通話を待つことにした。
「えっ!?ママからだ。
はい、もしもし・・・えっ!!
う、ううん。もちろん嫌じゃないけど・・・・・うん。分かった楽しみに待っているね」
どうやら通話は終わり冬雅の表情は影をさす。超絶のご機嫌だったのに生気を感じさせない
「冬雅・・・何かあったのか?」
すると、冬雅は顔を上げて笑顔を作り
「ママとパパが、明日の朝に帰ってくるって」
「冬雅おねえちゃん両親とは悪いの」
比翼の質問は良好関係じゃないのか意味だ。力なく冬雅は首を横に振る。
「ううん。そんなことないよ。
帰ってくるなら、お兄ちゃんの家にいられない」
「「えっ?」」
「もしここに泊まっているなんて知ったら大変な事になるよ。
だから・・・お兄ちゃんと比翼に迷惑にならないよう
冬雅はそう告げるとリビングを出て荷物を持ち隣の家に帰っていた。
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