第173話―かけがえの無い笑顔を―
日曜は冬雅が俺の家で泊まることはある。前は滅多に無かったのだが、一人では
せめて同じ部屋は避けてもらい弟の部屋か俺がリビングで寝ることも、そして今日は弟の部屋で眠る冬雅。
「くしゅん」
寒い。階段を降りてくしゃみをする。マンガとかで「どこか噂をしている?」という
「あれ、冬雅・・・もう起きて」
リビングからドアの隙間にシーリングライト光が差し込む。
比翼は俺の部屋で眠っていて
「入っていいか?」
「はーい、いいですよ!」
明るい声に俺はドアを開けると案の定、冬雅がいた。予想外、プリキュアのキュアブラックのコスプレして――
「光の使者、キュアホワイト!」
「キュ、キュアホワイト?」
「はい。どうでしたお兄ちゃん?なかなか上手くできたって自負しているんだけど、きっと喜んでくれるかな思ってやってみましたけど・・・恥ずかしいですねぇ。
そのプリキュア好きなお兄ちゃんの得点は最高100点で?」
「えっ?あ、ああ・・・えーと
100点だよ。ポーズや 衣装の出来を凄くて驚いた」
サプライズ達者の冬雅に、俺はテンションが高くなる。最初は動揺したけど、アニメのコスプレした人を見たことない俺は舞い上がる気持ちになった。冬雅は俺の言葉に
「やりました。お兄ちゃん良かったら写真を撮りますか?」
「えっ?写真を」
写真を撮りたいと考えていなく、
俺は疑問で返した。
「だって、褒めてくれましたし。
きらびやかな姿を収めようとするのは普通だよって自分で言うと
自信家みたいですね。
お兄ちゃんもし嫌じゃなかったら」
そう言えば冬雅を写真を撮ったことはなかった。淫行とかJKだからどこか
「じゃあ、写真を撮るよ。ちょっとスマホを取りにいってくる」
「うん!」
比翼が眠る俺の部屋にスマホを取りに戻る。そしてスマホで冬雅のコスプレをパシャ、パシャ、パシャと撮る。思った以上に面白い。
コスプレを撮りにいく人の気持ちがよく分かる。新しい趣味に目覚める俺は冬雅だからもあったかもしれない。好意的なのは恋か妹ような存在か俺自身も分からない。
けど、高校生の冬雅を写真に多くを残したいと俺は密かに思った。
「よし、上手く撮れた」
「お兄ちゃん次はどのポーズしましょうか?」
「そうだな・・・最後に俺と一緒に撮ってくれないかな」
「お、お兄ちゃんと・・・や、やりましょう。お願いします!ぜひ!!」
普通にポーズを決めていた冬雅は
いつもの積極になる言動に苦笑を俺はこぼし愛おしい気持ちになる。いつか冬雅とこの瞬間を思い出として残った写真を見て笑える未来がある事を思って想像した。
(冬雅が思い出を振り返るように多く残さないとなぁ。・・・いや、俺のためだ。この笑顔だって、いずれ向けてくれないこともあると思っている)
関係が永遠に変化なく、関係と想いは変わらないことは無い。
その心理は子供だって無意識に知っていることだ。もし、このさき冬雅との関係はどうなるのか
俺は一抹の不安が途方もない恐怖のようになるのだろうかと考えた。
「お兄ちゃん大好きだよ。
だから寂しいそうな考えとかしないで」
冬雅は優しく眩い笑顔で告白した。
いつもながら突然だけど、言の葉には恐れていた心を読まれた
事に驚いた。
「冬雅・・・ありがとう。なんだか情けないなぁ」
「いいんだよ。わたしの前では、いつも大人としてとか振る舞わなくても。大好きな人には対等で
年下じゃなく子供とか見られるよりも今のお兄ちゃんが・・・
わたし大好きで前よりも大好きだよ!」
両手を後ろに見上げる冬雅は静かな熱意と慈愛を眼差しをしていた。いつもと違う肯定して認めてくれるような雰囲気を醸し出している。俺は冬雅と歳が離れていなければこんなにも悩まなく
よかったのか思う。冬雅が優しく
否定しても年の差は無視できない
ものだ。
「冬雅・・・俺も好きだと・・・思う」
曖昧でどっちなのか俺自身も知りたい答えに心を彷徨う。
「お兄ちゃん・・・・・ありがとう。
すごく嬉しくて幸せだよ、わたし」
冬雅は感極まり頬を伝うのは涙で疑いもなくそれは嬉し泣きで美しいかった。
「冬雅えーと、頭を
こういう流れは俺もしている。
キスをすればいいのだろうが流れに任せるほど冬雅に対する気持ちは軽くも短くない。
俺はそうであっても冬雅はガッカリするだろうなぁと思った。
「えっ?あ、頭をですか・・・お、
お兄ちゃん大胆だよ」
耳まで赤くなり
「それ冬雅にだけは言われたくないよ」
大胆なのは冬雅の独壇場だろう。
「そ、そうなのですか!?」
「まさか自覚なかったのか・・・
冬雅ときどき変な欠点あるよね」
「お兄ちゃんのわたしってそんなに完璧とかじゃないよ。駄目な所が多いし」
「ご謙遜を。冬雅の欠点を探すなど砂漠で落ちた物を探すような物、長所なら朝から晩まで語れるぐらいに俺は知っている」
「そ、そうなのですか!?
いえ騙されません。お兄ちゃんが気を使っているだけ」
「そんなことはない!」
「そんなことありますよ!」
くっ、冬雅がここまで頑なに否定するなんて思いもしなかった。
しかし、いくら冬雅であろうと
これだけは論破しようと思考を巡らす。
「おにいちゃん、冬雅おねえちゃん
なにイチャイチャした
バタっ、リビングのドアを開けてそこに立つ比翼が俺と冬雅を交互に半眼を向けている。
「比翼!?起きていたのか」
「おかげさまで。ラブラブにも
ほどがあるから!」
不機嫌な顔をしてそう言った。
「ち、痴話喧嘩じゃないよ比翼」
「百人聞いて万が痴話喧嘩と言うよ」
「増えている!?それに多すぎる!!?」
比翼が居間に入ると、冬雅が用意したミルクティータピオカとコンビニスイーツが置かれた
ヒーリングっとプリキュアを観るのだった。
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