第172話―2月15日―

「た、食べすぎた・・・」


深くも浅くもない眠りから浮上した俺は、すやすやと眠る比翼を

起こさないようベッドを出る。

冬雅が、いつも挨拶は無い。隣家からのベランダにカーテンしていて中を伺えないとなると、まだ睡眠時間なのだろう。

なりより昨夜から頂いたバレンタインチョコを全部、食べて幸せな気分になって比翼とアニメを夜遅くまで観ていた。


「ふわぁー」


一階に降りてトイレを済ませリビングで軽くお茶を飲もうとコップが2割ほど注ぎローテーブルに置いて録画していた頭脳王を観る。


「・・・レベルが高すぎるなぁ」


レベルの高いクイズが大好きな俺は眠気が覚めて分からなかった問題をメモしておく。


(引くぐらいレベルが高すぎる)


そうとしか表現、出来ないほどに懸絶けんぜつだった。2時間(早送りして一時間半ほど)を観賞していたら一気に睡魔が襲われまぶたがダンベルのように重たく感じる。俺は炬燵こたつの中で二度寝をしようと

横になった。

そして、意識がもやがかった状態で戻っていくと頭に柔らかい感触がした。どうやら、また

膝枕されている。目を薄っすらと

開くと真奈の顔が見えた。


「真奈おはよう」


「ひっう!?・・・お兄さんその、おはよう。今日も天気がいいですね」


仰向けで見た真奈の顔から火が出そうなほど赤くなっている。

そう好きだと言わんばかりに見下されると、落ち着かない。


「あっ、お兄ちゃん起きましたか。朝からわたし驚きましたよ!いつもかわいく寝ているお兄ちゃんの姿が無くって心配して、ウイルスに掛かって倒れていないか

怖くなって来たんですよ!わたし」


「そ、そうなのか・・・色々と心配させてごめん」


「ううん、リビングで見たときは約得と言うのか・・・ともかく

掛け布団を掛けてから寝てくださいねぇ、お兄ちゃん」


光の化身けしんのような笑みを浮かべる冬雅に注意されて

したが、掛け布団が掛けくれたのは冬雅なのか。


「冬雅わざわざ掛け布団ありがとう」


「ううん。当然の事をしただけだよ」


冬のコーディネートを決めた冬雅の笑顔にまるで美少女ゲームの

シーンだなと普段はやらない恋愛シュミレーションゲームを何故かそう思った。


「その当然な事がおにいちゃんを膝枕をしていましたけどね」


炬燵に丸くなる比翼が咎める視線を冬雅に向ける。


「はぅ!?」


指摘されたことに冬雅は頬か赤くなって苦笑した。最初は冬雅に

膝枕された記憶がないのだけど、

なんだか勿体ないような。


「お兄さんワタシが・・・

プレゼントしたバレンタインチョコの味はどうでしたか!」


真奈が、俺の右手を握って訊いてきた。握ってきた理由は、

落ち着かないときによくやることだと俺は知っている。いや、冬雅達も周知のことだろう。


「わ、わたしも聞きたいよ!」


「もう聞いた、わたしは幸せでした。はっへへ」


比翼よ変な笑い方になっているぞ。羽柴さんの影響かしら?

まぁ、美味しかったと頭をでるように要求や乙女な笑みや恥じらいとかしていたし。

そして冬雅と真奈のいただいた

バレンタインチョコの感想は

決まっている。


「もちろん最高だったよ」


想いを込めて作られたのが、

作られたチョコを見てすぐに分かった。冬雅は前からチョコを俺に食べさせては感想を求めたのは、

このためであって、好みを調べていた。いちご味のチョコとシンプルながら考えていた。

真奈はハート型のチョコと数がスゴかった。冬雅みたいに他の女の子からプレゼントを考慮して

いなかっただろう。

告白して今も好きでいてくれている二人に感謝している。

冬雅は嬉しそうに仄かに赤くなる頬で屈託のない笑顔を

真奈はそっぽを向いて耳が赤くなっているのを見えてしまった。

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