第152話―初詣メモリアル2―
インフルエンザに
「比翼おはよう」
「あっ、おにいちゃん起きた。
おはよう!」
「ふわぁー、眠たい」
「それじゃあ、おにいちゃん二度寝しますか。わ、わたしも二度寝しようって思ったんです」
「ああ、大丈夫だよ。慣れているからね。それよりやりたい事は山ほど
あるし。比翼は二度寝してから参りに行こう」
「あっ、いえ眠気が急に消えました。いやぁー冴えています」
「あ、あはは。そうか」
一緒に寝たかったのだろうなぁと俺は心の中で思い苦笑する。テープル上に置かれている
茶器に傾け入れて、また炬燵に戻る。それと
「知っていたか比翼。実はミカンにはここまで成分が――」
健康を常に気にする俺として季節が巡るとスマホや本で無性に調べたくなる
「おにいちゃん難しい。とにかく栄養がいっぱいで覚えたから。
もう、いいよ!」
「そ、そうか。わかった」
もう少し語りたかったが、仕方ない。熱いお茶を飲む。ふぅ、落ち着く。
「わたし色んな男の人の家に入ったけど、おにいちゃんみたいな
健康系はいなかったよ」
「・・・そうか」
比翼を歪ませ苦しませた忌避したくなる過去。デリケートな部分に当たり障りもないようなセリフしか出ない。ともあれ現在の比翼は変化、否!本来の性格を見せるようになった。この系なんて言わないし。大人に気に入られるような言動していたのだろう。
「比翼。困ったことや苦しかったら、いつでも俺に言ってくれ。
比翼は家族で大事な人なんだ。
社会や家族構図では無くっても
俺はもうそう思っている」
「・・・・・・・お、おにいちゃん!」
感極まった比翼は勢いよく立ち上がると、タックルの勢いでハグしてきた。胸の前で嗚咽する比翼を俺は頭を優しく込めて
ガチャ――
(あ、あれ?玄関から誰か入った?)
もしかして冬雅なら、これはマズイじゃないか。ラブコメハーレム主人公の
はやる気持ちだけ募り、離れるわけにはいかず覚悟を決めるしかない。そしてリビングに入るのは。
「おっ、邪魔したなぁ兄者」
「えっ、
「おにいちゃんずっといるよ、
わたし」
「これは、冗談とかなさそうだな。んじゃ、後は若い二人で楽しんでくれ」
「だから違うんだ!」
突如のトラブルにより誤解を解くのに比翼が泣き止み説明するまで小一時間ほど経過した。
「そんなわけで、おにいちゃんがわたしの家族になれって告白されたんです。えっへへ」
炬燵に隣に座る比翼が満面な笑顔で新たなる誤解を招く発言。
比翼は俺の右腕に前よりも強く抱きついている。
向かいに座る弟の移山は相槌を打ち真剣な表情。
「なるほどなぁ。お嫁さん候補レースを勝利に輝いたのは比翼だったのか」
「えへへ、これからは
「だな。今後ともよろしく頼むぜ
比翼
「告白はしていない。これからも守る表明の事で、お嫁さんは違うから勝手に話を進まないでくれ」
精神的に疲れ俺はため息をこぼす。しかし当の二人は――
「つまんないなぁ、兄者は。
それより比翼はいくつなんだ?
お嫁さんなるにも年齢が
あるだろうし」
色々とツッコミたい。お嫁さんになる前提で進んでいるんだ。
「えーと14才だよ」
14才。つい大人びていたから高校生だと勝手に思っていた。
俺が14才の時ってかなり子供だったから比翼は何ていうかもう少し甘えたり
「14才か、まずは兄者と普通にデートを重ねてから自分の気持ちを整理して本物か確かめる。
最低でも18才にならないと結婚は出来ないからなぁ」
ああそう言えば女性の結婚適齢が
16から18になると
テレビでやっていた。2022年ぐらいに民法改正案で決まるかもしれない。
投票も18に
定義も近いうちに18と定義になるかもしれない。
二人が言う比翼が18才になっても
俺は31才になっている。
年の差で話が上手く行くとは行かないだろうし自然と諦めてくれるだろう。俺は夢を少しは見なくなったし。もちろん現実を見て商法小説家になる!
「18才ですか・・・お、おにいちゃんと結婚したら、毎日この生活が出来るんですね」
「はは、そうだな」
「待ってくれ。冷静に考えておっさんになる俺と若い比翼が付き合うなんて普通に出来ないから。
ここまで年が離れていると」
「お、おにいちゃんは・・・わたしとじゃあイヤなんですか」
ぐっ、悲しそうに上目遣いしないでほしいのだけど。
「嫌じゃないよ。すごく可憐で信用されたら嬉しいに決まっているよ。でも幸せにさせることなんて出来ない。俺なんかより比翼なら有名人とか立派な人と付き合えば――」
「そんなの関係ないんだから!
わたし、これから先もおにいちゃんだけだから。だ、だから・・・えーと」
「愛があれば年の差なんて
関係ないだろ」
言葉を探す比翼は、恥ずかしくなって俯いていく。それを見た移山はエールの言葉で比翼を奮い立たせようとした。たぶん。
比翼は雷に打たれたような衝撃の表情した。効果音はもちろん無い。目を閉じ深呼吸、そして強い意思を目に宿り顔を上げて逸らさずに見る比翼。
「ま、まだ子供だけど。おにいちゃんが大好きだよ。・・・・・だ、
だから冬雅おねえちゃん負けないぐらいに惚れさせるんだから!」
「おぉー!やったなぁ比翼の姉貴」
拍手する移山。いや、お嫁さん候補を増やそうとしていないか。
・・・自分の内心ツッコミで頭痛してきた。勇気を振り絞り言った比翼に悪いけど俺には冬雅しか見えないから応えれないんだ。ここは真摯に比翼をなるべく悲しませないよう細心の注意で応えないと。
「比翼・・・嬉しいかったけど、俺には冬雅が気になっていると言うのか・・・順序が違ったら違ったかもしれないけど。その想いには
残念だけど応えれないんだ」
ショックを受けた比翼は、時が止まったようにずっと見つめるのみ。瞬きはしているから止まっていないけど沈黙が続く。
「そんなの知っているよ、おにいちゃん何を言い出すんですか?」
「兄者・・・鋭い勘を持つのにときどき
二人は俺の発言に呆れ果て盛大なため息をする。・・・・・あ、あれ?なんだか思った反応と掛け離れ過ぎてこっちがフリーズする番だ。
「あんなにイチャイチャして
おにいちゃんと冬雅おねえちゃんがただならぬ仲なんて見て分かります!」
「クリスマスの時にあそこまで
反応して気づけないバカはいない。俺の知っている中でここまで相思相愛はいねぇ」
なっ!そこまで確固たる自信で言うのか二人とも。た、確かに冬雅といい雰囲気になったのは・・・って違う、違う!あれこれが恋?の段階程度であって冬雅をまだ本当に好きになってはいない。
「それは目の錯覚だと思うよ」
「おにいちゃんが大好きで
冬雅おねえちゃんに悲しまないように恋人になるんだ。
わたしはみんなで幸せになっておにいちゃんの隣にいる!」
比翼は決して揺るがない。
「比翼・・・ありがとう」
「・・・・・う、うん。おにいちゃん」
肯定も否定も出来ず俺はお礼という
「よし、そろそろ行こうぜ」
脈絡もない言葉をする移山。
「急だね。どこに行くと?」
「んなの、
決まっているだろ!」
ああ、だから多忙の移山が家に帰れたのか。・・・んっ、それブラックの臭いがする。後で問い詰めてみるか。中学生の比翼がいるなら参拝は
必ず行かないと。その考えになるって、ちょっとした娘か妹だな。
「そうだな。行こうか」
二人は
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