第146話―お正月は近い―

「冬雅おねえちゃん、真奈おねえちゃん!お帰りでござる!」


「「ご、ござる?」」


親友の真奈と塾帰りにお兄ちゃんの玄関ドアをくぐり出迎えるのが当たり前になった比翼。愛おしくってかわいい姿に癒やされていると語尾に普段は使わない言葉を使ったのです。ご、ござるってあの時代劇とかサムライなど使う語尾だよね。


「二人ともお帰り、夕食は比翼と作っておいたからすぐに食べよう」


小走りの比翼に遅れて出迎えるのはわたしが最初で大好きになった人であり相思相愛になった

山脇東洋やまわきとうようお兄ちゃんです。毎日わたしが告白していますけど、恋が成就じょうじゅしてからは告白をもっとして前よりも想いを伝えたい込み上げる一方で顔を見ると鼓動が高まって動作一つ一つが愛おしくというのか、かわいいというのか形容し難い素晴らしいんです。でも今は玉砕が起きない玉砕

覚悟で告白します!


「お、お兄ちゃん。そのお正月は一緒に・・・イチャイチャしたいかなって思っています。いえ!したいです。だ、だから・・・

お兄ちゃん構わないですか!!」


相思相愛になってからは告白の定義もわたしの中で若干と一般の定義を更新された告白。

想いを伝えるまたは前よりも関係を進めさせる意味に。

我ながら一心不乱な言動にはめちゃくちゃな理屈だと分かっています。けど、これがわたしの

ロジックなんですから。


「イ・・・イチャイチャって、あの恋人とかする。イチャイチャだよね」


お兄ちゃんはかなりインドア派でそのためか肌が真っ白。女の子のような頬に淡い朱色に染まっている。こ、これって、わたしの告白でそうなっているとしたら・・・

すごく嬉しいけどドキドキが急激に加速していく・・・

あ、甘すぎますよ空気が。


「ムッ、おにいちゃん。

わたしにもするんだから!冬雅おねえちゃんだけは不公平だ」


「比翼・・・えーと、もちろん遊んであげるから」


「そういう事じゃなくて、わたしもおにいちゃんイチャイチャしたいそうろう


指を上下に振ってお兄ちゃんを指す比翼を見て和みます・・・あ、あれ?わたしの返答は。


「お兄さん気になったんですけど比翼の口調がいつもと違うきがするんですけど」


真奈はお兄ちゃんの隣に立つと手を繋ぎ上目遣いで見上げる。

・・・信じられないのが、これが計算とかじゃなくて意識せずにやっているのです。なので指摘はNG。


「時代劇や歴史の本などハマってね。ときどきこんな口調になるんだ」


「ふーん、そう言われてみたらお兄さんの本棚ってラノベとか文学作品にも負けず劣らず歴史の書物とかありましたね」


わたしも靴を脱いでお兄ちゃんの前に立つ。すっかりお兄ちゃんはモテモテです。最初よりも魅力になっていますし元気でよく笑うようになって自分のように・・・いえ、自分以上に嬉しくなります。

正直に言うと時々でもいいから

わたしにも真奈みたいに手を繋ぎたいし比翼みたいに頭をでてほしい。


「とりあえず作った物が冷めてしまう前に食べないと手伝った比翼に悪いから、続きは食卓で」


相分あいわかった!おにいちゃん」


「そうねぇ。お兄さんが作った料理、楽しみだなぁ」


(お兄ちゃん、わたしの告白を返事してくれない・・・って、なに悲しんでいるんですか、わたし。

忘れているかもしれないし、

その続きも食卓ですると思う。

・・・・・だといいなぁ)


「お兄ちゃん・・・」


「んっ、どうしたの冬雅?」


わぁ!?小さく呟いたはずなのに聞こえたよお兄ちゃんが。

振り返ると比翼と真奈もわたしを明るく見てきます。うっ、なんだか緊張します。


「な、なんでもないよ。お兄ちゃん・・・あ、あはは」


お兄ちゃんに作り笑いをするなんて何年ぶり・・・いえ、半年でした。そんな事じゃなくて

お兄ちゃんを愛して・・・ちがう!

わたし恋に慣れていないにもあってすぐに妄想してしまう。なんだか顔が見れない。


「そうか。冬雅・・・その情けない俺でも俺なりに手助けしたいと思っているから。いつでも相談は聞くし告白でもこたえてみるよ」


ムッ、最後はユーモアでわたしに暴走してしまう恋心を軽減しようとしたのでしょう。そのおかけで冷静になりましたけど、

実際にその告白の返事がまだで

もやもやしているんですよ、お兄ちゃん!よし、やってやります。


「な、なら応えてほしい・・・かな」


限界です。調子が悪くなった気分に達するほど恥ずかしさにわたしはうつむきます。


「冬雅それは?・・・あ、ああ!

あっ、そのイチャイチャの件だよね」


こくっ。わたしは顔をゆくっり上げて頷きます。わたしも狙ってやったわけじゃないけど上目遣いでお兄ちゃんを見る。まるで重量がどんどん強くなったような重たさ。お兄ちゃんは頬を指で掻きながら言葉を探して間が生まれて

刹那の時間は終わる。お兄ちゃんが告白したような優しさを見せた表情で言うようです。


「えーと、頭をでるとか手を繋ぐだけで許してくれないかな。お、俺もよく分からないから」


「で、ですね。わたしもそうしてくださると助かります。はい」


前はもっと大胆な事をしたけど

お互いが好意を知った後は、ただとにかくスイーツを食べたような甘さで満たされていく食後が満ちて広がる。それに気づきました。

わたしだと、すぐ一人称が俺と化したました。えへへ。

お正月でイチャイチャを約束しましたよ、わたし!リビングに入り今日もわたしはテープルの向かいに座り他愛のない話で花を咲かす。


「そ、それはまことでありますか真奈おねえちゃん!」


「う、うん。お兄さんとはクリスマスイブで夜道の言葉を交わした。ま、まぁお兄さんの友人として当然だけど」


セリフは友人以上だって真奈は気づいていない。お兄ちゃんは恥ずかしそうに我慢していますね。

個人的には二人が幸せなら、わたしも応援しないと。


「えへへ、真奈良かったですね。お兄ちゃんもきっとデートだって思っていますよ」


「そ、そうかな・・・って違うからねぇ!あ・く・まで友人。

送ってもらっただけよ!!」


わたしの隣の真奈は身体を縮めてモジモジとしてします。

か、かわいいですよお兄ちゃん!見てください。


「と、ともかく比翼とお兄さんはワタシがいない間に何をしていたのよ」


あっ、話題を逸らそうとしていますね、これは。


「いや、大したことないよ。いつもように勉強をする比翼の隣に小説を書いて一緒に掃除して次にテレビを見ている隣で執筆だよ」


「そうなのであります!

おにいちゃんの膝の上に乗って大名行列の映画を見ていたぐらい」


なるほど。お兄ちゃんは比翼の面倒を・・・あれ今なんて?


「お、お兄さんもしかして

そうするように言ったんですか?」


「いや違う!比翼から座ってきて

気持ちよさそうだから指摘をしなかった」


案の定そうでしたか。でもお兄ちゃんの膝上か・・・わ、わたしも乗ってみたい。顔を赤くなり真奈の追求に誠心誠意に誤解を解いていくお兄ちゃん。カオスです。


「あ、あはは」


つい苦笑するわたしでした。

それからゲームしたり今季のアニメ最終回など見ていたらわたし達の本当に帰路に就く時間となりました。真奈を送りに行くメンバーは昨日の26日はお兄ちゃんと比翼の3人。わたしは昨日のクリスマスパーティ出来なかったママとパパと過ごしていました。その後深夜に仕事に行き比翼をお兄ちゃんが連れてきましたね。比翼は「おにいちゃんに誘惑するんです」と危ない発言していました。

さすがに、この発言に看過かんかできずにわたしは説教しました。今日はわたしも含めた4人です・・・人数が多いですね。


「おにいちゃん!真奈おねえちゃんがわたしをいじめます」


「ちょ!?いじめていないから!?」


「真奈がいじめるなんて絶対に無いよ。蜘蛛くもの巣で捕らわれたちょうを目撃したら両方を助けるほど優しさのかたまりなんだから」


「えっ!お兄さん見ていたんですか?」


「いや、なんとくそうイメージで」


「うぅー、お兄さんのバカァァ!」


比翼はお兄ちゃんの左腕を抱きついて右に真奈が手を繋いでいますね。通り過ぎる人もお兄ちゃんが美少女をはべっているように見えるらしく引いています。

で、出来たらわたしも後ろについて歩かないで後ろで抱きついて行こうかな。もちろん恥ずかしくてしません。・・・あ、あれ?ジャージ姿をした女の子がひどく驚いています。コンビニ袋を落としています。あれよく見たらあの人は!


「ま、真奈様・・・なのですか?」


羽柴香音はしばかのんでした。ど、どうしようまずいよ。


「えっ?か、香音!?」


「真奈様この男はいったい――」


ま、まずいよ。お兄ちゃんが淫行とか疑われるよ。ど、どうしたら誤解?を解けてくれるのだろうと

わたしはどうすればいいか

戸惑うしかなかった。

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