第136話―冬の雅―

「お兄ちゃんそれ、別の意味で危ないです」


エミリーさんに解放された俺達は家に戻り冬雅が夕食を作る時間に帰宅して一緒に作る。なかなか、上達した冬雅の調理に目を見張らせる。正直ほれぼれとさせるほど成長していた。容姿や中身など。

夕食に二人のJKと団欒だんらんとする日常は楽しい。

字面にすると犯罪臭がすごいが。

それはさておき、真奈が俺とエミリーさんと楽しそうにしていたと事細かく伝えた。有言実行です。


「えーと、危ないかな?」


「はい!普通にロリコン疑惑には躊躇ためらいながら否定して、JKが好き疑いには強く否定するって、もっと小さい子が好きって意味になりますよ!」


「そ、そう言えば・・・・・そうなるなぁ。自分がそんな迷っていたか」


自分の事を客観的に見ても限界はある。真奈が見た俺の支離滅裂な返事したことに苦笑してしまう。

ロリコンは違うと迷い、女子高校生には興味がないと顕著な否定。それより下なら別だと意味になる。・・・・・うん、危ない。


「冬雅、真奈ちがうんだよ。

さすがにそれよりも下は興味がなくて、3次元じゃなくて2次元のことで――」


「お兄さん、なんだか言い訳みたいだよ」


真奈が頬杖して俺の拙い言葉に冷たい声で言った。うん、俺もそう思った。慌てふためくと言い訳に見えるからね。ロリコンは自覚していたけど、JK好きには既に無い・・・二人は例外として。

なにか言わなければと巡らすが浮かばなかったので視線を下げてオムライスを食べるという一種の返事を選択。


「・・・ハァー逃げたよ。

まぁ、いいてすけどねぇ別に」


絶対に思っていない。真奈が少し不機嫌になりました。帰路に就く真奈はあんなに笑顔だったんだけど。


「そんな答えをされると、わたしは複雑な気持ちかな・・・・・」


冬雅の悲しそうな声に俺は方針変更とすぐに思考を巡らす。どうしたら満足できるか。それに嘘が含まれないよう。新たにつき加えるくすぶるような想いを隠して・・・・・あれ?色々と難儀すぎないかな?すぐに頓挫とんざしそうになる中どうにか打開はないかと考えながらオムライスを口に運ぶ。うん、美味しい!


「友人として忠告するけど、お兄さんは他の女性を見ないで冬雅と今までようにイチャイチャすれば

いいと強く主張するから」


「「こほっ、こほっ!?」」


静かになった居間にオムライスと対話に真奈が何故かそう勧めてくる。さ、さっきまで好意を隠していなかった気がするのですが。

「ですので」と、まだその主張は終わらない。


健気けなげな冬雅に対して最近のお兄さんは足りないと不満を持っています。ですので

頭をなでるとかなどして、そろそろ進展があるべきなんだから」


「ま、真奈それはちょっと、わたし・・・・・」


「一理はあるけど・・・」


脈絡のない言葉に俺と冬雅は戸惑うばかり、いつもは冬雅がとんでもない爆誕発言するのだけど、

真奈と友人として宣言してから

何か大きく変わった気がした。

正直、止めるべきなのか受け入れたらいいのか。


「お、お兄ちゃん・・・真奈と何かありましたか?」


向かいの冬雅は立ち上がり顔を近づき声を潜めて訊いてきた。


「心当たりはないと言えないかな」


「えぇー!その意味深はなんですか!?お兄ちゃん」


こんな言葉を言ったけど、特になく推測して仮説がいくつかあるだけで。


「コホン、ささやくのはそろそろいいかな二人とも」


咳き込み会話を強制中断させる真奈。冬雅が、顔を近いことに今になって驚いてすぐに離れうつむき始める。自爆した冬雅を見て恥ずかしくなってきた。


「二人とも、中学生かあぁぁぁぁーー!!」


「うわぁー!?」「ふぇ?」


机をバン!と叩き怒を表す真奈。

叩いた衝撃でお茶を入れたコップが少し上に舞い上がり、俺はキッチンに向かってキレイに拭きイスに戻る。俺が座ったことに今度はゆっくり手を机に置き、普通に腰を上げるのだった。


「そんなことで赤くなってどうするですか二人とも。前はすごいことしていたんじゃあ?」


「そ、それは冬雅が迫って来ていたんだよ。不可抗力であります」


「う、うん、うん。・・・・・ん?お兄ちゃんそれだと、わたしが、ふしだらみたいなんですけど」


納得出来ないと、冬雅は雪をあざむくキレイで洗練された顔を一部だけ赤く染まっていて

目には強く潤って涙目。


「お、お兄ちゃん?・・・・・そ、そう、まじまじ見られると恥ずかしいです」


「はっ!ごめんつい・・・・・」


そんな表情を見るの懐かしいとは言葉にせず心に留める。まじまじか・・・どれほど時間で冬雅を見ていたか、心を奪われるほど魅力だけどこれは恋心じゃない。


「冬雅はともかく。お兄さんまでその反応はどうかと?」


「ふぇ?お兄ちゃんは、どんな反応したんですか真奈?」


キョトンと首を傾げる冬雅に真奈は席を回り冬雅の耳を近づけ何かを伝えている。冬雅は頷いて聞いていたけど、徐々に勢いは無くなりあの日見た花の名前を僕達はまだ薄赤い頬を沸騰する速度で強くなる。


「そ、そうですか・・・」


唸り声のように答える冬雅は深く顔を俯く。長い髪がベールのようになって表情が読み取れない。


「でも、恥ずかしがっているのは分かる」


「・・・・・う、うん」


俺と冬雅は羞恥に耐えながら真奈を見送るまで続いた。


「よし、帰り道は気を付けて真奈」


真奈を見遅れるのは、家の近くまで。そしてゆっくり冬雅といれる。


「どうして嬉しそうなのかは友達としては不満。それよりも、あれだけサポートしたけど手を繋がらいんですね」


真奈の場合は最初から最後までクライマックスと握っていた。


「まぁ、そうだね。前はよくしていたんだけど」


隣の冬雅に一瞥すると、上目遣いで見ていて、目が合うと瞠目してそっぽを向くのだ。この反応の頻度が多い。


「じゃあね真奈」


「うん。また明日ね冬雅・・・

それとお兄さんちょっといいですか?」


真奈が、クイッと首を真奈が行く道に動かす。どうやら冬雅には離せない内容だということは分かった。冬雅もそれは、分かってスマホを取り出して待ってくれる。

俺は、真奈についていき数歩ほどで足を止めて振り返る。


「お兄さん・・・大事な話があります」


真剣な表情した真奈に、何か決定的な欠点か恐ろしいものを見つけたのか聞くのが怖くなった。


「大事な話それは」


「12月20日です」


「12月20日・・・なっ!もしかして真奈その日に引っ越しをするのか!?」


「ち、ちがいます。・・・でも悲しそうな顔をしてくれるんですね」


心配されたことに喜色満面になる真奈。目の前で喜ばれると、どうやら違うらしい。


「そりゃあ、大事な――もとい、

友達だからね」


「ふーん、まぁいいですけどね」


不機嫌そうにしぐさをしているが

高ぶった声と緩みきった頬で

隠蔽いんぺいは失敗しているが。真奈は言葉を続ける。


「その日は冬雅の誕生日なんですよ」


「冬雅の誕生日・・・」


告げられた言葉に俺は小さく呟き後ろにいる冬雅に振り向く。

話が気になっていたのかスマホではなくこちらを見ていた視線が合うと俺は真奈に戻す。

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