第137話―冬雅の誕生日―

冬至とうじが来るまで2日に迫った

12月20日。

俺はこの日にバイトをせず家に飾り物をつけていた。飾る理由は今日が

冬雅ふゆかの誕生日。

大事な人である女の子に誕生日を祝うために準備をしているが、

これが、ままならない。


「しまった!これ、クリスマスの

飾り付け」


冬が近いため飾り物がほとんどクリスマス用がばかり。冬雅に合う幻想的で美しい物にしたかったが

無我夢中に拙速ながらやってみた結果がクリスマス飾り物。


(だけど、上手く飾れているし・・・

誕生日感があるのか疑問だけど

これでいいかな)


次にプレゼントを選ぶところだけど・・・・・それが一番の難題であった。スマホで女の子が喜ぶプレゼントや女子高校生が欲しい物や

スカートの種類など

俺は何を調べているんだろうと虚しくなりながらも調べていた。


(クリスマスのメッセージカードか、本来は誕生日にするべきだろうけど冬雅が似合う色がたくさんだ。まずはこれが一つ目)


プレゼントを複数を送ることにした。そのため低コストでも価値のある想いを込められたものにする。


「次は俺らしいスキルを発揮したものを――」


PCのキーボードを素早く打ちながら準備していく。・・・よし。

終わった!後は冬雅が来るまでは豪華な料理を作らないと。部屋着の上にエプロンをつけキッチンに立つと玄関から鍵を開ける音が耳に入った。俺は誰が家に入ったのか知っている。もちろん闖入者ちんにゅうしゃではなく、その真っ逆の存在。彼女はリビングに入ると俺を見て驚いていた。


「お、お兄ちゃん!?今日は帰りが早いですね」


「まぁ、たまには執筆したくてなぁ」


それもあるけど、第一は冬雅のためなのは、伏せておく。


「へぇー、そうなんですね。

あれ?クリスマスの準備でもしていたんですか」


クリスマスツリーや様々な雪の結晶で飾られたリビングを見て楽しそうで穏やかな笑みで問う冬雅。


「誕生日おめでとう冬雅!」


窓からは夜の景色。パチパチと拍手する俺は一抹の不安を覚えた。

冬雅は口を開いて動いていないからだ。きっと、喜んでいるはずと自分に言い聞かせるが、もしガッ

カリさせた事に怖くもあった。

沈黙が続いて拍手をする手を止めて俺は冬雅の反応を待つのはやめて果敢に攻めることにした。


「冬雅こうして、誕生日を祝えることに嬉しいよ。毎日と告白をしてもすぐに諦めてくれるって思っていた」


「・・・うん」


立ち直った冬雅は、愛おしそうな笑みを向けて微笑む。その温かい笑みを見て不安は消えていった。


「少しうんざりもしたことがあったこともあった。けど、励みになって前向きになれて人生が輝いてみえるほど多くを与えられた」


「わ、わたしもそうです!

お兄ちゃんに最後まで話を聞いくれて真剣になって一緒に悩んでくれたことや、応援や心配もしてくれて嬉しいかったです!」


最初はお互い暗い感情だった。

しばらくして挨拶と軽く話す程度。それからは冬雅が悲痛に歪んだ顔を見て

なんとかしようと思って

ストレスがあるときはピタミンAとBとCを摂るといいって勧めたことがあった。


「どうして、好きになってくれたかまだ分からないままだけど

今はすごく楽しいって思っている」


「そこは俺も好きだったって言ってほしいところですけどねぇ。

お兄ちゃんその・・・わたしは、

あ、愛しているよ」


毎日と告白する冬雅は、いつも変わらずに・・・いや、前よりも恥らっている。行動でそう至った事だけど確信はできる。赤くなる冬雅は俺に一時いっときも目を逸らさずに見つめている。陰りなどない恋慕を抱いた屈託の一切ない笑みは八面玲瓏はちめんれいろうな輝き。八面玲瓏な輝きは個人的に言い換えれば太陽のような燦々さんさんと輝いていると思う。


「冬雅とは違う意味になるけど

俺も愛しているよ」


「えへへ、嬉しいよ!お兄ちゃん。わたしということで17歳になりました」


えへんと腰に手を当てて自慢げに身体を仰け反る。


「そ、そうなのか・・・じゃあ

付き合っていたら11歳も差があったことになるか」


「ムッ、違うよ。今年ですから!そこ大事です。お兄ちゃんとこれ以上を離れたくありませんから」


ほとばしる感情のまま言葉にした冬雅にドキマギとしてしまう。くっ、すごく可愛いく見えてしまうのはどうしてだ?


「ここまで熱くなったのは告白する冬雅に感化を受けてしまったかな」


「な、なるほど・・・そのわたしもお兄ちゃんに感化を受けて

優しくなれたと思います」


それは冬雅がずっと前に付属していた感情だと思う。俺がやったことなんて塵芥ちりあくたみたいなものだ。


「それは冬雅が成長した結果で俺以外の影響だと思うんだ」


「そうですよ。でもその中で一番はわたしのお兄ちゃんなんです!それをお兄ちゃんが否定なんてさせないんだから」


冬雅は俺の言葉を断固として拒否した。俺に受けた影響が一番の成長だと彼女は強く思っている。否、信じている――起きたことと既知のように冬雅は絶対な結論。


「こう卑下ひげも止めるか。それとも自然なのか」


「えへへ、本音ほんねだよ!」


「え・・・あ、あれ。俺は口に出ていた?」


「はい、そう思っていたんですね。この際だからいっぱい思ったことを言ってください。

わたし、すべて答えるので!」


「また、今度にさせてもらうよ」


こうして長い談笑もしていれば時刻があっという間に過ぎていた。午後7時って・・・速すぎないかな。


「とりあえず冬雅、手を洗って食事にしようか」


「はーい!」


満面な笑みで答えて洗面所に行っている間に食器をテーブルに移す。途中から冬雅も手伝うことになりながらもテーブルを挟み向かいに座る。


「まずは、誕生日ケーキを。

改めて言わせてもらうよ・・・冬雅17才の誕生日おめでとう」


「うん、ありがとうお兄ちゃん。大好きだよ!」


最後のセリフに動揺するから、やめてぇぇぇーー。とわ言えずポーカーフェイス。それよりも

なかなか来ない友人に気になってきた。


「真奈は?」


「真奈ならご両親と出掛けるとか棒読みの言うが早いか走って帰って行きました」


誕生日を伝えたのは真奈だから

冬雅のために気を遣ったのだろう。まったく親友に優しいゲーマーさんだ。

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