第128話そして山脇東洋は選択をしない
夕食は冬雅が作ったハヤシライス。席は右に弟の移山、左は三好さん。そして中央に座るのは俺と隣に冬雅と真奈の5人。
スペースで言えば弟や三好さんが広いのに理由は見当しているけど、俺の方へ寄り女の子を
罪悪感に陥る。
「えーと、近くありませんか?」
「ううん。お兄ちゃんの気のせいだよ」
「と、友達だから。この距離ぐらい当然だと思うよ、お兄さん」
本来の位置なら、弟の横に冬雅が座って三好さんの隣に真奈が座るべき。最初はそうだったんだけど
冬雅が椅子を持って俺の右に。
「良かったら真奈もどう?」と複雑そうにしていた真奈を誘う冬雅。真奈は迷っていたが、やはりと言うべきか左横へ移動してきた。これが今の現状である・・・
どうしよう。
「きょ、今日のハヤシライス特に美味しいよ。腕を上げたね冬雅」
「はい。お兄ちゃんに言ってもらい嬉しいです。ご褒美に頭を
眩しい笑顔で冬雅はそう要求してきた。もう俺は親しい女の子に頭を撫でることは出来るはず。
冬雅が求めているので何も迷う必要はないのだけど、何故か手が頭をなでる一歩の手前で止まってしまう。・・・緊張と恐怖があった。
聖域に踏み入れるような緊張と、
もし眉を顰めたりしないか恐怖の
2つを起きたのは冬雅をただの可愛いJKや可愛い妹的JKではなく
冬雅を―――
「お兄ちゃん?どうかしましたか」
「えっ、いや何でもない」
至近距離で
「そ、そうですか。
目を見てくれないのは、わたし的には少し悲しいんですけど」
「わぁぁー、ごめん。
深い意味はないから心配しないでほしい」
視線をすぐに戻す。今度は至近距離ではないので、なんとか話せる。
「うん。お兄ちゃんその悩み事があるのですけど聞いてくれませんか?」
「もちろん」
「えへへ、悩みと言っても大事なことじゃないよ。・・・ううん、やっぱり大事なこと」
「その大事なことって?」
「お兄ちゃん笑って」
冬雅の悩み事もとい、願い事は
俺の笑顔だった。どうして、こんな汚い大人の俺に笑ってと言ったのだろう。
「わ、笑うのは・・・無理してするものじゃないと思うよ」
「あはは、そうですね。
お兄ちゃんとわたし一緒に笑うの好きなんですけど、頼むじゃなくて自然と起きないとですよね」
微苦笑して、賢明な冬雅は俺の意図よりではなく心理的なな解釈する。俺は、ただ恥ずかしくて咄嗟に出た言葉なのだ。
「お兄さんと一緒に笑うか・・・」
真奈のつぶやきに聞こえていないと言い聞かせる俺。幸い声が小さいので聞こえていないと思うだろう。冬雅はおもむろに立ち上がる。
「よし!お兄ちゃん・・・わたしが頭をなでて上げます」
「・・・・・えっ?ふ、冬雅からか」
「は、はい。い、嫌ですか?」
泣きそうな顔で見つめられると困るのだけど断ると言葉が出ないじゃないか。もちろん首を縦にふれない。
「おぉー!兄者の頭をなでるかお嫁さん候補」
移山は楽観的な言葉。テレビを観ているようなことしないでほしい。
「お、お兄ちゃん」
冬雅は恐る恐ると右手を広げ
「無理しなくてもいいんだよ」
「お気遣いどうも。でも
したいんです。お兄ちゃんなでなでするの・・・い、行きます!」
冬雅の柔らかい掌が俺の頭の上に優しくなでる。至福の時間だった、悔しいけど。これは、
気持ちいい。思ったよりも幸福感が満ち満ちていくような居心地。
「なでなで。なでなで。なでなで」
少し長くないだろうか冬雅さん。
皆さんすごく見て恥ずかしいのだけど。それに真奈が憧憬の眼差しが少しむず痒く心に痛む。この羞恥に紛れるようにハヤシライスを食べるが余計に子供をあやす行為みたいで汗が流れ恥ずかしい。
これを
「そ、その次はワタシもお兄さんに頭を
「真奈まで!?しなくていいよ撫でられるの嫌だから」
「そ、そうだよね。ごめん困らせてしまって」
真奈が涙ぐみ明らかに無理して笑みを作ろうとしている。真奈に配慮を忘れ発言してしまった。
「ち、違うから真奈。
嬉しいのだけど照れる・・・・・非常に卑劣な方法で言うけど立場が逆なら俺が真奈になでると言ったら?」
言葉を受けたらと想像したのか真奈は顔に
「うっ、納得しました。・・・ああっぁぁーーー!!頭を
有言実行する真奈。冬雅はなでる手をやめて自分の椅子に座る。
「えへへ、お兄ちゃん良かったですね」
「・・・・・すごい返しが困るのですけど」
出来たら
「す、すごい・・・これが三角関係!?」
「リアルでラブコメだなこれ」
三好さんは口を両手で塞いでときめくような眼差しに弟は呆れと憧憬を。一種の公開処刑だなこれ。
その後はラブコメ展開がなく平和的に話が弾む。結果、夜の10時。
完全に見送らないといけない時間になり冬雅達を送ることになる。
最初は三好さんを。楽しかったですと手を振り別れ、次に真奈を送る。自宅の近くまでと頑なに言われ真奈と別れるけど少し不安。
しつこく家が見えるまで送るよと言っても首を縦に振らなかった。
「どうして真奈は、あそこまで強く断ったんだろう?」
最後に冬雅を見送ると言っても隣なので一緒に来た道を進むのが適当だろう。
「簡単ですよ、お兄ちゃん。
茜は両親がお兄ちゃんを知っているし信頼している。
真奈の両親はお兄ちゃんの事を知らない。接触しないようにしていると思います」
冬雅はテンションが高い声音で疑問を彼女の鋭い推測を言う。
「そうだね。やっぱりそうかな」
「やっぱりお兄ちゃんもそう考えていたんですか?」
「本人には聞くわけにはいかないと思って考えていたよ」
隣に歩く冬雅は驚いたよりも同じ推測に驚いていたように見える。
「そうだとしたら真奈のご両親を納得しないと付き合えませんね。あと少しでわたし達は3年生でお兄ちゃんと正式的に付き合える。ううん、真奈とでしたねぇ」
もう一年が終わろうとなるのか。
それよりも真奈と付き合う前提で話が進んでいることに不思議と疑問はなかった。もし、冬雅が俺に大好きだと告白しなければ。
「さあ、どうなるのか分からないけど恋愛よりも二人は将来を見たほうがいいと思う。
そういうことで、冬雅は進学するとして何に目指してなる?」
「そんなのもちろん―――」
「お嫁さんはなしで」
俺は先手を打つことにした。まぁはずれたなら盛大に恥ずかしいが。
「す、鋭い・・・正直に言うと考えていないんですよね。
イラストレータになってお兄ちゃんの相棒の道とか野心はあっても本当になりたいか分からなくて」
冬雅は、先の道を迷っている。
大抵の高校生はそうだよなぁ。この道を目指すと揺るぎない決心している方が少ないだろう。
十年前の俺もそうで大人になってから商法小説家を目指そうとして
多くを夢と励みになればと思って。
「それなら色々と試してみたら?俺も小説を書くときだって
そんな軽い気持ちから初めて今は強く抱いているし」
「・・・そうですね。試行錯誤して探してみます」
冬雅の夢が何でどんなものになるか俺は少し楽しみでいた。
冬雅を送り最後に彼女は大好きだよお兄ちゃんと告白して別れる。
バイバイの意味みたいに気軽に使わないで欲しい。不意討ちみたいに鼓動が高まるので。
家に帰ると弟がゲームをしていた。PS4コントローラーを素早く操作する。テレビ画面にアサシンが急降下して武器で仕留める。
うん、アサシンクリード好きだよねぇ君。
「おかえり、おかえり!」
「ただいま、ただいま!」
何故か2回も言うのは、よくある独特すぎるコミニケーション。
さて小説でも書こう。PCと
「兄者は、どうするんだ?」
「どうするって?」
「冬雅と真奈だよ。二人を選ぶような気持ち悪いクズじゃないし」
「何かあったのか思うような罵詈雑言だね。最初から変わらないよ冷めてもらう。また諦めさせる」
関係や想いは俺も二人が変化してもたどり着く答えはもう決めている。付き合わず一緒に遊んだ楽しい思い出を持って終わらせる。
・・・楽しいって思う事が心境の変化していたなぁ。そして冬雅を
好きだいう俺は仮に想ってようが
年の差の壁がある。この時代で結婚は古いかもしれない。その内にAIと結婚する未来があるかもしれない。リアルで恋をするには
難しく思いいずれ廃れると俺の持論。
「ふーん、でも二人は諦めていないのに
「だろうね。だからこそ俺はこれからも最善な解決を模索していく。成長して視野を広めていけば思春期によくある勘違いな恋慕だって気づいてくれる」
「フッ、ハハハ。それはないだろ兄者。あの二人は真剣だよ!
苦しんでいるし喜んでいられるんだよ。だから、真剣になれよ兄者も」
「・・・理屈じゃない自分に少しは対話でもしてみるよ」
別の視点で考えるのもいいだろう。正しい選択肢はないと思っても正しいに近い選択を
しかし過激なシーンはあっても
正義感が強い主人公と己の正義を信じて悪も正義もない道を行く敵を倒す。まぁ、シリーズによって心情や目的も違うがそれぞれの正義を貫く姿はカッコイイ。
海外の映画をゲームにしたようなアクションゲーム。
主人公は先祖の過去を
レオナルド・ダ・ヴィンチがいる時代とかに。
「そう言えばシリーズが多いけどリメイク版の昔のシリーズもやって面白い?」
「ハッ!兄者は何も分かっていない。濃密な世界観になんどやる度に新しい発見はある。
例えば兄者がよく言う
「なるほど、ってそんな例えしなくてもゲームの2周目で新しい発見で伝わるから!」
器用に話をしながらプレイする移山。俺には出来ないなぁそれ。
それに年齢とか人生経験とかで
読む内容とか理解できるこれ!って共感など色々とある。
「ここで、イーグルダイブ!
兄者は冬雅や真奈が好きじゃないと」
「・・・ど、どうだろう」
返答に困るし俺もよくわからない。
「最初の目的とか変に
「ああ、分かっている」
優柔不断で最終目的もあっても方法が分からずに迷ってすぐに決めないといけない状況が多々ある。
現在進行形でそのいずれ訪れる二人が大人になるまでに最終目的が
変わることを検討しながら
小説を書いていく。
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