第129話エミリーの出会い

塾の疲れもあるのに真奈が書店まで来てもらい早々と着替えを済ませて一緒に帰路に就く。

日常となっていた。師走しわすの外の寒々で早く帰りたくなる。寒いと呟きながらお互い手袋をして手を繋ぐ。不思議なのが体温を感じないはずなのに心には温もりでいっぱい。


「真奈そろそろ受験が近いんだし、書店まで迎えに行かなくてもいいんだよ。明日から速く帰るから」


「分かりました。でも、塾とか無い日は速く行きます」


「いや、次から迎えに行かなくいいんだよ真奈」


真奈は、目線を横から前へ向ける。


「・・・こうして二人だけの時間って、なかなかないですし」


思い掛けない奇襲の言葉に心拍数を上がるのを感じた。本人は友達と関係を明々白々としているのに・・・こうして告白ではないけど仄か熱い恋心を伝えてくる。


「・・・私は別にいいけど真奈が余裕があれば。一緒に帰宅するなら昼食時にラインで知らせてくれ」


「うん。分かった!友達の約束だねぇお兄さん」


「ああ。・・・うん、これはそうなのか?」


真奈は、赤い頬のまま屈託のない笑顔を見ると、もういいかと考察を放棄する。


「お兄さん、今日のワタシ変わりましたけど分かりますか?」


「今回はポニテからストレートにしたんだよね。すぐに分かるよ。

別種の可愛さになるんだね髪型を変えると・・・ちょっと落ち着かない気持ちになるし」


清楚の印象が強くなっていて、ドレスを着たらお姫様と言われても信じれる自信はある。

見慣れている冬バージョン制服も

新鮮に思える。


「・・・・・そ、そうですか・・・ふーん、お兄さんストレートが好きなんですよね」


「否定はしないけど。スーパーに寄っていいかな、冬雅の明日に使う食材を買わないと」


「ふふ、すっかり冬雅のパートナーみたい」


くすくすと笑えるようになった真奈。冬雅と関係を話せば暗くなりがちだったが進歩したのだろうか。近くのスーパーに足を入れるとサラリーマンやOLなど多い。

なのでJKといる俺は淫行だと疑い蔑視される。うわぁー、もうこればかり。


「お兄さんこれもお願い」


手に持つカゴにイチゴ味のポッキーを入れる真奈。あなたは家に帰ればお菓子はあるのではと思うが言わない。なんとなく恥ずかしい言葉で返される気がして。


「いいけど、夜で食べると太るぞー」


すると真奈は自分の頬をプニプニと押して確認する。弾力がありそう。


「デリカシー!お兄さん少し気にしているんてすから」


「でも冬はダイエットにいい季節といいよ。それよりも真奈は太っていないと思うけど」


「そ、そうですか・・・・・あれ?

先、言っていること矛盾しません?」


食べ過ぎると太るよっと言っただけで、太っているなんて言っていない。長い髪を降ろしたせいかすごく可愛くて見える。首を傾げて説明を求める姿を。


「おぉー、そこにいるは年の差カップル婚約者!」


このハイテンションで、危ないワードを我関われかんせずな人は、後ろへ向くと――


(やっぱりか)


大国おおくにエミリーさん。金髪ショートボブと碧眼の

あどけない少女と色気の大人の間を併せ持つ女性だ。黙っていれば

モテるだろう類に入る。

これを口にすれば、なんだと!っと軽いからかいを受けるだろう。

それはおいといて、カゴに惣菜そうざいとかお酒など入っていて見事な暴飲暴食。


「あっ、大国さん。こんばんは」


真奈は丁寧に頭を下げて挨拶する。いつもと違う真奈に大国さんは瞠目していた。ですよね、楚々そそとした美少女ですから。


「こ、こんばんは・・・すごく、かわいいね真奈ちゃん。私のことはエミリーで良いよ」


「はい、エミリーさんは買い物ですか?」


あれ?世間話する流れだぞこれは!?冬雅が待っているので勘弁してほしいのに。


「だはは、そうだよ。真奈ちゃんは彼氏とデートかな」


「か、彼氏!?」


「んっ?まだ慣れていない感じ?」


いや・・・確かに大国さんの前では婚約者と説明したが、こうして窮地に追い込まれるとは。

ここは、強引に突破しよう。


「そうです。お兄さんとこれから家に行って遊びに行くのです」


(真奈!?な、何を言っているんだぁぁぁーー)


腕をギュッと抱きついて、イチャイチャしていますよとアピールをする。胸が当たっているなど俺の頭は混乱していく。


「へぇー、って家に行くの!?

さ、さすがに速くないか山脇」


一応、良識というものはあった大国さん。それは当然の判断力として暴走状態の真奈がとんでもない発言される前に言わないといけない。


「家族もいますので、変な事はありませんよ大国さん」


「大国じゃなくて、エミリーと呼ぶように、お兄さん」


ニコッと呼び方を指摘する。そんなに気にするのでしょうか?


「それじゃあ、遅くなるのでエミリーさんこれで」


「おう、また明日も会おうぜぇ」


男らしいセリフを言うエミリーさんは手を振る。


「それじゃあエミリーさん」


「じゃあねぇ真奈ちゃん」


真奈は、控えめに手を振ると可愛いと思ってしまう。いや、いや俺が好きなのは冬雅で・・・いや、いや、いやそれも違う!

煩悩ぼんのうを振り払いレジに会計を終わらせ店を後にする。家が近づくにつれ通り過ぎるサラリーマンは俺達を見て目を見開く。主に真奈に対して・・・次に目線を俺に向けると、またか!とか反応して通り過ぎる。

あの、淫行常習犯みたいに見ないでぇぇ!!


「お兄さん。エミリーさんに冬雅と出会ったらどうするんですか?さすがにもう一人の婚約者なんて通じませんよ」


「・・・・・だよね。こんな提案したくないけど実の妹とか」


冬雅と一緒にいるとエミリーさんと、ばったり出会う気がする。その予感には真奈も同じ考えにあった。すぐに思い浮かべた解決案を言う。


「ちょっと苦しいですけど、

お兄ちゃんと甘えてくる冬雅を見たら納得するでしょうねぇ」


「そうだろう。我ながら自信はあったんだ」


「それで、お兄さんが冬雅と恋人になるのに都合が悪いですけどね。結婚もするわけですし」


まるで、避けられない確定された未来のように言う真奈。


「い、いやそれは無いかもしれないよ」


「いえ、そうなりますよ。

冬雅もう通い妻みたいになってあるし」


「通い妻って」


なんというか、ピンとこない。

どちらかと言えば別々に住む妹とか・・・この発想する時点でシスコンすぎるぞ俺。


「今すぐに決めれない事ですけど。ともかくお兄さんは冬雅を幸せにするように」


ビシッと人差し指を突きつけられ

少し迫力がある真奈に頷いて応える。いや、それ駄目だろう自他共にシスコン!


「でも、真奈も幸せにするから」


抵抗と真奈を入っていないその勝手に決められた計画に壊しにいく。


「うっ、お兄さんは・・・まだ」


「まだ?」


「な、何でもない!ほら急いで」


「わぁ、わぁ!?」


真奈に手を引かれついていく俺。

真奈の表情は後ろ姿で見えないが耳が赤かくなっているのは見えた。

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