第127話冬雅と真奈を前のように一人のJKでは見れなくなった
「お兄さん早く!」
「あ、ああ」
勝手に婚約者と呼ばれた事による羞恥に湧き立つ感情は落ち着き始めたことは、よかったのだけど
テンションが高い。
「ふふ、お兄さん良かったら走りませんか?なんだか無性に走りたいんです」
「えっ、走ると!?」
「手を繋いだまま走ると怪我をしますので、せーので走ることでいいですよね。それじゃあ行きます・・・せーので!」
突然の合図で走ることへとなった。理由を訪ねようにも遮れない性分もあって言葉を最後まで待つと合図が口に出たので走らなければ真奈が怪我をしてしまう。
「その前に手を離して走ったほうがよくないかな真奈。危ないから」
生活道路に走るのは危険と忠告に真奈は視線を横へ俺に向ける。
「・・・ワタシが落ち込んでいる間に冬雅と一緒とイチャイチャしていたでしょう。お兄さんは?」
「そ、そうだけど・・・はっ!
いや、していない!イチャイチャなんてしていないから」
自分の出た言葉に驚いた。
イチャイチャしていたと肯定的な言葉を出てしまったことに。
「安心してよ。もう告白とか付き合ってとか言わないから。
好きなのは変わらないけど・・・諦めた。これからは友達ことで」
「そうか・・・」
真奈は成長していた。好きな気持ちと仲間か友達と呼べばいいか分からないけど、本当に別々でいれるほど人間は器用じゃないし、
天才的な真奈でも。
その絶対的で正しい答えは俺の中では無かった。引き戻した選択は間違っていないか。
「お兄さん間違っていないかって思っていませんか!」
「はっ!?い、いや・・・はい。
こういうの
「違うから!」
走っていた足を止める真奈。俺も急いで足を止める。真奈を超えて少し
「とっと、ごめん真奈」
「いえいいです。それよりもお兄さんは自分が決めたと言っているけどワタシが選んで決めたことなんだから。勝手に後悔とか忸怩にならないでよ。
お兄さんは冬雅が好きだってワタシ知っています」
「それは・・・・・違うよ」
強い否定が出来ず、中途半端な言葉をする。背後から足音、三好さんが走って立ち止まり俺達を静かに見守る。
「ほら・・・ハァ。行きましょうお兄さん。ハァ、ハァ・・・走って疲・・・れた」
「はっはは、真奈らしいよ」
「ハァ、ハァ・・・それバカにしていませんかお兄さん」
「まさか、嬉しいんだよ。
見ていて」
無邪気に笑う真奈なんて、なかなか見れないし愛おしいのだ。
本人は恥ずかしくて言えないし真奈も困るだろうし。
「ふーん、そうなの」
褒められているか愚弄されているかそんな眼差し。つまり疑われているねこれは。
「ふふ、本当にお二人は素敵ですね」
「す、素敵ですか?」
背後から、くすくすと上品に笑う三好さんに見られたことに急に恥ずかしくなった。な、なんだか
イチャイチャしていたのを見られた気持ちだ。いや、経験はないから想像上だけど。
「はい、真奈さんがここまで男の人に甘えるなんて冬雅のお兄さんだけですから」
そうなのか。親友である三好さんが言うならそうなのだろう。
薄々と俺にだけ向けられている
好意なのかなって。
「あ・か・ね。どうしてそんなこと言うのよ。ぜんぜん違うから。心機一転してお兄さんとは友達なんだから」
「はい、そう言うにしておきます」
ニコッと答える三好さん。これ素直じゃない相手に微笑ましい反応。
「分かっていない・・・ほ、本当にそうしようとしているの!
ほら行こう、時間が無くなる」
「ああ、そうだね」
「ですね」
そうだった。冬雅か家で待っているんだ。本人は待っていないように装うが絶対に待っていると確信がある。
「真奈、その勝手に婚約者とか言ったことだけど・・・迷惑を掛けてしまいごめん」
「・・・う、ううん。謝らなくてもいいのに。お兄さんを迷惑を掛けたなら、いつも告白して泣くワタシの方ですよ」
真奈は俺を見上げて哀切な表情で優しく否定し悪いのは自分と言う。そうだとしても数倍があるのは俺の方だ。大人として
「そんなことない。いつも告白なら冬雅の方だよ。伝えれたらいいけど・・・真奈がいないと駄目なんだ。いてほしい、一緒に笑って、ゲームで一喜一憂もこの先も続けたい。だから真奈が、俺を飽きるまで遊んでほしい」
あれ最後なんか違うなぁ。
うーん居て欲しいと言えば呪いの言葉で避けようとしたから?
「それだとワタシすごく悪女なんですけど」
「ご、ごめん」
最近はそれなりに話せるようになった俺だけど、まだまだコミュ症であるらしい。この先もずっとそうで真奈をスッキリさせる
適切で巧みな言葉を言えないだろう。
「そ、その婚約者は嘘でも嬉しかったです」
「はい」
そっぽを向き足音よりも小さいボソッとした声に無視するのもよくないと思いシンプルな言葉で返す。その後はお互い手を繋ぐだけで三好さんが気を遣い質問して俺と真奈は返答をしていると家に到着した。待つ冬雅を思い少し早めに歩き鍵を取り出してガチャと回してからドアノブを手にして開く。
「ただいま冬雅」
走り音。リビングのドアが開く。
「おかえりなさいお兄ちゃん。
その・・・・・」
「うん?」
玄関マット上でもじもじする冬雅。
「な、何でもないよ。今日はお兄ちゃんのおと―――」
「よっ、
リビングから廊下をゆっくりと歩くは弟の
「あ、兄者・・・また女子高生を新しく
「「「??」」」
三人のJKさんは首を傾げ移山の言葉を分からずにいるが、俺も少しまではそう。刹那の閃きで理解。
「違うから。こちらは三好さんで真奈の親友」
「はい。初めまして三好茜と言います。冬雅さんと真奈さんの友達で恋を応援をしています」
「これはご丁寧にどうも。
俺の名は山脇移山。お嫁さん候補じゃないことで?」
「お、お嫁さん候補ですか?」
「「わあぁぁーーー!!」」
甲高い声をハモるは、冬雅と真奈。二人は顔を赤らめて話を強引に中断させようとする。冬雅がそうするのは珍しい。ここは俺も協力せねば。
「それよりも冬雅。移山に何かされなかったか?」
「ううん。弟さんずっとゲームやアニメを観ていたので」
「冗談で言ったことだけど、
おもてなしとか出来ないのか」
「仕事で疲れていたんだよ。だからセーフ!」
その言い訳がセーフでは無いのだが、あえて突っ込まないでおこう。長くなりそうだし。
「あの、弟さんって?」
「「「「っ――!?」」」」
三好さんの至極当然の疑問の問いに俺達は軽くどうしようと緊張が走った。移山(25)は大人、冬雅(17才たぶん)は離れているし兄と妹なのにおかしい。実際に兄妹ではないし三好さんは兄妹と思っている。かなり苦しいが―――
「それは複雑な家庭と兄のくせにだらしない事で弟さんと呼んでいるんだよ。ほ、ほら弟なのにさんづけなのはお兄さんのさんが名残りなんだ」
我ながら頭の痛くなる嘘。こうして嘘が次々と重ねていき矛盾で一気に崩壊しそうだなぁ。
「なるほど、納得しました。
言動からして距離感も雰囲気もそう語っているように思えます」
俺の稚拙、極まりない説明に納得してくれた模様。
「兄者・・・ペテン師だ」
いや違うから。引いているようで引いていない移山。
なんだか一気に疲れてきたなぁ。
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