第123話冬雅とタピオカ

翌朝、毛布から離れたくないと覚醒めたばかりにある現象で動けずにいたが今日は冬雅のデートと

思い出し起き上がる。


「あっ、お兄ちゃん。ハイタイ!」


・・・これ、どの国の挨拶だろうか。隣に家のベランダから挨拶する冬雅に俺も窓を開けベランダに

出る。


「冬雅ハイタイ」


「えへへ、お兄ちゃん残念でした。

沖縄の挨拶は男性がハイサイ。

女性がハイタイなんですよ」


「なっ――!?」


まさか、冬雅が俺をはかったのか・・・いや絶対にないね。

純粋に新鮮味を求めてだろう。


「それでは急になりましたが

告白しますね・・・・・大好きさぁー」


「なるほど、大好きを沖縄方言にしてみたと」


「あはは、そうなんだけど。そう冷静に分析されると恥ずかしいです」


照れ笑いを浮かべる冬雅。外はまだ日が昇ったばかりなのか薄明を迎えた独特の白みがかった景色。

こうしてベランダで前に隣のベランダで立つとアニメのシーンよりに見える。でも大抵は同い年が

定番なんだけどね。


「よし。私はゆっくりニュースを見ているから冬雅はゆっくり来てくれ」


「あっ、はい。そのお兄ちゃん」


「なんだい冬雅」


「・・・お兄ちゃん!でーじ好き、

カ、カナサンドー!」


言葉を発すると急激に頬が赤く染まっていき冬雅はベランダから部屋に戻りドアを開け出ていく。

どうして、あんな反応したのだろうか不思議に思いスマホを手にして検索してみる。どの言葉かわからず沖縄弁や告白など調べて。


「・・・な、なるほど」


訳するとこうなる。とっても好き、愛しています。と意味になる。沖縄にも住んでいたのだろうか。部屋を出て一階に降り居間へ入りソファーに座る。

ラインのメッセージから朝食は喫茶店とあった。

放心になったようにニュースをボッーと見る。どれほど時間が経ったか来客を報せる音が鳴る。

玄関に進み開ける。


「お待たせしました。お兄ちゃん」


冬雅の格好はオレンジ色のダウンジャケットと白のフリルが多めのロングスカートだった。

シンプルなのに美しい花の印象だった。それにストレートヘアーからポニーテールしている。


「髪を変えたんだね」


「は、はい・・・いつもはストレートですけど。か、かわいいですか?」


「そうだね。いつもと違うとなんて言うべきか斬新だよ。見ていて面白い」


「えへへ、かわいいって言って欲しかったですがこれはこれで嬉しいです」


あふれんばかりの笑顔を見て

こんな拙い褒め言葉にここまで満足できるなんて恋慕と言うのは

盲信的にさせるかもしれないと

少し的はずれな考える。


(俺は冬雅が好きなのかよく分からない。一度その確認もハッキリしたと思っている・・・・・ちょうどいい機会だって思っているけど

笑顔を見ていると、こんな思いが邪念のように思えてならない)


冬雅が言ったデートに俺はほのかなこの想いをハッキリさせたいのを汚い。真っ直ぐな冬雅に相応しくないと責めたくなる。いや、もう責めているか。


「それじゃあお兄ちゃん。

早く行きましょうデート」


「ああ、分かった。私も準備は終わっているから行こう」


確か時刻は8時。プリキュアをリアルタイムで観たかったが別の日にしよう。録画しているからね。

・・・・・少し観たかったが。仕方ない、仕方ないないんだ。


「いい天気ですねお兄ちゃん」


「そうだ・・・えーと、そうかな?」


晴れているというよりもくもっている。降水確率は約20%とテレビdボタンで確認した。

外に出て隣に歩きながら、すれ違う人は必ず振り返って冬雅の美貌に夢中となる。そして俺に向けるは不審な目。少しは隠そうよ。


「こうして二人で歩くの久しぶりですよね」


「いや真奈の送った後よく一緒になっているし昨日も家で話して

会ってないほうが珍しいと思うけど?」


「うぅー、そうじゃなくて!

お兄ちゃんとデートで二人ですよ」


意図が分からず頬を膨らませ不満だと目で訴えてくる。それにしても寒い。手がかじかむほど寒い。


「そう言えば真奈とよく三人で出かけるからね。・・・言って気付いたけど、かなり私ってロクでもない人に思えてきた」


片想いの二人に、同時にデートするという駄目な大人。

もしかするとふしだらな関係にある淫行よりもたちが悪いかもしれない。手が悴むほど寒いなのか人も少ない。


「あはは、わたしがそうなるように画策していましたからね。

だから悪いのはわたしなんですよ」


冬雅は少し困ったときに浮かべる拙い笑み。無理して明るく振る舞おうとして失敗する笑顔の。


「それは否定させてもらうよ。

心のそこで私は・・・俺は醜い欲望を持っていたのかもしれない」


「それだけは絶対に違うよ。

お兄ちゃんはわたしや真奈の事を真摯に考えている。だから

仕方ないなぁってお兄ちゃんは優しいさに甘えただけだから」


「それでも俺はそう思えないんだ」


もう少し二人に告白にしっかりとした返事が出来ずにいて、今のように二人を惑わせるような依存的な関係にあるように思えてならない。それにしても今日は本当に寒い。寒さをゆっくり慣れるまで猶予ゆうよがない突然の寒風。恋愛も猶予がない。


「お兄ちゃんこの話はここまで。わたし悪い方向によく考えるけどお兄ちゃんも似ています」


冬雅は、右の人差し指を俺に向けてネガティブな思考が似ていると指摘する。最近、否定や小言も増えているなぁと苦笑してしまう。


「似ているか。人間だから悪い方へ考えてしまうのは当然だと思うけど」


返事がずれているなぁ、これは。

伝えたいのは考えすきだから似ているのは錯覚だよだった。

冬雅といると、どんどん自分が

分からなくなってくる。


「そうですね。でもお兄ちゃんとわたしのネガティブは種類が違います。わたしはドキドキさせたかなとか嫌われたとかです」


「それなら十分ドキドキしているよ」


「・・・・・」


街を眺めて前を歩いて俺は隣に足音が聞こえなくなり向けると案の定いなく、後ろに向くと冬雅が

足を止まって俺を見つめていた。

な、なにか変なことを言ったかな?


「冬雅どうしたんだい急に足を止めて?」


「はっ!?い、いえその・・・・・」


白皙はくせきの頬にあわい赤色が染めていき、視線は彷徨さまよっているように忙しく動いている。この慌てぶり久しぶりに見た本気よりも

慌てる反応。


「落ちついて冬雅。深呼吸」


あまり効果が期待できないと思うけど困ったら深呼吸。勧めてみて

冬雅はコクッと頷く。


「スゥー、ハァー・・・

スゥー、ハァー。あ、ありがとうお兄ちゃん。その暗くなる考えでお兄ちゃんが速く否定したから

で・・・こ、これ以上は言えません」


否定した。一体なにをさしてのことだろうと考えていたが、なるほどネガティブになるあたりで

俺が否定したあれか。


「えーと、ネガティブの種類が違うのを続きは何かな?」


「そ、そうですねぇ。少し待ってください」


冬雅は走って左の隣に立つ。


「それじゃあ歩きながらで」


冬雅の言葉に従い移動再開する。

そして、先の言葉の続きをするようだ。


「わたしのネガティブになるのは・・・・・つまりそう言うことでして・・・」


先の言葉か思い出したのか顔をわずかに赤らめ早々と進めていく。


「お兄ちゃんのネガティブは

憶測ですけどわたしや真奈の

強く心配しているからです」


「それは違うと思うけど」


「そ、そうですか・・・・・」


それからは別の話題になり、

楽しく笑い合う。さきの憶測は

違うと言ったけど、納得している自分がいた。


「お兄ちゃん。それで俺ガイルの好きなキャラいますか?」


やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。略称俺ガイル。

最終巻やアニメの俺ガイル完の放送が2020年の春と決まった。

冬雅と好きなシーンや最終巻の面白かったなど話をしていたら自然と好きなキャラを訊かれた。


「そうだな雪ノ下雪乃ゆきのしたゆきのかな?」


「なるほど、お兄ちゃんの理想な女の子は・・・儚くも上から目線の女の子と」


ダウンジャケットのポケットからメモにスラスラとペンを書く。

や、やめて!それ好みの女性になっていませんか冬雅さん!?

心の中でツッコミながら止めずにやめてくれないかなぁと念じる。冬雅は書き終えるとポケットにしまい俺に視線を戻す。


山脇やまわきくん。

そのひねくれた考えどうかと思うわ」


高い声を少し下げて落ち着いた声調で言う。静かなイメージは上手いけどなんだか似ていない。

それよりも俺の名字をくんと

呼ぶのですね冬雅くん。


「やっぱりいつもの冬雅でお願いするよ。なんだか寂しく思う」


「そ、そうですか・・・お兄ちゃん今日は積極的にアタックしますよね」


「それだと普段はしていふように聞こえるけど」


冬雅にドキッとさせないよう気をつけていたけど、失敗した。

恋愛的なら正解だろうけど。そんな反省を心にして、少し歩き冬雅があるお店を指をさす。


「お兄ちゃんここです。

わたしがよく入る喫茶店」


「へぇー冬雅の行きつけか」


住宅街にある数少ない喫茶店。

外からは、昔ながらの良さは出ていて嫌いではない。


「えへへ、お兄ちゃんさっそく

入りましょう」


腕を引かれ来店。


「いらっしゃいませ」


初老の男性が明るく歓迎する。

いやぁ、思ったよりも警戒されないんだね。淫行とか思われそうなのに。それは別にいいとして。


冬雅は窓際に席に座る。バイトらしき大学生の男性が注文を取りにきた。なにをしようと悩んでいると冬雅はサンドイッチとタピオカミルクティーを頼む・・・・・俺の分も。大学生バイトはかしこまりましたと返事して立ち去る。


さり際、俺に不審者な眼差しを向けていたが。まぁ、美少女といたら仕方ないか。


「勝手に頼みましたけど、

良かったですか?」


「ああ、構わないよ。

冬雅が選ぶんだからオススメなはずだと思う」


「うん!このお店、タピオカミルクティーが美味しんだよ」


はじける笑顔は店内のアンティークに輝く花が咲くような明るさ。


「タピオカか。飲んだことないけど美味しいのかな?」


「お、お兄ちゃん飲んだことないのですか!?」


しまった。冬雅が驚いているけど引いてしまったか。


「お兄ちゃんのデートに初のタピオカですか。ちょっとドキドキしますね」


「そ、そうか?」


よく分からないが冬雅は嬉しそうだった。タピオカミルクティーとサンドイッチが席に並べる。

そして手を合わせる。


「「いただきます」」


声は一緒にずれなく発せる。そして恥ずかしい言葉を言ってしまったことに今になり恥ずかしいくなる。それは冬雅も同じく。

つい向かいにいる冬雅がいると

言ってしまう。


「どうぞ、召し上がってください」


店長らしき初老の男性は微笑み

そう答えた。ほ、本当に恥ずかしい。お客さんの二人も微笑みしそうにみてくるし。

バイトの大学生さんもさわやかに微笑を浮かべる。


「あ、あはは、お兄ちゃん。

いただきましょうか」


「そ、そうだな」


まずはタピオカミルクティーを

飲んでみよう。好奇心がどんな味か確かめたいとささやいているので。うーん美味しい。


「お兄ちゃんどうでしたか?」


「ああ、美味しいよ。

冬雅が勝手に注文するだけはある」


「えへへ、それは良かったです」


こうして、満面な笑みを向けられると幸せはこうなのかなと考える。もし、同い年だったら年の差とか淫行とか悩まなくて済むのに。


「お、お兄ちゃん・・・そう見つめられると、は、恥ずかしいです」


「わるい、ごめん、見ないから」


「い、いえ。その・・・嬉しいですけど、ほどほどで。まだ

慣れていませんので」


告白をする冬雅に珍しい反応。

いや、意中の人に見つめられるのは鼓動が高ぶるのは当然で恥ずかしくなるのは当たり前か。

サンドイッチは水水しいレタスとトマト。それにハムも美味で美味しかった。


「お兄ちゃん写真を撮ってもいいですか?」


冬雅はスマホを手に恥じらいながらも言う。あっ、インスタで

リア充のようなあれか!と我ながら詳しくない発想が出た。


「ああ、いいけど他の人にあまり見られたくないかな?」


「えっ?・・・・・あー、心配しなくても大丈夫ですよ。

真奈や茜に見せるだけです」


伝えてよかったけど、やはりJK。

懸念とすることがインスタで何を不安なのか理解するとは。

いや理解力が高いのは冬雅だからだろう。


「お兄ちゃんそれじゃあ撮りますねぇ」


写真を撮るとなると必然、顔を近づかないといけない。向かいから立ち上がり隣に座り近づく。

冬雅の顔が近い。近すぎる!


「これぐらいでよくないかな?」


「い、いえ。もう少し近づきますお兄ちゃん・・・」


お互いの肩が当たっているだけなのに心拍数が上がるのを感じる。

写真を無事に取り終えると、冬雅はいつものように顔を向くが今までにない至近距離。吐息が聞こえる距離だった。


「お、お兄ちゃん」


熱い視線へとなる冬雅。これは

いい雰囲気ふんいきと言うやつだ。俺は冬雅の席から少し離れる。


「そ、そろそろ食事の続きをどうかな?」


「で、ですね・・・・・」


店を出る頃には、初々しいカップルを晒しだした俺達に店長は

若いはいいのぉと言わんばかり

あの、大人とJKなのですが?

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