第122話この気持ちに名前も答えも知らない

思いのほか、少し遅くなった。外は街灯がないと見えない暗闇。暗夜あんやの風を受けながら帰路に就く。

カードゲームや真奈に再会したら何を掛けるか思考を巡らしていたらもう家の前だ。


「あっ!まさか――」


玄関ドアに明かりがついている。

急いで開けると、リビングから足音が聞こえドアを開けると

トップスは白のフリル多めのセーター。青の方ロングスカートに長いソックス。そしてオレンジ色のエプロン姿をしている。


「おかえりなさい。お兄ちゃん」


「た、ただいま・・・でいいのかな?私の家だけど」


「細かいですよ、お兄ちゃん。

ほら早く上がって手洗いに行ってください」


「わかった」


促されるまま洗面所で手洗いを・・・これ年上に対して使う言葉じゃない気がするけど今更。

居間に足を入れると台所でコンロに火をつける冬雅。


「待ってください。すぐに

出来ますので」


「そ、そうなのか」


テーブルの椅子に座り、とりあえずテレビをつけニュースを見ようとつける。ふーん、国際ニュースが多い気がする。韓国政府はアメリカの圧力とメディアに説得すると言ったこともありGSOMIAジーソミア破棄を中断となったようだ。


「お兄ちゃん確か、延長したんですよね」


皿の上にハンバーグと横にブロッコリーを俺の前に音を立てずに置く。


「そうらしいね」


また、軍事情報包括ほうかつ保護協定。

締結したのは最近の2016年で

日本のメリットは北朝鮮のミサイルなどの情報を速く知れること。

日韓はアメリカシステムで使い介して日米韓と情報を軍事情報を知ることができる。


「お兄ちゃん。食べませんか?」


最後に箸を渡され受け取る。

冬雅は向かいに座り手を合わせる。


「「いただきます」」


ご飯と味噌汁とハンバーグ。

シンプルながら食欲がそそる。

まず、味噌汁を啜る。


「ど、どうですか?」


緊張の面差しで尋ねる冬雅。


「うん、美味しいよ」


「えへへ、そうですか」


言葉は短くとも嬉しそうな満面な笑みを浮かべていた。

俺が帰るまで、料理して待っていたのだろうか?そうだったなら

帰りにカードショップに寄った身からして罪悪感がある。

なにか返すことないだろうか。


「冬雅その・・・明日は土曜だから、もし良かったら冬雅が好きなこと付き合うよ」


「え?わたしが行きたい所に付き合うことですか?」


「ああ。もちろん家の中で掃除とかアニメとか手伝うよ」


「お兄ちゃん。アニメを観るのは手伝いじゃないよ。

もしかして、わたしと観るの

作業的に思っていたのですか」


からかうような笑み。されど眉には不安を与えてしまった。


「違う。言い間違いした。

冬雅と一緒に観るのって言葉に出来ないほど楽しいんだ」


「それなら、わたしもそうですよ。た、たぶん・・・わたしの方は

大好きなお兄ちゃんがいるからでお兄ちゃんは、きっと違いますけど」


楽しいと伝えれば少し明るくなると俺は思ったが言葉で伝えれない部分もあってそう思うと寂しい気持ちと言葉を詰んでいく。

でも、だけど稚拙ちせつだろうが伝える。


「冬雅。本当に冬雅と居て嬉しいんだ。正直、ただいまを言ってくれて幸せな気持ちになったよ」


「・・・・・そ、そうなんですか」


「そう」


「な、なんだか恥ずかしいよ」


目を逸らす冬雅・・・えっ?照れているのか。いつも告白する冬雅には珍しいく早い照れだ。

嬉しい気持ちあるが羞恥の葛藤していると頭で理解するとこちらまで感染したように恥ずかしくなる。


「お、お兄ちゃん・・・えーと

明日のことですけど」


「コホン。明日がなにかな?」


咳払いしたのは自分の気持ちに

誤魔化すように向けての行動。

少し和らぎ何もなかったように正面と顔を向ける。冬雅はもじもじしながら言葉を紡ごうとする。


「あー、そのですね。その

誘いってデートですよねぇ。

お兄ちゃんから誘われたの嬉しいです。あ、明日はわたしがお兄ちゃんの家に行ってもいいですか?現地で会うよりいつもと変わらずに挨拶して・・・・・」


言葉を一旦、止め深呼吸する。


「スゥー、ハァー・・・。

いつもと違う気持ちで外に出て

お兄ちゃんとデートがしたいです」


指を祈るようにして上目遣いでお願いをされる。誘った意味は本当は無かったけど、ここで指摘する気持ちはないけど。どうしよう。


「誘いはしていないけど、

それが冬雅の望みなら、いいよ」


笑顔を作って行くと返事する。

冬雅は赤い頬のまま顔を上がり

眩しい笑顔をした。

ドキッとしたその笑顔に作った笑顔ではなく本当に笑顔になるのを

気づく。好きという気持ちは

少しだけ分かった気がした。

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