第110話フィールド・トリップ其の玖

たまたま遭遇した岡山くん達と

わたし達の四人は共に回ることになったわけで、案の定というのか

わたしも含め真奈や茜に頻繁に

声を掛けてきます。


天然ツンデレを地で行くヒロインこと真奈は、優しく答える。

して、わたしや茜は下心とも言わなくても近い感情をなんとなく

知って、少し壁を作るような会話をする。その結果―――


「そんでさぁ、なんか?新しいゲームがあってさぁ。よかったら今度、見に行かねぇ?」


明るく言うのは、翔くん。

名前はまだ知らない。


「そうなの。どんな作品?

ジャンルは?」


っと、これぐらいで食いつきになる真奈が少し心配になります。


「え?・・・えーと、なんか

ガンダムが多く出てくるやつ」


翔くんは、困惑しながらも

男女とも見える爽やかな笑みで

返事するが、真奈は嘆息する。


「ハァー。エクバ2なら

もう結構、前に稼働しているから新しくはないよ」


「へ?そうなの知らなかった」


「ほら、普段はゲーセンに行かないクセに知ったかぶりするから痛い目に見てヤバい!」


翔くんをややバカにした言葉をするのは友のノブくん。


「うるせぇやい!」


「ふりぃ、古いからノブ」


気が置けない仲だとすぐに分かる。男の子らしい友情で、わたしは前を眺めながら思う。


(お兄ちゃんにも親しい友人って

いるのかな。

・・・わたしって、お兄ちゃんの交友関係は知らないし。

まだ、その話せる段階とかじゃないかな)


時期早々と考え、ならいつになれば過去を語ってもらい知る機会はあるのか。絶え間なく悩みは尽きることなく頭に留まり答えの出ない悩みで藻掻もがけば

解決できるか・・・・・。


「冬雅さん。また、暗い顔をしてますけど」


並行で歩いている茜が心配そうに

見つめていた。


「う、ううん。元気だよ」


「・・・あまり無理しないで くださいね」


顔には、よく表れる方だけど

取り繕うのは得意だと自負しているけど茜には通じなかった。


「冬雅」


背後から岡山くんがわたしを呼ばれ振り向く。正直、告白を断った

わたしに同行を提案した彼の考えは計り知れない。いえ、そらも勝手な判断なわけで。


「なにかな岡山くん?」


「その、香音が最近だけど君達の方によく遊ぶんだけど、なにか

心境でもあったのか知りたいんだけど」


理解した。岡山くんは友達の香音が変わったことに気掛かりなのだろう。はっきり言うと真奈に強い恋慕なんて言えない。

そこから性格が劇変したのも。


「有象無象とやって来た羽虫はむしですね。真奈様からすぐに消えてくれないかしら?」


「「え?」」


う、噂をすれば影。

翔くんとノブくんが真奈を積極的に話しかければ分かりきっていたこと。二人はポカンと信じられずに口を塞がらずにいる。


「・・・前は普通だったんだけど」


「で、でも本当は優しい女の子だよ」


嘆くように呟く岡山くんに、わたしは当たり障りのない返答する。

わたし達は境内は回り続け

食事したり岡山くん以外の男の子二人が竹刀を見たりして。

とうとう、メインと言ってもいい

おくの院に。


「わぁー、写真とか映像で観た

あの場所の上にいますねぇ」


「冬雅、はしゃぎ過ぎ」


真奈に軽くとがめられてもはしゃぎたくなるものです。初めてくるのですから。


「そうだ。お兄ちゃんに写真を

送りますので一緒に撮ろうよ真奈」


「うん、いいよ」


さすがに人がスゴイです。

ここが、清水の舞台から飛び降りる有名なことわざ。

必死の決意して行う意味。

そう!わたしもお兄ちゃんに告白するのも決死の覚悟して。

まぁ、悩むのはこれぐらいにして。


「次はお兄ちゃんと一緒に行きたいよねぇ」


「・・・・・そうだね」


そうならない気がする。曖昧で否定できない予感。

真奈も同じ気持ちだから間があった。決死の覚悟と告白している。いつも目まぐるしく、強い気持ちを抱いて。そして、想いとは偽って言葉だけの告白を続けてきている。


「ねぇ、冬雅。ここで豆知識。

ここ清水の舞台だけど

実際に飛び降りた人が―――」


「それなら、知っているよ。

江戸時代に若い女性が飛び降りて恋愛成就のためって」


「や、やっぱり知っているか」


「加えて、あの高さで飛び降りたのに怪我だけですんだり。

どうしてだろうね?」


「ふふ、それはねぇ。

下は木々が生い茂った場所だったことも土は柔らかったからよ」


「ほぇ〜、さすがスーパーマナーペディアだね」


「・・・ねぇ、その変な呼び方やめてくれない」


当たり前だけど、今は木々なんて

間隔的に残して映えるようにして土も前よりも硬いはず。


って、これだと思い詰めて飛び降りるみたい!?

さ、さすがにそんなことはしない。本当にそんなことしたら、

両親や真奈やお兄ちゃんを悲しませることになる。


(わたし少し精神が参っているのかな?)


右手で自分の胸をあてる。


「冬雅またお兄ちゃんの事でネガティブになっている」


「う、ううん。違うよ」


「悩むような事はないじゃない。

絶対に付き合うんだから。

ほら、茜とみんなが待ってるから早く行くよ」


手を握られ、先を促すように歩く。わたしも仕方なく後をついていくことになり、無闇な悩みはしなくなる。もしかすると、真奈はどうしようもない悩むわたしのめに・・・・・ありがとう真奈。


「真奈様。見てください素敵な景色ですよ・・・その手は?」


それから、しばらくわたしに憎悪を向けられるのだった。

日が傾き始め、集合時間まで近い。みんなで話した結果、最後に仏像など見て回る。


スーパーマナペディアのおかげで

楽しく知識も増えて見れた。

そして、お守りを購入場所へと

足を運んだ。


「うーん、どうしよう」


わたしは、お兄ちゃんのお土産にお守りしようと決めていた。

けど実際に選ぶとなると悩んでしまう。恋愛成就のお守り・・・ちょっと大胆すぎだし。


「お兄さんのお土産で悩んでいるの?」


「そうなんです。当初の計画では恋愛成就のお守りで告白あったんですけど、はずかしくって」


「あ、あはは冬雅らしいね」


ムッ、そんなお姉さんのような苦笑は真奈に言われたくないと思った。お兄ちゃんの事で悩んでいるのは真奈のほうです!


「それなら、このお守りはどう?」


真奈が、指す方へ目を向けると

わたしは心の中でこれだ!と決意しました。

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