第55話永遠と戦わせる存在は金欠病

目覚めると、どうしても身体と頭が

上手く使えないような独特な感覚に

あった。ベッドから出る。


「おはよう、お兄ちゃん。

えへへ、眠たそうですね」


「・・・うーん、天使のような声」


天使のような声は、隣に住む

JKの冬雅。

ベランダで、かげりがない

屈託の笑顔で挨拶する。


俺の部屋にある窓の右に開き

網戸のみで、そこから見ている。

必ずそうしてと冬雅は前に言った。


『お兄ちゃん朝だよ』


遅れて目覚ましアプリのキャラの声。

最近は、無くっても

自分で起きれるようになれた。


「て、天使!?

これはお兄ちゃんからの告白

なのかな?・・・うん。

そうに違いない!」


「冬雅。告白じゃないよ」


天使のようだと、いつも心では

思っていたから口に出てしまった。

冬雅は、次にこう言って部屋を出る。


「これは、告白を返さないとですね。

愛しています!

大好きです・・・あわわ!?」


「・・・朝から、攻めすぎだよ冬雅」


バンと勢いよく閉めたドアに

本人が聞こえていないから本音を

独白する。


そして、洗顔や料理を作り始めて

数分が経過すると、冬雅が

入らせてと錯覚するインターホン

の音が響く。


「いつも、歓迎してくれて

ありがとうお兄ちゃん」


「いえ、いえ。大した手間に

なっていないから平気だよ」


ローファーの靴を脱ぎ、

リビングテーブルに座り冬雅は

テレビをつけていたニュースを

観る。


国際ニュースに自国ファーストと

演説する大統領や国際ルールを

どこ吹く風の態度など。


料理を作る手を止めず動かしながら

ニュースを読み上げるアナウンサーの

声を聞くのマルチタスク。


料理が出来ると素早く食卓に並べる。


「お兄ちゃん。

あそこの国ではアマゾンが大規模な

火災を起こしているのに

消化活動資金41億円を受け取らな

かったけど、どうして?って

思ったけど。

お兄ちゃんの見解を聞かせて」


冬雅の向かいに座り、冬雅は

ニュースに俺の意見を聞きたい

ようだけど、面白くないと思う。

それでも、面白くするように

努力はする。


(珍しく朝から、ニュースか。

冬雅・・・成長して嬉しいよ)


管見かんけんで良いなら

言わせてもらうと・・・

今のブラジルの大統領は暴言や

失言が多くってブラジルのトランプと呼ばれているんだよ。

これは、知っているかな?」


「ニュースで出ていましたね。

でも、お兄ちゃん!

わたしを子供として見ないで

ください。

そりゃ、お兄ちゃんからすれば

子供ですけど・・・

女子高校生だから少し大人として

見てほしいかな」


冬雅は、箸を止め俺の言葉遣いに

不平不満をぶつけた。

冬雅は、俺に年上とか年下など

ではない同じ立場でありたいと

薄々だがそう渇望しているの

ではないか思う。


「・・・善処するよ。

どうしても、27歳になれば

冬雅や真奈に女子高校生には

守るべき立場というのか・・・

うーん、同じ目線なのは難しいんだ」


たかだか、十年前は高校生だったのに。同じ目線や立場になるのは

できないと俺は今は・・・・・

そう思っていた。

年の差というのは、厄介だ。


「・・・お兄ちゃん。

正しいです・・・けど、女子高校生

のカテゴリーとかじゃなく

わたしを冬雅として扱ってください」


冬雅は、椅子から立ち冬雅の

切に懐いた想いを言葉にした。

強い決意を顔を上げ冬雅の目を見る。

女子高校生のカテゴリーじゃなく

冬雅として・・・。


俺は、冬雅として見ている。

それに女子高校生でもあるため

距離間など気をつけていた。

だけど、社会的な目ではなく

冬雅の気持ちをもっと象徴する

べきかもしれない。


「冬雅の言いたいことは

分かったよ。

今すぐに行かないけど、じっくり

考えて冬雅の距離の壁を無くそうと

思うよ」


「お、お兄ちゃん・・・・・」


冬雅は、微笑を浮かべると

愛おしくなる。

冬雅として悪いけど妹や娘に抱く

ものに近い。

その前に子供はいないんだけどね。


「早く座らないと時間が

過ぎるぞ冬雅」


「うん。・・・まずは恋人になる

一歩の前進ですね!」


「そうだね」


冬雅に申し訳ないけど、恋愛としての

距離間は変えるつもりはない。

すっかり、ニュースは別のに

変わったので別の話題へとなる。


朝食を済ませ、しばらく談笑する。

そろそろ登校の時間が迫り

玄関で冬雅は、靴を履く。


「すごく後ろ髪を引かれる衝動が

支配されそうですけど、

行ってきますお兄ちゃん」


「ああ、学校や塾を頑張って。

それで、これは昼の弁当」


冬雅の両親は、家を空くことが

当たり前でビジネスホテルに

泊まっていて、滅多に帰らないため

冬雅のお弁当は、俺が作っている。

ちなみに冬雅の両親は、

一度も会っていない。


「これさえあれば、わたし

元気になれます!

・・・あれ、2つ?」


「実はもう一つは、真奈の分なんだ。 今日だけでも作ってほしいと

ラインでねぇ・・・冬雅?」


「・・・わたし的にはお兄ちゃんと

真奈がラブラブでも構いませんけど

あいふ弁当を他にもあると

なんだか複雑です」


口をくの形になって、機嫌をすごく

損ねった。

でも、行ってきますと言葉にする

ときは、いつもの明るさだった。


冬雅が学校に行っている間、

俺はのんびり小説を書く。

時間は、12時になりPCの画面を

そのままに何か食べよう。


「冬雅と真奈は今頃はお弁当を

食べている時間か」


冷蔵庫に無糖ヨーグルトを

ドライフルーツに入れ混ぜる。

そして、牛乳をコップに注ぎ

ローテーブルの上に置いてソファーに

座りテレビをつける。


食事しながら、ニュースをボォーと

して観る。


(冬雅と真奈の食事や遊んでいたら

クビになった仕事で得た

貯金も危うくなってきたなぁ。

・・・そろそろ動くべきか)


食べ終えて、求人誌でいい読んで

ゆっくり探すかと次のことを決める。

永久、金欠病に悩まされている。


「とりあえず、それは夜に考えて

今は小説だな」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る