第56話わたし冬雅はお兄ちゃんと恋人になった

わたしは、お兄ちゃんを

正面で見つめ合って

リビングテーブルをはさんで

朝食を食べていた。


(平日の朝は、わたしとお兄ちゃん

だけになる。

まるで、新婚みたい)


「えへへへ」


「冬雅。ご機嫌のようだね、

何かいいことでもあったかい?」


「そうです!ありますよお兄ちゃん。

毎日こうして、二人でいると

幸せで嬉しいんです!」


今のわたしは、お兄ちゃんと

恋人になりたいという野望を燃やし

遮二無二に全力全開で告白する!


立ち上がり、愛おしい人を視線を

下げて見る。

お兄ちゃんが座って優しい表情を

浮かべている。身長的にわたしが

見上げないといけないが、

今は逆です。


「・・・お兄ちゃん大好き。

好き!好き!好きーーー!!」


今回は、好きという気持ちを

いっぱい伝えるなら、いっぱい

言って深く刻ませます。

お兄ちゃんに好きって連続で言えた。

わたしの強い気持ちを表に出せて

嬉しすぎます!


「冬雅その・・・実は俺も

大好きだ!」


お兄ちゃんは、素早く立ち上がり

真剣に言いました。

まるで嵐のような告白。


「え?・・・・・もう一回いい

お兄ちゃん?」


「大好きだ!冬雅・・・

いつかは、結婚も考えていたんだ。

その・・・・・恋人になってほしい」


ほっぺにチェリーのように赤くなる。


「冬雅イヤだったら、言ってくれ。

ハグしてもいいかな?」


「は、ハハ、は、ハグですか!?

・・・いいですけど、優しくして

くださいねぇ」


「了解・・・それじゃあ行くよ」


「う、うん・・・・・ふわぁ!?」


お兄ちゃんがわたしに抱擁を。

ハグした・・・信じられないです。


「冬雅、次は俺も告白する・・・

その誓いをする」


「えっ?ちょ、ちょょょとぉ

待って!?まだ・・・心の準備が!

・・・・・」


突然、世界が変化した。

空気を肌で感じる。今まで忘却を。

温度も重さも思考がローディングを

していくように。


「・・・夢だよね。うん、納得」


急な展開に疑問を持たなかった。


こ、これが夢に堕ちる・・・

詩的な思春期的を思考はやめよう。

うん・・・落ち着こうわたし。

お、お兄ちゃんにハグや最後にキス

なんて・・・・・なんで・・・


「ぁ、あぁぁぁーーー!?

どうしよう。どうするの、わたし!

お兄ちゃんにすごいことを・・・」


「冬雅、叫び声がしたけど?」


「キャー!?」


初恋の人であり、愛してている

お兄ちゃんの声です。


心配してくれたのでしょう。

優しい・・・M2やエベレスト比較できるほど優しいです。

わたしは、何を言っているのか

分からなくなってしたよ。


そ、それよりも早く不安を取り除かないと!


「お、おぉ、おにぃひゃん!

だァァダダダダ、ダィジョブデス」


窓を開いて、壁に隠れながらゆっくり

慎重に・・・外を見ます。


ベランダ少し前に隣ベランダ。

ベランダと隣ベランダ正面で

向き合うような形と距離と呼べるほど

離れてもいない。


そして、お兄ちゃんは心配と焦りが

見える。わたしの貯めに・・・・・


「冬雅。また、黒い物体か?

それとも――」


「しぃしいぃぃ」


ドキドキし過ぎて、わたし

パニックしている。


「・・・よし、冬雅!

今から行って助けに行くよ。

不安だろうけど安心してくれ」


(お兄ちゃん・・・かっこいい!)


ベランダの手摺に足を置き、

そしてわたしのベランダへジャンプ。

えぇぇぇーー!?

お兄ちゃんは、わたしのベランダに

着地して、よろめく。

だ、大丈夫かなお兄ちゃん。


「冬場、入らせてくれないか?」


「え、はい。もちろんてすよ」


お兄ちゃんが、わたしの部屋に入って

きた。・・・あれ?

わたしは、起きたばかりで

髪は整っていないし、香水や化粧も。

それに地味なパジャマことも。

いえ、そんなことよりもです!


「お、お兄ちゃんジャンプなんて

危ないよ。それにだよ、

こうして自分の家じゃなく

無断で入ると不法侵入になって!」


「冬雅・・・ケガはないか!

今から警察を通報してから――」


「ま、待って、待って!

お兄ちゃん・・・その、えーと

違うの?」


「違う?」


「わ、わたしぃぃが!

怖い夢を見て叫んだのがわるいの」


「えぇーと、つまりは冬場の

夢で叫び声を上げたと?」


「は、はい!そうです」


少し違うけど、ほとんとが本音。

さすがに夢でお兄ちゃんと

言いせんでした。

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