第46話真奈は、恋愛を諦める

わたしは、恐かった。

元は友達で、今は親友となった真奈が

お兄ちゃんに告白をした。

胸が苦しかった。

真奈もお兄ちゃんが、好きだったのは

言動でなんとなく分かっていた。


そして、真奈の告白はお兄ちゃんに

対する恋慕を捨てることだと

雰囲気で分かった。


(お兄ちゃんは、わたしが好き・・・

それとも真奈が好きなのかな)


出ていく真奈は、まるでマンガや

アニメのヒロインであった。

お兄ちゃんは、追いかけたい

焦燥を堪えていた。

わたしは、複雑な感情を覚えた。


昇降口で、靴を脱ぎ上履きを履く。


「おーい、冬雅おはよう!」


「・・・お、おはよう真奈」


噂をすれば影。いえ、こういう場合は

考えたら影でしょう。


「おはよう冬雅さん」


次に挨拶するしたのは

真奈と登校した友達の三好茜みよしあかね。物静かな雰囲気で黒髪ショートボブ。


「うん。おはようあかね

・・・変な事を訊くけど真奈、

元気が無かったとか疑問無かった?」


「ううん、いつも通りだと思うけど

どうして?」


「ううん、何でもないよ」


「冬雅それって、ワタシ直接に

訊きなよ!」


「えへへ、ごめんね真奈」


いつも通り元気が溢れる真奈。

お兄ちゃんきっと、真奈のこんな顔を

知らないだろうなぁ。


・・・アレ?もしかして真奈は、

お兄ちゃんの前ではドキドキして

元気溌剌はつらつで爆発的な

反応ができないのかな?


新たな疑問をていすること

できない。それは、茜がいないときに

訊かないと。


お兄ちゃんとは年の差、恋愛。

両親が交際を認めれば法律上では

大丈夫らしいけど、普通に

だめだろうねぇ。


いえ、重要なのはそこではなく。

真奈の事だった。

廊下で、わたし右が真奈。

その後ろに茜がついていく。


「夏休みが終わったけど茜は、

どうだったの。

ワタシ達が、いなくて

寂しくなかった?」


真奈は、明るい表情を浮かべて

茜の夏休みにどうしていたか問う。


「さ、寂しくないよ!

・・・・・えーと、読者と勉強と

図書館とアニメと・・・」


「オーケー茜。わかったよ・・・

これ以上は言わなくていいぜ。

悲しくなってきた」


「な、なんか貶された気持ちなんだ

けど・・・そ、そう言う真奈さんや

冬雅さんはどうなの?」


「えっ!?ワ、ワタシは・・・」


茜は、頬を赤らめ不満そうに

わたし達に逆に夏はどうしたか

尋ねられた。その前に貶したのは

真奈で、わたしはほとんど会話に

参加していないのだけど。


「ワタシは、そうだね。

アニメのイベントとか

カードショップで優勝したり。

・・・そ、それと、好きな人と

遊んでいたことかな?」


わたしは、大声でだめ!と叫ぶ

所でした。わたしグッジョブ!

その、好きな人って誰なんて悩まなくてもお兄ちゃんの事だよね?


だって、だって、

顔が赤いし恥ずかしがるの

お兄ちゃんの家で

よく目撃したのだから。


「へぇー。・・・その彼氏さんと

デートしていたんですか?」


茜は興味津々になったようで

デートを訊きました。

それ、わたしも気になる。

茜グッジョブですよ!


「えっ!?・・・た、大したこと

じゃないけど手を繋いで歩いたり、

カードで遊んだり語ったりした」


「そうなんだね。真奈さんの事だから

恋愛は、ガンガンアタックすると

思っていたよ」


以外そうに口を小さく開いて

正直に述べていた。

わたし的には慣れているので

以外感はないです。


「そう認識されているんだワタシ。

・・・それで、その人に告白した

のだけど振られてしまってねぇ。

あははは、でも良かったと

思っているよ」


気を遣わせないように、明るく笑い

夏の想い出(少し改竄かいざんされている)を語るその顔には

翳りがある。


振られていない・・・お兄ちゃんの

返事は無かったから。

けど、お兄ちゃんは断ると思う。

本当に好きにならないと

付き合わない。


わたしがどれだけ告白してドキッと

させても付き合おうという素振りや

言動が無いから・・・

お兄ちゃんそろそろ彼女に

なってほしい!と

いつか言ってくれないかな?


放課後になり、ようやく帰れる。

だけど、わたしにはやらねば

ならないことがある。


「真奈。少し話があるのだけど」


「ごめん冬雅。そろそろ塾に

行かないとだから」


席を立ち、かばんを持って

申し訳なさそうにする真奈。


「真奈さん。その急がなくても

同じ塾じゃ・・・」


喋るのが苦手な茜の言葉に

しまったと真奈は、顔に表れる。


わたしと真奈と茜で一緒に塾に

行くのが多い。それ以外は基本的に

わたしは一人ですが・・・

お兄ちゃんに帰り来てもらうことは

できませんね。

淫行条例だし

執筆の邪魔をしたくない。


「え、えーと。ワタシ今日は

一人になりたいから」


真奈はそう言って、

教室を出ようとする。


「真奈、待ってよ!

あの人が真奈が出て行って

悲しそうな顔をしていたよ!」


廊下に足を踏み真奈は、歩みを

とめた。教室内は、わたしが発した

声高な問いに周囲は、静まる。


「真奈・・・あの時を包み隠さず

話をするから」


「・・・・・うん、分かった」


目立ってしまい、わたしと真奈は

場所を屋上へ話すことにした。

移動の間は無言で、気まずかった。


着いてみると屋上は、

人がいなく、これならお兄ちゃんの

ことを話せる。

万が一あるので屋上に続く階段から、

盗み聞きを考慮して奥に歩き

振り返り、訊く。


「2日前のお兄ちゃんの部屋で

寝ていたことを話すね真奈」


「・・・うん」


平常心を保とうと顔は、真面目に

頷いていたけど声には不安が

含まれていた。

恐いと感じてるの真奈?


「その、一緒にホラー映画を

鑑賞したよね。真奈をお兄ちゃんと

送ってから、手を繋いで

わたしも家まで送ってもらった

けど、暗い部屋にわたし一人だけ

怖くなって・・・って!

真奈、笑うのはやめてよぉぉ!!」


「ふふふ、ごめん。

冬雅らしいくて、つい。

ほら続けて」


「・・・それで、怖いから

お兄ちゃんの家に泊まらせて

頼んだ。お兄ちゃんは困っていた

けど入れさせてくれた。

最初は別の部屋で寝る予定だった

んだけど、幽霊が怖くって

同じ部屋じゃないと安心、

出来なかったから」


同じ部屋に就寝となったわけだけど

眠れず、お兄ちゃんと色んな

話題をして知ることができた。

同じ部屋で心がドキドキで収まらず

幸せで嬉しかった。


「わたし、お兄ちゃんが大好きって

叫びそうだったけど堪えた。

なかなか、眠れなくってねぇ。

色んな話をしたよ!

そろそろ眠ろうと目を閉じて

頑張ったけど、よくない

妄想して眠れずにいったなぁ」


「・・・そうなんだ」


真奈は、わたしの話に耳を傾け

優しく微笑む。

まるで姉のように。真奈の聞きたい

点を説明したけど納得していない

ような気がした。


ここからが、真奈の不安を払拭

するため奮戦するところ!


「真奈、断言するよ。

わたしとお兄ちゃんは

一夜を共にしたけど、

何もしていない。

・・・信用してくれた真奈?」


不安でいっぱいだった。

けど信じてもらうために

目を逸らさず見る。


真奈は、瞼を閉じてわたしの言葉に

反芻はんすうして考えて

いるかもしれない。

ゆっくりと瞼を開き透き通る目。


「冬雅の言葉・・・信じるよ」


「・・・・・や、やったーーー!

ハァーひやひやしたよ。

真奈シリアスだったからねぇ」


心、神経も安堵したように感じ

わたしは、嬉しくなる。

悩みの種が、無くなれば早く

塾を終わらせてお兄ちゃんに会いに

いかないとねぇ。


「冬雅、まだ終わっていないよ」


「えっ、終わっていない?」


真奈の言葉にわたしは、わるい

流れになっていると感じた。


「そうだよ。

部屋でワタシ一人で考えていたら

お兄さんが冬雅にするなんて

ないって、考えれた。

あのときは、冷静になっていなかったから・・・否定して別れた」


「真奈・・・心配しなくても

私が、一緒に謝るなり仲良くも

協力するから・・・ねぇ」


「ごめん。それは・・・無理なんだ」


俯き真奈は、諦観の念でいた。


「無理なんて言わないで真奈」


「無理だよ。だってワタシは

お兄さんに好きだって告白した」


「えっ?」


「返事は聞いていないけど、

答えは分かりきっている・・・

お兄さんと変わらずに笑える

ことが自身がない。

それに、会うのが恐い・・・・・

これが、人を本当に好きになること

なんだね冬雅・・・」


「真奈・・・・・でも」


気持ちは痛いほど理解できる部分と 真奈のみ知らない心情もある。

わたしは、真奈に何を伝えれば

いいのだろう。


「あはは、しおらしくなったね。

安心してよ冬雅とは変わらずに

親友だから。

ワタシは、もうお兄さんの家に

・・・行かない。

冬雅、お兄さんを・・・ご、

ご幸せに・・・・・っ!」


真奈は、笑って恋を応援する

言葉をしたかったのだろう。段々と

言葉に悲痛が増していき

頬から涙が滴り落ちる。


嗚咽で言葉がうまく出来ず

真奈は、最後まで言葉にしてから

走っていた。


「・・・お兄ちゃん助けて」

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