第14話疾風迅雷のピリオド

今日もノートパソコン前でキーボードをより速く小説を書いていく。没頭の一歩前ほど集中しているとピンポーンっと例の隣人が訪れたと告げる音色が響く。そしてこれは、あらゆる言葉による奇襲をポーカーフェイスいるため準備を備え告げでもあった。


「正直、煩わしいのもあるけど

楽しいとか・・・ポジティブな考えにも与えれるんだよなぁ」


この独り言も今の内。済ませようと謎の事をして自分のことながら驚いた。

2度目のピンポーンが鳴る。


「そろそろ行かないと、強行突破

されかねない・・・。

はーい!行きますよ」


居間から玄関では距離に声が届いたとは思っていないが三度目ない。

まさか、聞こえたのだろうか。


声量は少し高めな俺でも不可能だろう距離。冬雅に何かあったのか気になり早足でドアを開く。


「お、お兄ちゃん・・・その

今日は友達も入れていいかな?」


(あー、なんとなく推測はできるなぁ)


「こんにちは、お兄さん」


えーと冬雅といた俺に名乗った平野真奈ひらのまなさん。

冬雅の同級生で友達。

清楚感とギャル性を併せ持つ容姿端麗のJK。


「あっ、はい。おはよう平野さん。

えーと、妹が言うにはここで

遊ぶの?」


「はい!塾の帰り道に冬雅を

誘おうと考え探していたら、ここまで

来まして。声を掛ければ、

けっこう驚かせてしまって、

まるで密かに・・・会っているようで

したよ」


「さようですか。冬雅には昨夜、

俺のホラー映画をチラッと見て

それが原因だと思いますよ」


親しそうな笑み。俺は違和感を与えず素早く作り話と本音を入れ答える。この子の言及に確信する。猜疑心さいぎしん

読み取れる言葉。そして、わずかに

表情にも出ている。


思い違い可能性もなくはないが

十中八九そうだろう。


「ちなみに冬雅。友達がいるから

ここじゃなくて、自分の家で

遊んだ方がよくないか?

こんなオッサンがいると居心地が

悪いだろうし」


いったん、疑う平野さんの前で

自然に兄らしく勧める。


「・・・ふぇ?お兄ちゃんと

一分よりも長くいたいんです!

だから、だ、ダメです」


何かしら疑っているため演技を打って出て欲しかったが純粋な冬雅は素直に答える。

平野さんは、援助交際あたり疑っているのだろう。


そうだとしたら、友達想いだ。

何故か、冬雅にそこまで想ってくれる

友人いたことに喜ばしく思う。

しかし、何度も思うが疑いを

晴らすのが優先。


もちろんこれだけ伝わるわけがなく

突然、困った表情をさせる・・・

次の手を打たなければ。


「・・・そ、そうですか。

まったく、兄離れできないだから。

俺は自宅で仕事をするので――」


「だめ、お兄ちゃん。わたしと

いて・・・お願い」


「・・・そうだね。せっかく来たんだから付き合うよ」


「お兄ちゃん大好きです」


見捨てないでと涙目をされると、

まぁ、いつもの流れになる。だけど、この慣れてきた同じやりとりにお互い笑みを向ける。


「あのー、兄妹ラブラブを見せつけられるとワタシ困るのだけど」


「あっ、すみません。どうぞ」


指摘するまで見つめていた!

冬雅は熱い視線だったが俺は愛おしい感情で見ていた。

それは、恋人や想い人などではなく家族や妹に近かいもの。


「ふーん、思ったよりもゲームは

あるわね。最近は少なくなった

オフライン対戦ゲームとか」


ソファー左から座るのは、

平野さん、冬雅。俺はカーペットの

上であぐらを組み座る。

二人はゲームを楽しみ俺は執筆。

ちなみに称賛したのは平野さんだ。


基本的に面白かったら購入するので

対戦とか考えいなかったが、

冬雅が入り浸ることが多いので

少し多めに買った。


「それは、たまたまですよ。

言われるまでは、オフライン対戦

ゲーム意識しませんでしたね」


嘘を並べて俺はなにをやっているのか自責する。ともかく淫行条例で逮捕される可能性も考えると、やはり怖い。

それに冬雅もそれを隠そうと

している。あまり積極的ではない。


「たまたまですか・・・冬雅の

ためじゃなく?」


「そ、そうなんですかお兄ちゃん?」


「えっ、いや違わなくもないと

言うか・・・ほら、二人とも

呂布りょふの戦闘中に

集中しなくて大丈夫?」


二人が遊ぶのは、

無双OROCHI《オロチ》3。

機種はPS4年齢制限レーティング15才以上。

無印むいん(最初のシリーズ)は、PSPで、戦国武将と三国武将が

邂逅かいこうし、世界を融合させたオロチを倒す物語だ。


全シリーズで協力プレイができる。

そのため、二人は協力プレイを

しているのだ。


そして、呂布は三国志では最強武将。

劉備、関羽、張飛を孤軍奮闘こぐんふんとうと一人で戦ったのが有名だろう。


「いえ、大丈夫ですよ。

距離を取って戦えばさほど脅威じゃ

ないのでチラと見て会話はできます」


「わあー!?もう体力が

なくなるよ!真奈まなお願いします!助けてください」


「・・・わかったわ。すぐに

助けるから」


「あっ、ごめんもう負ける」


「えぇーー!?ここまで来たのに

・・・あれ?セーブポイント

ってなんですかお兄さん?」


「ああ、セーブポイントは

武将や拠点などクリアした最後の

ところから始めることで。

前は、1から始まったのが懐かしい」


「へぇー、ここから戻るんだ。

ワタシけっこうゲームするけど

知らない作品でした。

お兄さんこのゲーム面白いです」


真奈が気に入ってくれるとゲームファンとして嬉しいことだ。


「はは、それは良かったよ。

コーヒーを入れに行くけど、

ついでにジュースかコーヒー

どっちにします?」


「急ですね・・・ジュースで」


「わ、わたしもジュースお願い

お兄ちゃん!」


「はーい、承知したよ」


無双OROCHIか懐かしい。俺が始めたのは高校生で、前の2アルティメットが最後だと思ったら続編が出たときは驚いた。


(冬雅は、親しくない言っていたけど

そうには見えないなぁ)


振り返れば、笑みを浮かび楽しく

遊ぶ女子高生の二人。

俺がオッサンなのか、客観視だからか

親友のように見えた。


「うわぁ!?気付いたら

もうこんな時間か冬雅そろそろ

帰ろう」


「あっ!そ、そうだね。

暗くなると危ないからねぇ」


テレビの右下に小さく時刻が表示を

見て驚いたようだ。

時間は・・・午後8時。


「えーと、平野さんは家は遠いの

ですか?」


「まぁ、電車を乗らないといけない

ぐらいかな?」


どうして、その質問?と言わんばかりな顔をする平野さん。


「冬雅、少し心苦しいんだけど

家まで送りたいんだが・・・。

迷惑じゃなかったら、一緒に

来てくれないか?

俺だけだと、安心しないだろうし

会話が出来ないから」


「はい、もちろんですよ。

好きな人が求めるなら、どこでも

行きますよ」


「・・・・・ありがとう」


冬雅の言葉に平野さんは、俺に

訝しげな眼差しを向ける。

観察するような視線が無かったから油断していた。


そんなわけで、送ることになり

冬雅は平野さんと塾の事や

もう一人の友達の話で盛り上がる。


「ここで、結構です」


「そう?お兄ちゃんに疑わくても

ストーカーや変なことをしないから

安心して最後まで送るよ真奈」


「冬雅は、この人に執着しているん

だね」


その声は先まで向けていた笑みではなく、冷めきったものだった。


「真奈こ、怖くないか?」


「・・・お兄さん。確認したいん

ですが、兄妹じゃないですよね」


「たしかに似ていないから

よく言われるけど――」


「演技はいいですよお兄さん。

付き合っていますよね」


深夜じゃないのに住宅街は静寂。

街灯が寂しく仄かに照らす下で

平野さんは鋭く睨んでくる。


「・・・付き合ってはいないよ」


「そうですか?ショピングモールを

遭遇しましたが、わたしが去ると

二人とも手を繋ぎましたよね。

振り返れば、遠くってあまり見えませんでしたが明らかに繋いでいた。

話す冬雅は、ずっと笑っていた。

わたしが見たことない明るさで。

不健全な・・・冬雅に手を

出すのはやめていただけませんか!」


敵意をむき出して詰問に俺は

相手が女子高生なのにたじろぐ。

冬雅のために怒ることできる・・・

いい友達できて本当に自分の事のように嬉しくなる。


「ま、待ってよ真奈。

わたしとお兄ちゃんはそんな

関係じゃ」


「お兄さん。どうせ、冬雅が

かわいいからたぶらかしたよね。それではなかったら、あんな

とろけるような顔なんか――」


「真奈!わたしの話を訊いてよ!」


冬雅の叱責に近い声音により

平野さんは言葉が出ずにいた。


「驚いたよ冬雅が怒るなんて」


「えへへ、わたしとお兄ちゃんが

否定されているようです

悲しくって」


「冬雅・・・否定されると私達は

変わらない。それに、冬雅も話を

すると元気になるんだ」


「お兄ちゃん・・・」


「さて、閑話休題。平野さんに

話をさせてもらうよ」


急に告白された事に話を始める。そして紆余曲折を経て一緒にいるようになった。

俺と、冬雅の奇妙な付き合いの

経緯を語った。


「なるほど・・・冬雅の告白に

断るなんてスゴイですね」


「そうなのか?」


首を縦に振り肯定を示す平野さん。


「まぁ、不満な点がいくつか

ありますが冬雅を大事にしている

のは、十分に分かりました。

でも、忠告させてもらいます。

お兄さん、もし手を出せば

ワタシは容赦なく警察に通報させて

もらいますので」


平野さんは指を差し向ける。警戒と

侮蔑な眼差しを向け、そう言った。

平野さんは後ろへゆっくりと暗闇に歩いていくのだった。

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