第15話どうして、そうなったか?私が聞きたい

なにかが音がした。

開くと陽の光で目の奥が眩しい。目覚ましアプリによる音が原因かと思い見てみると違う。設定した時刻よりも早く起きた。

午前6時50分・・・二度寝しよう。

ピンポーンと寝室まで響く。音の原因はこれか。


(冬雅が、こんな早朝で来たのか?

いつもは9時に訪れるのに・・・

もしかして、昨日の平野さんと

結構、話をして嫉妬?)


昨日の駆け引きを思い出し

二度としたくないと強く決意している

けど、またあるだろう。そのときは冬雅が隠そうとすれば協力するだけ。ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン。


「ふわあ~、いま行きますよ」


ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン

ピンポーン、ピンポーン。

連打し過ぎじゃないかな。疑問を

覚えながらも腰を上げて伸び。

揺蕩たゆたう足取りで向かう。


「ふわぁー、今日は早いんですね

冬雅は。これもドキドキさせる

ため?」


「へぇー、ドキドキですか。

お兄さんそれ詳しくお聞かせても

よろしいですよね?」


陽より輝く黒髪と笑顔で待っていた冬雅・・・ではなく、友人の平野真奈。


「・・・・・ど、どちら様ですか?」


「フフ、戸惑っているようね。

ワタシが来たことに」


「・・・兄妹か疑っていると?」


「それもあるけど・・・今日は

違うの」


両手を後ろ腰に組む(たぶん)と

頬を赤らめ上目遣い。

権謀術数の戦いにしては、その表情

は適していない。いや、油断を誘う作戦か?


「えーと、昨日を話をしていたら

・・・なんだか惚れてしまい

しました。なので、ワタシを

彼女にしてくれませんか?」


「・・・・・・・・はい?」


どんな言葉にも対応できるように

数瞬で心に引き締めていたのが、

一気に解かれていくように

なって萎えていく。今の告白は

衝撃的で予想外にもある。


「高校生なんだから、大人に好きに

なるのはたぶん恋愛心じゃなく

類似した感情じゃない?

本当に好きだとしても時間か

経てば勘違いだって悟るよ」


「ふーん、ロリコンではなかった

ようですね。・・・それはそれで

女の子としての魅力が欠けているようで少しショックです」


「な、なんだか理解できていない

けど・・・ごめん。

傷つけてしまって」


頭を下げ振られたことに対して陳謝。


「あー、いいですよ。今のは試した

わけで本気じゃありませんでした

から」


「そ、そうなのですか?」


頭を上げ朗らかに笑う・・・だと

すれば頬が赤かったのは

演技力か、屈辱的な羞恥か?


「うん。で、そろそろ本当の事を

語ってくれない?

昨日と先でも所々に兄妹じゃない

言葉や表情をしていましたよ」


「・・・隠しても通じないか。

目的は冬雅にニ度と近寄らないようにここまで?」


「そう言いたいんですけど、

冬雅があそこまで笑うのって

今まで無かったんですよ。

ワタシには2年もですから。

愛想笑いならいくらでもあるけど」


なんとなく、冬雅を助けようとしているのが、薄々に感じたが本当におもんばかって訪れたのか。


「・・・お節介だけど、

平野さんなら冬雅を笑顔にできると

思うよ。話によると信じられないけど、本当の笑顔を。

そこまで、想いをぶつければ」


「・・・無理よ、そんなの。

一方的に尊敬して、大事な友人なんて

重たいって言われるわよ」


「寂しい気持ちにあるからこそ

強く想ってくれることに救われる人もいると思うけど」


たとえば、冬雅が一片も隠そうとせずに告白をしてくる。他人からしたら重い・・・俺の場合は

そこまで想ってくれることに

救われた気がしたのだ。


だから、俺と似たような感情で愛情を切望した冬雅なら心を開くはずだと。


「・・・無責任なことを。

話を戻すわ!あなたが冬雅と

出会ったこと、好きになったことを」


「少し長くなるから、玄関前じゃ

なく近くの公園で話をします。

すぐに着替えを済ませるので

少々、お待ちを」


「・・・ええ、分かったわ」


返答を求めたわけじゃないけど、

律儀に返事をした。

平野さんの奥にある

優しさを垣間見た気がした。


ボロシャツとジーンズと完全ラフな格好。一方、平野さんの衣装というと青のボロシャツと黄色の

ロングスカート。

最寄りの公園にあふベンチで座る。

警戒した平野さんは二人分も入れるスペースで左の端に座って。


「もちろん、嘘は言わないでよ

お兄さん」


「もちろん。私が冬雅と最初に

会ったのは――――」


7月の常夏に辟易させる暑さ。

曇りなき太陽と大空がまさしく快晴と感じる。

でも、これから話すのは暗い過去だ。

俺と冬雅の出会いを語り始める。

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