第3話純愛な一陣の風

峰島みねしまさん一世一代の告白を俺はきっぱりと断った。

告白された事に対しては嬉しいが一時の気の迷いだと確信に近い

結論している。

俺と付き合っても幸せはない。

家まで送るため俺はくつを履いて玄関前に待つ峰島さんに声を掛ける。


「それじゃあ、行こうか」


「は、はい・・・」


峰島さんは緊張で声が震えいる。

平常心を保とうと真剣になっているが頬は赤くなりもだえている。

この恥ずかしがっているのはおそらく―――


「ゲームの腕を上げれば、すぐに

俺に勝てるようになるよ」


敗北で悔しくなっているんだ。

と思ったが呆気に取られている。


「えっ?・・・・・・・あっ!

ち、違うんです。悔しいんじゃ・・・

うぅ〜、山脇やまわきさんも

わ、わたしを好きだって!

後になって許容容量が

オーバーでして!!・・・うぅー」


「あっ!ああ。そう・・・だね」


連敗して歯ぎしりとかでは無かった。

先の告白にはイエスともノーとも返事しても後から襲う落ち着かない気分、感情を羞恥しゅうちと言う。

結果として今の空気は―――


「「・・・・・」」


静寂せいじゃくもたらすことになった。

容姿端麗で熱意と笑顔に好ましく

思っているけど・・・・・


(俺は知らない・・・好きな感情を。

恋愛として見ていない俺は、

この恥ずかしくなるのも知らないんだ。

さて、どう俺に諦めてくれるか考察しないといけないなぁ)


「も、もう着きました」


考察中に隣の家に着いたようだ。

いや、すぐ近く隣なのだから

当然か。

峰島さんは残念そうな表情で上目遣いで見上げる。


「ああ、右隣みぎとなりだからすぐに着くか」


今更いまさら、言う必要もない言葉。

一分にも無い距離の建物は洋風で一般的なニ階建ての趣きがある家。

シンプルでありながら美しく峰島さんを美しさを体現したようだと感じた。


「そ、その今日は楽しかったです」


「あ、ああ・・・私も楽しかったよ」


彼女は白い頬には赤く染まり屈託のない笑顔を向けてきた。

玄関前でポケットを鍵を探る彼女。

さて俺は、門前に佇まず早く

去るとするか。

きびすを返すと背後から扉を開く音。


「あ、あの・・・

相思相愛で、幸せでした。

あ、明日の午前7時に行きます。

それじゃあ!」


バタン。それだけ伝えると返事する時間を与えずに扉を勢いよく閉める。

相思相愛の後から早口に加速して

いき――それよりも午前7時に

訪れるのか。


「そ、相思相愛か・・・ごめん」


・・・不誠実だ。

どうしたら諦めてくれるかなんて

そう考えてた俺は悪魔のように思えて責めてしまうじゃないか。

困惑と罪悪感に苛まれながら

闇夜やみよの中でそう

呟く。


救われない未来が待っている気持ちで帰宅してすぐにPCを立ち上げる。

集中力を向上できるとテレビで知った

ガムを噛みながら小説応募を

今日も執筆を始める。


「あぁー、まずい。まずいぞ!

描写が思ったよりも上手くいかない」


スピード重視を意識して執筆するが、

丁寧に面白く明確な描写を心掛けて

るが、手が進まずにいて、いつもの袋小路ふくろこうじである。


それが、数十分も手詰まり。

よし!もう寝るとしよう。

明日は峰島さんが来るようだし。


「ふわあぁ〜、眠たい」


長い一人生活に取得した[独り言]。

なんだか、悲しいなってきた。

2階に上がり寝室のドアノブ開く。


「あ、あれ?」


隣のベランダの手摺てすりに腕を置き夜空を眺める峰島さんが窓越しから目撃した。


(どうして、峰島さんが!?)


隣通しだから当然かと納得するまで少し経つ。そして美しくしかった。物思いながら眺める彼女を仄かに照らす部屋の明かりと月。

儚いその姿をステージのライトを役割みたいに疑わずに思えて

この姿は絵画、否!名画が現実に起きたような幻想的に思える。


ずっと見ていたからか彼女は、ふと視線を照明を付けた

俺の部屋へ視線を

向け驚く――ですよね。


「ふっえええぇぇ!?」


まさか、明日に約束した相手に

一時間も経過せずにバッタリベランダ

で会うか!?


「まさか、こんなに早い再会に

なるなんてね」


俺は寝室にベランダに入る。

ちなみにお互いベランダが向かい合う

作りになっている。

完全に会話とか目的で作っているよね設計者さん!


「う、うん。こんなに近いんですね。

っ――わたし恥ずかしいです」


何度目になるか、頬を熟成トマトの

ように赤くなる彼女。

向かいのベランダに

ジャンプすれば着地可能な距離。


(なんていうのか、青春だな。

俺があと十年前の高校生なら

恋を知れたのだろうか。

彼女に好きになって・・・

そうすれば、恋愛小説もリアリティーを書けるように・・・)


また彼女の想いを踏みじるような考えをした。


「き、奇遇ですね山脇さん。

なんだか、マンガのようです」


「そうだな。こうして、話すのは

初めてで、何度目なんだって神様に

反論したいぐらいだ」


「フフ、そうですね。

わたし寝ますのでおやすみなさい」


「ああ、おやすみ」


就寝の挨拶を終わり、

窓とカーテン閉める。まさか、ベランダで会話

するなんて。

あの告白を思い出す――


(話したいことよりも何よりも

ただうために逢いたいか・・・

詩人の竹下夢二たけしたゆめじ

の[恋の言葉]にあったなぁ。確か

峰島さんは、文学少女かな?)


ゆっくり考察しようと決めたが

ベッドに入るとすぐ夢の中へと誘われ

深い睡眠に包まれるのだった。

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