第2話ただ逢うために逢いたい

そんな流れで遊ぶゲームはPS4版の

STREETストリートFIGHTERファイターvファイブ略称をストV。

峰島さんとオフラインでの対戦する

ことになった。


「わたしは、このカッコいい人を

選ぶ!」


ソファー隣で座る峰島みねしまさんが選ぶのはガイルの親友ナッシュを選ぶ。


対戦型格闘ゲームの金字塔を

発売当日は買わなかったが月日が過ぎて

中古が安く購入した。

家庭用とゲーセンでは差異があるがゲーセンに足を運ばない俺はその違いは知らない。


「じゃあ、私は主人公のリュウかな」


俺が選択したキャラは

赤いハチマキに裾が破れた

昔風のファションを感じさせる

空手の道着の貫禄がある主人公。


強力な技は、波動拳はどうけんでゲームの顔でもある。

格ゲは巧拙こうせつも無い俺は自信がなかったのだが―――


「わあ!?ま、負けてしまいました!?」


まさか、勝つとはなぁ・・・。


「ふっ、まさか勝つなんて思わなかったけど・・・もしかして初めて?」


少し不躾ぶしつけな問いに発言してから後悔する。

彼女は不快な表情せず笑顔をたたえた。


「えへへ、実はそうなんです。

基本的にゲームは普段しないん

ですけど、今日はスゴく楽しい・・・

ねぇ、もう一回いいですか!」


身長的に小さい峰島さんは爛々らんらんとした上目遣いで見上げる。


「ああ、もう一戦しよう!」


「はい。次は勝ってみせますよ!」


それから俺は容赦なく連勝を続け、ずっと敗北にしている峰島さんを悔しんでいると思い横目で見れば

満面な笑顔で楽しそうにゲームしていた。


ゲームとはいえ連戦連敗に疑問を覚えた?

幸せホルモンのセロトニンが

暴走を起こして過剰的に

分泌しているというそんな荒唐無稽でバカな考えをしながらも頭の隅に置いて再戦する。


「うひゃあ!?強いですね山脇やまわきさんは!手足を伸ばして

火を吹くインド人でも勝って

なかった」


「まぁ、他の格ゲを少しやっていた

からなぁ。私の方が適応力が高い

だけだよ」


何年ぶりだろうか・・・こうして

誰かと隣でゲームをするのは。

オンラインでは味わえない隣で笑って叫ぶ共通感は。


隣で遊ぶことは・・・・・

心が温かく広がっていき清々すがすがしくなる一方で郷愁感きょうしゅうかんを叫びたくなるこの気持ちは――――


「え?ど、どうしたんですか。

その・・・・・だ、大丈夫ですか!?」


不安なトーンに下がった彼女に向くと心配げにしていた。

一体、どうしたというのか?


「大丈夫って、なにが?」


「だ、だって泣いているんですよ!

わたしが、失礼なことを・・・」


自分が原因ではないか、自責の念を覚えて疑う彼女自身に。

彼女は暗鬱あんうつな表情と気遣う。

彼女の言葉が本当か目頭を触れ確認する・・・確かに涙の透明な感触だ。


「・・・俺、そんなに情を。

隣に誰かをいってほしかったのか?」


「山脇さん?」


「・・・いや、なんでもないよ。

これは、・・・・・これは・・・」


紡げない。楽しくて仕方なかった空間が今や重たい空気へと一変した。明るく戻す余裕がなく俺は心を問いかけるように――


(これは、なんだろうか・・・・・)


自分さえ分からなかった感情の発露はつろに戸惑い混乱へと

落ちていくようだ。


「・・・次は、わたしの番です」


「峰島さん?なにを」


ソファーから、勢いよく立ち上がり親しげな優しい微笑を浮かべる。

改めて見るとその美貌に世界にそういないと印象を与えるだろう美少女。


そんな、彼女がどうして

隣にいて好意を抱いてくれたか。

今になってこそ疑問に思った。


「わたしは、公園で2回目の相談を・・・わたしの話を最後まで訊いてくれた山脇さんが好きになりました!・・・・・真剣に考えて時間を掛けて調べ事をしてくれて。

・・・こんなにも、わたしのために頑張ってくれた人が初めてだったんです。救われました・・・・・だから一ヶ月も会えなくって悲しかった、苦しかった!!」


うれい顔と怯えを混じった声と顔に恐怖を思い出しているやもしれない。俺はその勇気を尊重して汚さないよう真剣に聞く。


密かな恋慕を包み隠さず語りだす

彼女は、途中から涙目となり

救われましたセリフでついに涙が込み上がり、頬から落涙する。


玄関先に彼女の言葉に好きになった理由を腑に落ちなかったが

ほんの少し今になって分かった。


だから、告白したのか・・・・・

イマイチ納得できる理路整然な説明じゃなかったがそれでも気持ちは伝わった。

そして、一ヶ月も会わなかったのはスゴく個人的な理由だった。


「えーと、実は、小説大賞の応募で極力に外を

出なかったんだ」


「小説ですか?」


呆然と呟く彼女の言葉に俺は、ああ!と優しく強くハッキリと応える。


「プロットや小説を書いたり

書き直したりしていたんだ。

まさか、一ヶ月そこまで追い詰めて

いたなんて・・・」


ただの、隣のオッサンとかそんな

認識だと思っていた。


まさか、そこまで支えて想ってくれたとは・・・

今でも信じられないし、鳥滸おこがましくないか俺は。


「あ、あの自分をそう追い詰めないで!そのおかげで、こ・・・ここ、

告白できましたから。

わたし的には、いいきっかけです!!」


俺の顔に出ていたのか、それ以上の自責の念には責める俺に

彼女は止める。

大人なのに高校生に気を遣わせた

のか俺は。


「会いたかった・・・会えなかった日が続いて募って、もし離れたら嫌で苦しかったよ。初恋だったんです・・・だから、告白しました。・・・断れたのは、今でも

消えたいほどに苦しいものですけど。

話したいことよりも何よりも

ただ、うために逢いたかった!・・・えへへ、こうして

会って見れてしゃべって・・・わたしこの瞬間が幸せですよ」


恥じらいながらも思いのたけをぶつけられた。

沸騰するほど恥ずかしいのだと

顔に出る彼女。

勇気を振り絞り切実で無償の愛に俺に対して彼女は――

いや、峰島みねしまさんの

ここまで言ってくれたのだ。


・・・なら真摯に気持ちを返さないと失礼だ!!


「正直に言えば私も・・・

俺は峰島さんか好きだよ」


「は、はゃい・・・!?」


強い想いは疑いもなく本音ほんねなのが気恥ずかしくなる。

俺の素直な言葉に照れながらも

まっすぐ見る・・・それとも唖然あぜんかな。


「ここまで、好きだって想ってくれて嬉しかったよ。それに俺も

逢えて嬉しかった。

それでも、やっぱり付き

合えないんだ」


「・・・はい」


少し間が生まれたがこの応えが

来るのだと覚悟していたのだろう。

だからと言って暗くも明るくなることもなくうつむき落ち込むのだった。


「長く話しして、

しまったようだ。

送るから、そろそろ帰ろうか」


頃合いだと俺は腰を上げ、これで終了としようとしたが、俺の前に回って通せんぼうを始める彼女。

は、速い!?いや、どうして!


「だ、駄目です!

大事な事を忘れていますよ」


「だ、大事なこと?」


「はい。だって、まだ涙の理由とか原因を聞いてませんから!」


振られた事よりも涙の方が

重要だとその行動に俺は絶句していたことに気づく。

彼女の決意は固く、容易には屈しないと態度と声がそう語っている。


なぜこんな俺のために、そこまで

行動できるのか。これも10代ならでわの後先と考えない夢と理想を見る行動かとそう無理に結論として納得するしかないか。


俺は諦めの嘆息をこぼしてから

事情を伝えることにした。

俺は長い間に苦しみや悩みを言える相手はいなかった。否、いたが過去形となんとなく相談できない。

それを、無意識に俺は渇望したのか。


「・・・それは、わたしも

同じですよ。わたしも一人でした・・・・・

友達はいたけど、親友なんて呼べない。隣に見る人も後ろについていく人さえいない孤独を感じて。けど・・・目の前にいる

わたしが大好きな人が

寂しい感情を温もりに変えさせて

教えてくれたんです!」


俺と峰島さんの境遇は似ている。


(いや、勘違いしてはいけない。勝手に似ていると決めるのは

おこがましいことだ)


似ていても同じではない・・・

決して。き違えないようにする。


それに、あの想いと行動には

かけがえのないとうとさがある。すでに失っているから俺は知って覚えている。

彼女は、言葉を続ける。


「なので、その疎外感そがいかんを振り払ってみせます。

明日も毎日ここに来て、

わたしの想いを言い続けて

絶対にデレさせます!」


指を突きつける彼女は、

そう宣言をするのであった。

え、えーと、突然の流れでよく見えなくなった。

字面通りなら、毎日、来て

デレさせる?ことなのか・・・・・どういうこと??

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