ネガティブなJKによる玉砕覚悟で毎日の告白

立花戦

夏休みは、女子高生と一緒らしい

第1話えーと、女子高生に告白された?

ピンポーンと呼び鈴が室内に響いた。

誰だろう?

こんな夜分遅やぶんおそくにと訝りながらも向かって玄関ドアを開けると…

JK女子高校生さんが立っていた。

俺は彼女を知っている。

ハッキリと覚えていないが、確か最後に会ったのは…一ヶ月前になる。

驚くほどの容姿端麗、

夜の中であっても長く自然のまま伸ばしたような黒髪は、つややか。

雪を欺くような白い頬はすでに赤くリンゴのごとく染まっており眩しい瞳を見上げては下げたりと繰り返す。

マンガやアニメのように分かりやすい緊張で強張っている彼女。

迷いの挙措を振り払うように頭を振ったと思ったら顔を上げると瞳の奥は強かった。口を開く、そして――


「す、好きです。大好きです!!

その、あの…わたしと付き合って

ください!!」


告白された。

その衝撃な情報を理解するまでの処理時間をかなり要した。


「「……」」


どうしてだろう?

失業になった27歳のニートにJKさんからの一世一代であろうの告白……。

その美少女とは隣人りんじんさんであって名前を峰島冬雅みねしまふゆかと呼ぶ。その可憐な容姿と無口な冬の精霊と印象をつける幻想的な美しさがあった。


(どうして俺なんかを?)


真っ先に思ったのを心の中で呟く。

美少女に告白され意外にも歓喜よりも疑問と困惑が大きかった。


(峰島みねしまさん本気なんだろう。

気が気でない反応をからして…友達的な好きじゃないんだろう)


恋が叶うかの大勝負!そんな気迫を感じさせ成否が掛かっている彼女は絶望に打ちひしがれたかのように今にも泣き出しそうだ。

あの黒い瞳には吸い込まれそうになるほど透明で陽光に照らされる海のように眩しさがあった。


(端的たんてきに…控えに言っても彼女は誰にでも惚れるだけの美しさはある)


フリル多めの白いワンピース、健康的で美脚は太もも半分のたけとなっているにも関わらず品位がある。

気合を入れた勝負服の前に。

俺は、これからの告げないといけない言葉を想像して針にチクッと刺さた痛みを覚える。


(絵に書いたような清楚で可憐な

美少女。それに引き替え…俺は緑の

スウェットをした駄目な大人。

こんな格好も含めて、心苦しいなぁ)


これが夢ではないかと今でも半信半疑を持っている。

それに、こんな俺なんかを好きになる要素があるわけがない!

だって俺なんだ。駄目な事はよく知っているし好きになる要素なんてない。

俺がしたことなんて挨拶あいさつと悩み相談ぐらいだ。彼女の視点からすれば少しは頼れる程度の他人とはさほど変わらない認識なはず。

そう!これは俺の早とちりで簡単に恋に落ちるわけが―――


「…はうぅぅ」


(もしかしなくても、これは恋をしている……好きになっているだと!?)


とりあえず判断力を低下しないよう

パニック状態に陥っている思考を

どうにか落ち着かせないと。

古今東西どうするかは冷静になろうとしめ対処法は追々おいおいにして小さく深呼吸を繰り返すだけ。

よし、一世一代の告白した彼女に対して真摯しんしな返事をしなければ。


「ありがとう。お……私に

好きになってくれて、

嬉しいよ正直に」


一人称を俺から私に発するのは

深い理由は無かった。

これはビジネスマンから通るべき道と思う。いつまでも学生や主張など

社会には求めておらず円滑に進むためにもそれを染まっていき矯正して変わっていく。

大人になれば誰しも俺や僕ではなく私の一人称に矯正を求められる。

次第に、過去に使っていた一人称は口に使用する回数は減っていき処世術で使っていたのが染み付いていき、今まで使っていた一人称が途端に、突然に、恥ずかしくなってくる。

それだけ俺は大人になっている。と思ったけどニート長くなったか一人称は以前に戻ろうとしているみたいだ。


「そ、それじゃあ!」


その先の続きは肯定的なセリフだと察したのだろう。

眩しいほど期待の眼差しをする彼女。

セリフからそう前向きに考えて捉えるのが普通な流れ。

勝ちを確定をしたまばゆい笑顔の前に、俺は激しく目を逸らしたくなり次の言葉が詰みそうになる。

それでも言葉は変えるつもりはない。それが残酷であっても。


「…ごめん」


「…え?あの」


「付き合えない。

は大人で君は高校生。なによりも、その好きは

きっと勘違いのはずだよ。

年の差は、歴史的にも現実でも

本当に恋を成就じょうじゅする

ことなんて、ないんだよ」


それが俺の断る理由で見解だった。

恋人になっても社会は許容しないだろう。未成年に付き合うというのは淫行いんこうという罪がある。

その疑いだけでも捕まる可能性ある。

そんな捕まるかもしれないことよりも俺は、彼女の青春をこんなくだらない大人のために使わないでほしかった、無碍むげにしてはいけない。決して。


「うっ、うぅ…っーーうわあぁぁ!

山脇やまわきさんひどいよ。

うっぅぅ…あぁぁっーー!!」


(えっ!?)


玄関前で彼女は崩れるように膝を地面についた。

あまりにも失恋の悲しさで号泣。

やんわりと断るつもりだったけど上手くいかなかったみたいだ。

なんとか、これ以上は心の傷を広げないように今度こそは言葉を選ばないといけないのだが。


「…ごめん」


告白を受けたことも断るのも

初めての上手く対処する自信はない。

俺には納得するだけの力がある言葉なんて思い浮かばない。

なら愚直であっても誠意を持って謝るしかなかった。


「あぁぁぁぁぁ…うわあぁぁぁ!」


もちろん、これで悲痛を拭い取れるはずがなく天にも届くほど甲高い泣き叫びは止まない。

彼女の涙は頬をらす。

伝う水滴は地面に落ちて収まる気配がなかった。

この反応からして初めてなのだろう。

その哀哭あいこくに俺は…手を伸ばしたいのに…歯がゆい。

告白に断れば傷つくに分かってることじゃないか!

こうなるの直感的に思っていたのに、俺は戸惑っている。ここで泣き止まなければ彼女に変な噂が

流れることになる。

なにか無いのか?なんでもいい、美少女ゲームやアニメでつちかってきたデレさせるセリフでも!思考を巡らしても迷い、くすぶるだけで何も浮かばないのなら…。


峰島みねしまさん!

落ち着くまで私の家に……

上がりませんか?」


放っておけなかった、なんとかしたかった一心での発言。

ひどく弱々しい姿で号泣していた彼女は嘘のように泣き止むと、

ポカンと口を開けたまま呆然と固まっていた。


「い、家…あっ!

そ、その……いいんですか。

わたしが上がっても?」


「うん。落ち着くまでだけど」


「あ、ありがとうございます」


一変した。どこか嬉しそうで恥ずかしさの2つの感情がない混ぜとした笑顔を浮べて。

いや、好きな人が手を伸ばしたから当然なのかな?

弱っていた彼女を俺は家に上がらせると真っ直ぐ居間へ案内する。

ダイニングテーブルに座らせ、椅子についた峰島さんは何処どこ

そわそわとしていた。

場違いだと思いながらも小動物みたいな可愛い反応に癒やされる

自分がいる。


「はい。これ

ショートケーキと紅茶」


「わぁー、美味しそう。

い、いただいても

よろしいのですか?」


「ああ、もちろん。こんな

安物で申し訳ない気持ちだけどね。

喜んでくれて、良かったよ」


俺は斜向はすむかいに座り

ケーキを頬張る彼女を眺めながら紅茶を飲む。

眼の前で表情が豊かさに微笑ましくなるが過去の彼女に比較すれば印象や色々と変わったなぁと感慨深くなり頬を緩む。彼女はまじまじと向けられる視線に気づく。


「え、えーと……」


「告白した相手が食べ終えるまで

見ているだけなのはよくないか…。

ごめん、私には好きになって

くれた相手が今までいなかったから。

その部分に疎くて上手く配慮ができないんだ」


同じ人生を歩むことを拒絶して

落ち込んでしまった彼女を励ますことに一つの恋に対しての有終ゆうしゅうの美になる終わらせ方など知るはずもない。

どうすればいいのか?きわめて理想的な解決になるのかを。


「えっ?今、好きになってくれた

相手がいないって!」


うわぁ!?ひどく驚いているなぁ…。

失念していたが相手はJKなのだ。

恋愛感情を持ってくれた相手がいい大人なのに、恋人が居たこといないなんて不思議で当然な反応なんだろう。


「あはは。恥ずかし…ながらね。

ありふれた言い方をすれば、

彼女いないれきイコール年齢だよ」


「そ、それじゃ…わたしが

初めてになるんですね!」


目を輝かせ弾けんばかりの笑顔した彼女は嬉しそうにいてくる。こんな

笑顔をするんだなと関心しながらも瞳は眩しい。


「え、えーと?」


悲壮感など今や霧散した。現在は喜色満面きしょくまんめんだし。


「はっ!すみません。

あまりにも嬉し過ぎました!

食べ終えたら……わ、わたしを

大人にさせてくれるのを…

楽しみです!」


チラッ、チラッと何度も目を逸らしては戻してのリピート。好意をまったく隠せていない。

その前に先程の言葉に疑問を覚えたものがあるのだけど。


「お、大人ですか?」


オウム返しで俺が返すと胸の前で指を組んで頬を赤らめている。

ウルウルとした上目遣いという武器にして美少女が使われたら大抵は惚れてしまうものである。いや、それよりも言葉と表情を

吟味ぎんみすれば至る、その意味は――ッ!!?


「ち、ちち、ちがう!ちがう!!

大人のイベントとかそんなの

発生しないから!安心してほしい。

あっ、ああぁーー!安全第一あんぜんだいいち!!」


「そ、そんな。

チャンスだと思ったのに…」


ま、まさか、そう解釈したのか。

なんだか会った彼女に、ここまで明るく大胆な解釈して発想するとは思いもせず心拍数が上がっている。

いや、女の子を家に上がらたら、そう解釈するのが普通なのだからそう思っても仕方ないのか?

チャンスと言っていたし積極性があるんだなぁ、見かけによらず彼女は。


「ハァー、なんていうか

気をつけた方がいいよ。

真面目そうな大人だって、危ない

行動だってするかもしれない

から」


具体的に言わずとも聡明な彼女なら解るだろう。

とくに、この恋愛愛情を俺は危惧している。

もし俺ではなく別の人が、それも成人の男性が今のようなことを相手に同じセリフを告げた結果に漬け込まれたら。

…そうなれば、破滅的な破綻が永遠に傷を刻まれ、心を打ちひしがれて

しまうことは目に見えている。

なのだけど忠告を受けた彼女は明るい顔で頷いた。


「はい。それは、もちろん。

でも、山脇さんの前では無抵抗に

なるというのか…油断して。

えへへ」


告白を断った相手に

恥じらいの笑みを浮かべますか。

はい、そうですか。

元気になったと見るべきか。

自棄やけになったと考えるべきか。


「おっさん、みたいな事を

言うけど。いや、君からして、おっさんだけど。

少し落ち着いたほうがいいよ。

その、高校生なのだから時間が

てば、勘違いだって」


「山脇さんは、おっさんじゃないですし!わたしが好きになった感情を

勘違いだって決めつけないで

ください!」


怒られた。俺らしくもなく説教しようとして彼女がさえぎり強くその言葉を否定されたのだった。

それは揺るぎない心の底から、満ちた想いでの行動なのだと理解する。


「そ、そうか…」


「そうです。だ、だって……

心が苦しくって、話するだけで

こんなにも幸せなんですから!」


「……」


そこまで、想って―――

いやいやいや!何をほだされそうになっているのだ。

なに揺らいでいるんだ俺は!

俺はロリコンじゃないだろ。


「…あっ!そ、その…

テーブル上にゲーム機ありますけど。もし良かったら一緒にゲーム

やりたいなぁと思うんですけど?」


俺が二の句を継げずにいると彼女も、この甘酸っぱい空間に耐えられなかったのかPS4を指して提案して誘った。どうしてゲームかのか?突拍子のない事を言うのだから油断すると頬が緩みそうになる。

ともかく今はゲームを誘うぐらいに元気になっているし歓迎するべきことだ。なら後は俺がするのは彼女を帰る前に思う存分に遊ばせる。これが有終の美を飾るの最後にいいだろう。


「そうだね。

軽く対戦したら、帰るんだよ」


「は、はい!

わたしゲームが得意なんですよ!」


俄然がぜんやる気?になる彼女を見て俺はホッとした。

満面な笑みを浮かべる彼女に俺は返そうと下手だと自覚しながらも笑みを作り首肯しゅこうして応えた。

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