第133話 欺瞞
「え?」
シンは驚いて目の前の黒衣の青年の姿を見た。
顔の半分——
「よせ、カイ」
「なんだよ。俺はコイツと——」
「駄目だ。——王太子様、御無礼を。これにて
いきりたつカイを
「いいよ。
『白兄』が目を
幸い、
何か言おうとするカイを押さえ付けて、『白兄』は更に声を
「御冗談でしょう?」
「いや、
「
「俺を憎む理由だ」
シンの返答を聞いて、カイは一人色めきたった。
そんな事ならいつでも教えてやる。
「剣を取れ! 今ここで——」
その口を『白兄』が手で塞いだ。カイの代わりに返答する。
「子どもの冗談に付き合っている暇は無いのですよ」
「逃げるのか、
「逃げねぇよ! 今ここでぶちのめ——?」
再び『白兄』はカイの口を塞ぎ、半ば
「太子様」
「なに?」
『
「今夜は寮に泊まりたいと言いなさい。以前滞在していたでしょう? 夜になったら正門へ向かいなさい。門番には話をつけておきます」
「夜?」
「ここで
つまり夜闇に乗じて別の場所で会おうと言うのだろう。
シンはそれを呑んだ。理由を知りたいというその好奇心で。
「わかった」
シンが頷くと、カイも納得したのか素直に『白兄』に従って退いた。
——あれがシュン
「太子様、どうされました?」
そして少し
つづく
次回『シンのため息とシュンの心配』
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