第127話 白兄の怒り
今の一件が目に留まれば、周家派の者がみっともない試合をしたとみくびられる。
——いつもの学内の催事ではないと、
ケイは木剣を片手で構えたまま、また一歩前へ踏み出した。
その切っ先をユウの喉に突き付けると、ユウは喉の奥で声にならない悲鳴をあげる。ガクガクと震えながら、突きつけられた木剣がゆっくりと振り上げられて行くのを、呆然と見つめるしか出来ない。
ケイの剣が頭上に振り上げられた時、
「それまで!」
審判の声が響いた——。
「きゃあ! やっぱり『
はしゃぐ
——やはり今の試合は妙だった。
あの様に荒々しく相手の剣を
戦場ならいざ知らず、格下の相手に——しかも降参の意を示した相手に剣を突きつける様は、
シュンはそっと盗み見るようにして、シンと
どうやら今の試合に違和感を持ってはいないようだ。
——身近で『白兄』を見ているから、私が気がついただけか?
後で『白兄』に聞いてみよう。
その時のシュンはそんな風に気軽に考えていた。
「なんだ、今の試合は?」
少し
軽くうなづき返すと、木剣の
カイの相手は
確か
気がつけばカイの圧勝で試合は終わっていた。
彼に声を掛けたかったが、あいにくカイは自分とは反対の向かい側へと試合場を降りて行く。おそらくは試合を仕切る審判長の
程なく審判長の声が上がる。
「両者前へ!」
ケイはゆっくりと
つづく
次回『展覧席での一幕』
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